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大嫌いなあの世界から異世界に転生したはずなんだが。  作者: 銅爆
第2章 冒険のはじまり……?
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第2章 18 皆の秘密。

そろそろ第一村人出さないとな……

「今日は正面じゃなくて崖に沿って歩いてみようと思う」


 準備を終えたカントがリビングに集まった皆にそう切り出した。


「あなた、右側か左側かは決めたのかしら?」


「いや、そこはまだ決めてない」


「そう」


 ベスタが確認を取る。そして、それを俺とキャリルとローナはただ聞いている。


「あぁ。でも、昨日よりは遠出したいと思う。

昨日はあんな事があったからちょっとそこまでしか行けなかったしな。

しかもまだまだ奥に荒地が続いてる感じだったな。

ありゃ、日帰りじゃ無理だろうなぁ……

という訳で、崖沿いを行こうという考えに至った」


 カントが崖沿いを選んだ理由を話す。ベスタがふむふむと頷きながら聞いている。


「いいんじゃないかしら? 私としてはもう戦闘は避けたいところだし」


「そうだな。昨日ので衰えてるのが分かったしな」


「本当にねぇ」


 二人がそんな年寄りじみたことを言う。

 いやいや、あんたらまだまだバリバリの若者だろうに。


「ローナ達は何しとくんだ?」


「はい。私は洗濯、掃除等、いつも通り家事をこなしておきます。

キャリル様とレント様は魔法の訓練をするかと」


 ローナが簡潔にそう答える。


「そうですね。では、レント。カントさん達を見送ってから私達は始めましょうか」


「わかりました!」


 キャリルの言葉に素直に頷く。これで、皆の今日の大まかな日程が決まった。

 あとは……


「……あとは、あんたをどうするかだな」


 そう、この自称大悪魔をどうにかしないといけない。簡単に縄を解けるとは思えないが、油断してはいけない。

 さて、本当にどうしたもんか……


「……貴様らが何もしないのであれば、我も特に危害を加えるつもりは無い。

何もしないのであれば、だがな。

まぁ、実の所は我はただ貴様らの悪感情を喰らいに来ただけだ。

普通はそんな美味しい食事を出してくれる人間を殺すなど以ての外なのだ。

逆に人間に危害を加える者を人間に近づけないようにする。悪魔であるのなら大抵は守るように動くであろうな。

まぁ、人が絶望する悪感情が好きな悪魔もいるから全部の悪魔がそう動く訳では無いだろうがな。

人が苦しむ悪感情が好きだとかそういう奴も例外であろう。

まぁ、とにかく、我は悪魔の中でも無害に近い存在であると自負しているのだが、どうだろうか?

先日、そして先程の無礼は水に流してやろう。

もう一度言う。貴様らには危害を加えるつもりはない。

だから、縄を解いてほしい。

悪魔は契約には厳しいのだ。約束は守ろう。どうか?」


 ゲイルが長々しく説明する。が、何か信憑性に欠けるんだよなぁ……

 ほら、悪魔って騙してなんぼって感じがするし……


「……ふむ。貴様ら全く信用してはおらんな。

では、少しは信じてもらうために……」


 ゲイルはそう言うと何やら皆をじーっと見つめ始めた。

 ……何してるんだろうか?


「……ん。では覚悟はいいか、貴様ら?

昨日……いや、これまでのことで良いか。ではさっそく。

そこの男。この屋敷にいる女共の洗濯物をチラチラ見て顔を赤くして逃げるくらい純情な貴様が次の子供を作ろうなど無謀ではないか?

次にそこの女。貴様はそれに気付いていながらも、陰でひっそり見て楽しみ、時にはわざと下着が見えやすくなるように置き、その反応を見て日々を楽しんでおるな。悪魔から見てもそれはどうかと思うぞ?

次は……そこのメイド。いつもは無感情、無関心の態度を取っているが、実は結構なSっ気があり、その欲望を日々抑え悶々としておるな。いや、最近解消出来たようだが、どうであったか? 結構スッキリしたであろう? 我の診断によると毎日発散した方が吉と出ているぞ。

次に、そこの金髪の女よ。

そろそろ正体を明かしてもよい頃だと思うぞ?

このままでは知られた時が大変になるであろう。

まぁ、貴様自体は楽しんでいるようだからいいのだろうが。

それに、隠れながら悶々としていたが最近貴様も解消出来たようだな。

何が、とは情けで言わないでおこうか。

新しいことに目覚めたとでも言っておこう。

それは程々にな。周りにも悪影響を及ぼすぞ。

最後に、そこの小僧。

……むむ。貴様……? 見通しづらいな。

昨日といい、今といい、貴様には鬱陶しい光みたいなものがまとわりついて見えづらいな。

……まぁ、よい。貴様についてはまた今度だ。

さぁ、どうだ? これで我が嘘をつかない事が分かったであろう?

……くはははははははははは!!

貴様らの悪感情。んー! 美味であるぞ! 非常に美味である。ごちそうさまです。

さぁ、これで我の信憑性は高くなったであろう? 縄を解いてくれぬか?」


 ゲイルが皆の秘密を大暴露した。

 なんか俺は特に言われてないが、皆結構凄いこと言われてた気がするんだが……

 皆俯いてプルプルしてる。

 ……だ、大丈夫だろうか……?


「くはははは! おい、そこの小僧が心配しておるぞ?

そろそろ………………」


 ゲイルがそこまで言って。


「「「「…………っ!!」」」」


 皆が一斉にゲイルに飛びかかった!


「お、おい、貴様ら! 身動き取れない我に4人がかりで向かってくるのは卑怯だぞ!

や、やめんか! こ、こらっ!!」


 皆ゲイルを殴る蹴るしているが、心なしか威力が弱い。

 キャリルに至っては涙目になりながらポカポカとゲイルを叩いている。結構心に響いているらしい。

 俺はなんか光が鬱陶しいだとか言ってたが何でだろう? まぁいいか。お陰で暴露大会に参加せずにすんだ。

 ……そろそろ止めたほうがいいかな? ……いや、もうちょい見とくか。


「お、おい小僧! 止めると決めかけたのにその意思をすぐに曲げるでない!!

早く止めろ! 痛くはないし悪感情も美味であるが、この状況はかなり鬱陶しくてならん!」


 問題は鬱陶しいだけなら、別に止めなくてもいいんじゃ……?

 まぁ、なんか顔が結構必死だから止めてあげるか。


「え、えっと、皆! ちょっと落ち着いてください!

気持ちは分からなくないですけど、とりあえず落ち着いてください!」


 俺はそう言いながら皆を宥める。というか、この悪魔は本当に滅ぼすべきじゃないかな。

 確かに危害は加えてきてないんだけども。なんか釈然としないな。

 皆心にダメージを負っている。再起動までに時間がかかりそうだ。

 しゃーない。俺がどうにかするか……


「……本当に、危害を加えないんですよね?」


「あぁ、保証するぞ。悪感情は貰うかもしれないがな」


「やっぱり滅ぼしましょうか?」


「やめてくれると我は助かるのだが」


 皆の再起動を待つ間、ゲイルと話を進める。


「では、縄は解きます。

というか、この後このまま屋敷に住み着くんですか?」


「む? まぁ、そうなるであろうな。

せっかく目の前に上質の食事があるのだから、わざわざこの何も無いだだっ広い荒野に探しに行くことはないだろう?

貴様はアホか? 普通、目の前にある確実に得られるものを無視して、次どこで見つかるかも分からないものを探しに行く愚かな行為はするまいて」


 こいつはいちいちウザいな。やっぱり悪魔って皆こうなんだろうか。


「おい、悪魔は皆が皆、貴様が思ったようなやつな訳ではないぞ。

現に我はとてつもなく友好的なはずである」


 消すだなんだの言ってた癖にどの口でそんな事いいやがる。何が友好的だ。ただ人をおちょくって悪感情啜ってる性格悪いやつじゃないか。

 ……はぁ、もうこいつの事はどうでもいいや。


「……まぁ、いいです。じゃ、解きますね」


 俺はそう言ってゲイルの縄を……縄を…………


 ……………………。


 …………………………………………。



「……解けないんですが」


「お、おい! 諦めるな! まだいけるであろう!」


 ゲイルが焦りながらそう言ってくる。いやいや、これすんごいグルグルして絡んでるんだが。

 カント、どうやって結んだんだよ。本当に解けないようにやってるじゃん。

 うーん……あ。これはいい事思いついたぞ。ぐふふ。


「……じゃあナイフで縄を切りますね。

万が一、たまたま、本当にたまたま皮膚に当たっても文句は言わないでくださいね?」


「おぉ、なんだ、最初から……おい、小僧。今なんと言ったか?

ならんぞ。悪魔とはいえ、結構痛いのだからな? 傷は修復するが、痛みは感じるのだ。

……本当に気をつけるのだぞ? おい! 聞いているのか?!」


 はいはい、聞こえてますよー。だから、たまたま、皮膚に当たってもって言ったじゃん。

 気を付けてても、たまたま(・・・・)、当たったらしょうがないよね?

 それに、俺の過去もちょっくら覗いてたっぽいし、そういうフリ(・・)なんでしょ?


「じゃあ、縄を切りますね!

僕は気を付けますが、本当に、たまたま、皮膚を傷付けても文句は言わないでくださいね!」


「お、おい、貴様! どうしてそんなに楽しそうなのだ?! おい! その楽しい感情はなんなのだ!?

ちゃんと切るのだぞ?! ちゃんと切らんとダメだぞ!!」


 ゲイルの言い分を軽く聞き流しながら、俺は嬉嬉としてゲイルの縄を……!



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※








「では、行ってらっしゃい! お父様! お母様!」


「おう! 行ってくる!」


「ちゃんといい子にしてるのよ?」


「はい!」


 俺はとてもスッキリとした気持ちでカント達を見送った。

どうなったかはご想像にお任せします。



第2章はまだまだ中盤です!

物語はまだまだ続きます……!

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