第2章 9 最高に幸福な夜
少し短めです。
「レント! おめでとう! はい! これ、あげる!」
リンちゃんが可愛いリボンで結ばれた木箱を手渡してくる。俺はそれを受け取った。
「リンちゃん、ありがとう!」
「えへへ」
はぁぁ、可愛ええなぁ……
俺は、ベスタがロールズさん夫妻とリンちゃんが来てくれたというので急いで上から降りてきてお礼をした。
ロールズさんと奥さん……えっと、レインさんだっけ、もおめでとうと言ってくれたので、レントスマイルでありがとうございます! と言った。
すると、2人はとても頬が緩んでいた。俺の必殺技は2人にも有効らしい。
で、俺は早速リンちゃんからもらったプレゼントを開けてみることにした。
「これは……?」
リボンを解き、木箱を開けてみると、中には何やら手作り感満載の木製のペンダントのようなものが入っていた。
「あのね! これはね、パパが教えてくれたからリンが頑張って作ってみたの! どうかな?」
まじか! てか、この歳で手作りとか女子力高すぎやしませんかね?
というか、ロールズさんも高いということになるな。
いや、エルフだから自然からものを作るのが上手いのかもしれないな。
「凄く嬉しい! ありがとう、リンちゃん!」
「どういたまして!」
やっぱりなんか惜しいんだよなぁ。1文字抜けてるよ、リンちゃん。
まぁ、可愛いからいいんだけどもね。
で、さっそく着けてみることにする。
「……どうかな? 似合ってる?」
「うん! とっても似合ってる!」
「ありがとう!」
どうやら、俺が気に入った事にほっとしているようだ。俺はもう一度お礼をしてリンちゃんと話をしていた。
2人は気付いていなかったが周りの大人達は2人のやり取りを微笑ましそうに眺めていたのだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ふぅ、結構いいくらいの時間じゃないかな?」
あの後たっぷりとリンちゃんと遊んで(話を聞かされるだけ)、リンちゃんが疲れたのか眠ってしまったのでそのままお開きという形になった。
「いやぁ、今日はとてもいい1日だった」
俺はこの世界でいい思い出が1つできた。やはり、異世界はいい所だ。
ここで面白おかしく暮らして行ければ俺はそれでいい。厄介事に首突っ込みたくないしな。できるだけ楽して暮らせればなおよし。
巻き込まれそうになったら回避するべし!!
うん、これで行こう。こうしたら大丈夫だろう。
まぁ、これからのことだ。これからのことはこれからの俺に任せておこう。何とかするだろう。多分。
で、今の俺はというとだが。
落ち着いているように見えると思うが、内心かなり興奮している。
どうしてかって? そりゃもちろん。
外に出られるからだ!
そう、外だ! いつ聞いても興奮するだろう。あの異世界ファンタジーといえる風景!
そして、謎の鳥みたいな動物! 知らない植物達! そんなのが俺を待っているのだ!!
……あ、でも危険な事はしないと決めている。楽して面白おかしく暮らすのが俺のモットーだからな。
それなのに、危険な事をしたり、危ない場所に行ったりしたりした日には本末転倒もいいところだ。
で、今日はもう夜だし、寝るだけなのだが、明日から外に出てもいいのか気になるところだ。カントに明日聞いてみるか。
聞くことは恥ずべきことではないのだ。俺は学んでいる。あ、そういや今日もベスタ、読み聞かせに来なかったなぁ。
最近読み聞かせの頻度が少なくなってきている。お話も尽きてきたのか、それともリンちゃんのネタバレの餌食になっていると気付いたのか……
いや、多分前者の方だろう。
リンちゃんのネタバレは今日しか聞いていないだろうし。
うーん、やっぱり来ない日は少し物足りないような感じがするんだよな。
なんでだろ。あ、多分あれだな。あのいつも来るのに急に来なくなってあれ? って感じるやつだろう。
……べ、別に寂しいわけじゃ……って、危ない、危ない。ツッコミがいないツンデレなんざやってて悲しいわ。つーか俺のツンデレなんて誰得だよ。
まぁ、それはそうととりあえず物足りないのだ。ベスタが来ないのはしょうがないっちゃしょうがないのだが。
いつも忙しそうだし、お世話して貰ってるしな。これ以上望むのはちょっと違うと思う。
という事だから、今日はもうおねんねしよう。リンちゃんと遊んで疲れたしな。聞いてただけだが。
んじゃ、明日も楽しみだし、寝るとしますか……
「……あ、明日ついでにこの世界の事を詳しく聞いておこうかな? それと魔物の種類とかこの辺で出るやつとかも」
おぉ、寝る前になって少しワクワクしてきた。
やべ、また眠れなくなって外に出る時間が短くなってしまう!
落ち着けー、俺。深呼吸だ。
吸って……吐いて……吸って……吸って……吸って……
後半に吸いすぎたせいか、盛大に、ゴホッゴホッ! と咳き込む。
かなり興奮しているようだ。自分の体の自制が利かないとかもう赤ちゃんじゃん。
……あ、俺まだ5歳児でした。じゃあ、いいのか別に。精神だけ大人ってかおじさんだしな。見てくれだけで人は判断出来んぞ。
うん、これは教訓だな。他人然り、自分然りだ。お、なんか落ち着いてきた。
じゃあ、明日は明日の俺に委ねるとしよう。今日の幸福な俺。おやすみ!
俺はそのままぐっすりと眠った。
外では夜にも関わらず鳥のような動物達がギャーギャー鳴いていた。
まるで、何かに怯えているかのように────
いつでもリンちゃんは癒し系。




