第2章 6 そういう季節
キャリルが来てから半年ほど経った。季節は秋っぽい。
というか、四季があるんだな。この世界も。最近になって気付いた。ちゃんと春から冬まである。
赤ん坊の時はまずそんなこと気にしてなかったもんなぁ……
まぁ、暑い、寒いってあんまり感じなかったしね。家の中だったからかな? ま、気にしなくていいか。
今では暑かった日々が終わり、涼しくなってきている。もう、日向ぼっことか最高だ。まぁ、そんな時間ないけどね。
というわけで、今日も今日とて先生と魔法の授業です。
「レント? 聞いていますか?」
「あ、はい。聞いています。
今は日向ぼっこがとても気持ちいい季節ですよね!」
うんうん、聞いてる聞いてる。やっぱ、日向ぼっこっていいよねー。
この時期にやるとさぞかし……
「……撃ちますよ?」
「ごめんなさい」
俺は即答した。
何を? とは聞かない。というか聞けない。
それに、器用に目だけが笑っていない笑顔で撃ちますよ? って言われたら誰でも謝ると思う。
怖い。ものすごく。圧がすごいんだよ、圧が。
というか、なんでこんな器用に笑えるんだろう。いや、笑ってはいないんだろうけど。
ま、まぁ、とりあえず先を促そう。
「な、何の話でしたっけ?」
日向ぼっこの事を考えていた俺はキャリルが言っていた事をよく聞いていなかったので、キャリルにもう一度聞く。
「もう、ちゃんと聞いててください。上級魔法からは扱いが難しくなるのですから」
「あ、そうでしたね」
そうだった。さっき言ってたことを少し思い出した。
そう、俺は上級魔法を習おうとしていたのだ。
中級魔法は大方出来るようになった。キャリルが出来るものの7割から8割ほど覚えた。
それと、キャリルがいない時に部屋で魔力を練る練習をしていた。
そしたら、無詠唱でも何となく威力やら大きさやらを制御出来るようになった。
なんか、最近魔力が底を尽きなくなってきているなと思っていたのに更に魔力の消費を抑えられるようになってしまった。
ますます底が見えなくなってしまった。初級魔法何回分という基準が崩れてしまった。
どうしよう。もう魔力の量が分からん。何発撃ったら倒れるのだろうか?
……なんか恐ろしくて試せない。1000とかゆうに超えてそうで頭がおかしくなりそうだ。絶対に500超えたあたりで発狂する。
そうでなくとも数える気は失せるであろう。
……まぁ、それは考えないようにしておこう。
で、話を戻すが、上級魔法なのだが、なんかキャリル曰く扱いが難しいとのことだ。
……そんなものを教えはじめて数日の人に教えるために、いや、自慢するために撃とうとしてたのか。
なんという恐ろしい人。やはりキャリルは侮れない。
もう少しでお家が大変な事になるところであった。
少しは自重してほしいものだ。俺だって我慢しているのだ。色々と。
まぁ、そんな話は置いておいて。
今日はキャリルの得意な水属性を教えてもらうことになった。
「さて、今日は水属性の上級魔法の白銀世界を教えようと思います。
いつの日かレントに止められたアレです。結構痛かったですねぇ、あれ。
確か物凄い勢いで鼻息荒く、押し倒してきて……」
おい、間違ってないが、色々違う!
言い方を注意しましょう、先生。
「押し倒してません、先生! 暴走した先生を止めたんです。
……もう、1人で練習してもいいですか?」
「う、嘘ですよ、嘘! そんなに痛くなかったですよ!
で、では早速いきますね!」
さらっと嘘つきやがった。やはり、大人気無いところがある。
半年ほど経ったがそこは未だに変わらない。何か譲れないものがあるのだろう。
わかるよ、うん、わかる。大人だもんね。色々あるよね。優しい俺はそこには触れないであげるよ。
「……あ、やっぱり、やめにしておきましょう。ここだと少し狭くて心もとないので」
「え、やらないんですか?」
あれだけタメ作ってやらないのか? おいおい、嘘だろ?
ん……いや、でも何となくわかる気がする。
1回使おうとしてたあの時、嫌な予感がしたから俺は止めに入ったのだ。
多分、範囲が広いのだろう。なら、被害が出ると分かっていてやるという馬鹿なことをする必要もないな。
というか心許ないって、そんな魔法をあの時使おうとしてたんですか?!
……ちゃんと考えてるのかな? この人。
「では、上級魔法は外に出る許可が出るまでお預けですね」
「……そ、そうですか……」
まぁ、そうなるわな。しょうがないか。
今は中級魔法を結構出来るようになっただけでもよしとしよう。
後はお外でドンパチ出来るのを楽しみにしておこう。
あ、じゃあ、今日はどうなるのだろうか? もしや、休みか? お休みが来るのか?!
「では、今日は……」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
……ですよね。休みなわけないですよね。今日はお家で座学だ。
たまにやる座学だが、キャリルはなかなか教え方が上手くて理解しやすい。いや、楽しいよ? うん。
楽しいけど、楽しいんだけれども。
たまには休みでもいいんじゃね? って思っちゃうんだ。
まぁ、そんなこと言えないから素直に従って授業を受けるのだが。
「では、今日の最初は混成魔法について授業しましょうか。
多分レントは多少の混成魔法を使えると思いますが、混成魔法にも色々あるのです。
攻撃系、妨害系、治癒系などですね。まぁ、普通の魔法と種類はさほど変わらないです。
えっと、例えば、攻撃系ですと、小炎と微風の混成魔法は炎吹とかがありますよね?
他にも色々あります。
組み合わせることで効果を発揮できる魔法も多々あるということを覚えておいてください。
あ、でも、相性が悪くて、できない組み合わせもあります。
この場合、一つ一つの魔法が、分かれて出ます。
これの例えですと、小炎と水球とかですね。
これは分かれてそれぞれの魔法が出ます。
他にも土属性と風属性は基本相性が悪いですね。
まぁ、これはあくまでもそういう説ですから、組み合わせることが出来るものもあります。
風属性と土属性の大体のものができないと思っていればいいです。
……ざっとこれ位ですかね? 混成魔法については。
なにか質問とかありますか?」
うん、やっぱりキャリルの授業はやはりいいな。
ちゃんと例えを入れて解説してくれるから分かりやすくていい。印象に残りやすい。
だが、俺は1つ疑問に思った。
この間だが、小炎と水球を混ぜたら温かい水、つまりお湯が出たのだ。
だけど、キャリルは分かれて魔法が出ると言った。
なので、もしかすると、俺は新たな混成魔法を作ったのかもしれない。
それか無詠唱じゃないとできないとか。だから、あえて聞かないでおく。
「いえ、ないです! 先生!
やっぱり、先生の授業は分かりやすくてとってもためになります!」
「そ、そうですか。それはどうも」
キャリルは少し照れくさそうに髪の毛をクルクルしていじっている。
褒められると結構嬉しいらしい。褒めるといつもこんな感じだ。
ちょっとチラチラこっちを見ながら髪の毛をクルクルしてる。
こういうところ子供っぽいんだよなぁ。
そしてそこまでくせっ毛じゃないのにクルクルしてる。好きなんだろうか、クルクル。それとも癖かな?
まぁ、髪の毛クルクルはおいといて。
「次は何をするんですか?」
「えっとですね、次はこの本を読もうと思います!」
キャリルは一冊の黒いような青いような本を準備していた鞄から取り出した。
「その本はなんですか?」
「これはですね、魔術、もとい、魔法に関する本です。
魔術教本と似ていますが、これは魔法の応用について書いてある本です」
「へぇ、そうなんですか」
ほう、そんな本もあるのか。魔法とかに関する本だったのな。
なんか道理で見たことあるようなと思った。確か魔術教本もあんな色してたな。
そういう訳で、その本を今から読むらしい。季節的にもピッタリであろう。
食欲の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。そういう時間も大切なのだろう。
というか、個人的には休暇の秋もいいと思う。
どうだろう? 賛成多数で権利をもぎ取れないだろうか。この世界はどうか分からんがあっちでは絶対にもぎ取れそうな気がするが。
ま、大人しく本を読んでおこう。
「では、読み聞かせますね!」
「え?」
あ、まさかの読み聞かせか。自分で読むと思ってた。
でも、そしたら授業じゃなくなるか。二人っきりの密室の部屋で黙読なんてシュールすぎるしな。
じゃあ、読んでもらおう。理解できるかは知らんが。
「じゃあ、ここから読みますね!
……えー、魔法の応用には様々なものがあり、それらを上手く活用し───」
今日から新しい日課が追加された。
魔法に関しては後々少しまとめようと思います!
疑問点などあればご気軽にどうぞ!




