出会い
途切れ途切れのセリフが難しいです
それでは、どうぞ。
Side:藍
悪魔から鍵となる人物の名前を聞き、すぐさまその人物を探そうとしたのだが……
「いくらなんでも広すぎだろうがぁ――――――!」
いまだにオレ達は森の中をさまよっているのであった。
「もうかれこれ何時間経っているんだよ!」
「大体、二時間は経っているな」
「二時間!?」
「十キロメートルくらいは歩いているはね」
「そんなに!?」
「もっとも、真っ直ぐ歩き続けていたらだけど」
そんなに時間が経っているの!?
もう歩き続けて足がガクガクなんだけど!
「ったく不便だな! この姿は!」
こんな小さい体じゃ体力とかいろいろ問題があるしほんと嫌になる!
「そう喚かないでよ。あたしやマゼンタだって歩き続けていてしんどいんだよ。」
「なに、何時もの筋力トレーニングに続けたら軽い」
たしかにそりゃそうだが…
「イエローが一番辛くなさそうなんじゃ……」
「え?」
「だって、重たそうなものが三つも…「(ギロッ)どういうこと?」…すいません、ごめんなさい、なんでもありません……」
怖ぇよ、危うくまたボコられるとこだったよ。
もう髪や胸については触れないでおこう。
と、オレが決意をしたその時。
「…………ん?」
今、どこかから声が聞こえたような……
こんな森に声って……
「どうしたシアン? 急に立ち止まって」
「ん? どうしたの」
二人には聞こえない様子。
結構遠くにいるようだ。
と、オレは頭に付けたイヤーマフラーを外す。
「ちょっと静かにしてくれ。今から範囲を広げる。【広範囲音源感知】!」
オレは能力でさらに強化した聴覚で周囲を把握する。
そこから聞こえた声は……
「……なんだと!」
「どうしたシアン。何かわかったのか」
「こうしちゃいられない。急がなくては…!」
と、オレはイヤーマフラーを着け、声がした方へ急ぐ
「【音速移動】!」
この技は……って別に説明はいいか。大体想像がつくし急いでいるし。
オレは疑問する二人に構わず声がした方へ走りだした。
「おい! なんだ急に走って」
「ちょっとシアン! どうしたのよ!」
後ろで二人が何か言っている気がするが、気にしてる場合ではない。
「間に合ってくれ…!」
Side:???
「がっ……!」
いくら耐えても抑えきれない彼女の悲鳴。
彼女はもう……限界寸前でした。
「ラヴィニス! しっかりしてください!」
「もう、私は……無理の……ようです。……せめて……あなただけでも……お逃げください……」
「いやです! ラヴィニスを置いてはいけません! 何のためにここまで来たのですか! この森を抜ければベーラ公爵の元まであと少しです。諦めてはいけません!」
「しかし……」
もうすぐ……もうすぐなのに、ラヴィニスは動けそうにありません。
その上……
『くそ。あいつらはどこにいる!』
『片方は重傷だ。そう遠くへは言っていない!』
『む、あそこに人影が』
そんな声が聞こえてきました。もう追いつかれるのも時間の問題です。
「お願い……です……あなた、だけ……でも生き延びて……もらえなければ……私は……私は………」
「ラヴィニス!」
「いたぞー!」
ぞろぞろと私たちの前に追手が現れました。
数は全部で十人。ラヴィニスはもう戦えません。
もはや、これまでのようです。
「もうおとなしくしろや。逃げられないんだからよぉ!」
「そうだよ、本当はこんなことはやりたくないんだからなぁ!」
白々しく言う追手たちにラヴィニスは歯ぎしりをしつつ、怪我をした体で追手に噛みつくように言います。
「貴様ら……! なにが……やりたくない、だ……金で……人殺しを……するような奴が……」
「ラヴィニス!」
怪我をしているのに、それでもラヴィニスは立ち上がり、戦おうとします。
もう彼女には戦わせたくありません!
「もうやめてください! 殺すのなら私だけを殺してください! 私は逃げも隠れもしません! ですからもうラヴィニスを傷つけないでください!」
「そんな……お待ち……を……!」
もう彼女は立てません。彼女がこんなに無理しているのに、私だけ無事なわけにはいきません!
「へえ……嬢ちゃんいい度胸じゃないの。怖くないのかい?」
「大事な人が死んでまで生き延びるつもりはありません。私を殺す代わりにラヴィニスを殺さないでください!」
「はっ! 気に入った! そこまで言うならそちらの方は殺さないでおこう」
「その度胸に免じて、あんまり苦しませずに一思いにやってやるよ!」
そういって一人の男が大きなサーベルを振り上げます。あれに斬られたらひとたまりもありません。
「………………」
私はここで死ぬのでしょうか。このまま何もなさずに終わってしまうのでしょうか。
お兄様。なぜあんなに優しかったお兄様があんなことを……
なぜ……お父様を……
「リヴィア様ぁ――――――――ッ!!」
ああ、ラヴィニス。私の騎士。せめてあなただけでも……生きてください。
私は……
「間に合え―――――――――――!」
ところが、何時まで経ってもサーベルが来ません。
私が恐る恐る目を開けてみると……
「なっ…………!」
「何時の間に……!」
なぜか追手たちが少し離れていて、驚くような目で私を見ていました
「えっ…………えっ?」
そして気が付いたら私は、
見も知らない子供にお姫様抱っこをされていました。
「ふう……間に合った。足ガクガクだってのによお」
そして子供は綺麗な瞳を私に向けて、
「お前が死ぬ必要はねえ。あいつらは全員オレが倒す!」
そう言ったのです。
その言葉は強がりには聞こえませんでした。
間に合ったシアン
一対多数にどう戦うか
忘れられるマゼンタとイエロー(笑)