天使たちの会合
と言う訳でお久しぶりです。ゾンビ―鈴木です。
小説執筆再会しましたので、今回もどうぞよろしくお願いします。
それでは、竜と狩猟の世界編、はじまりはじまり~
――――――反逆者三人が次の世界へ渡っている頃――――――
Side:三人称
ここは神が存在する空間。
その空間に二人の男と一人の女がいた。
どれも皆、奇妙な格好をしており、共通の特徴を持っていた。
それぞれの色を基調とした服。
透けるほどに白い髪。
背中にある半透明の淡い翼。
そう、彼らは四輝天使と呼ばれる、神様から生み出された上位天使……〈輪なし〉である。
そんな彼らの内、一人だけなぜか氷に封じられており、もう一人はうつむいて震えていた。
そして、そのどちらでもない一人の男は氷の中の男に向かって言った。
「ジョヌ。あなたは僕たちに対して何か言うことがあるのではないのですか」
そう言った男は奇妙な格好をしていた。
四輝天使の一翼、青天使ブルー。
青を基調とした軍服ような、しっかりとした服の男であった。
ブルーは非難するような目で目の前の男を見つめていた。
「はっ! なにか、とは?」
その見つめられた男も奇妙な格好だった。
四輝天使が一翼、黄天使ジョヌ。
黄を基調とした魔術師のような、ゆったりとした服の男だった。
ジョヌは氷に封じられてもなお不敵に笑っていた。
「わからないわけではないのでしょう」
「それでも具体的には?」
「……はぁ…………」
そう言うとブルーはため息をついて事の詳細を話した。
「別世界への干渉。主に、そこで人……ではなくロボットの多数を破壊、器物を破損、一部の地殻変動、溶岩の噴出、そして最後に何かを呼び出し、それを置いて行った……と」
「はっ! 最後に関してはさすがにわからないか。しかしまあ俺様ながらにしてずいぶん派手にやっちまったなあ」
「最後がなんなのかは聞きません。あまりいいものではないと予想できますしね。それで反省はしているのですか?」
そう言われるとジョヌは……
「はっ! 反省はしている。少し派手にやってしまったと自分でも思ってしまうほどにな」
「では……」
「だが後悔はしてねぇ。俺様は俺様が楽しんだことに嘘はつかねぇからなぁ」
「そう……ですか……」
「それよりブルー。さっさとこの氷を何とかしろ」
ジョヌはそう言うがブルーは何もしない。
すると、先ほどからうつむきっぱなしだった女が顔をあげた。
「うふふふふ。だからやめとけばいいって言ったのに……ぷ……くくく……」
やれやれ、といった感じで笑いながら喋っているのは緑を基調とした芸術家のような、ひらひらした服を着た女だった。
四輝天使が一翼、緑天使ヴェール。
数週間前では全身ぼろぼろの状態であったが、今ではすっかり元通りに治っていた。
そんな彼女は先ほどから何かをこらえているような顔だったが……
「……あっははははははは!」
やがて、耐えきれないように大声で笑い出した。
「ヴェール。笑いすぎです」
「あはははは! だって……ジョヌったら……大罪人との戦いを楽しむために……地面ボコボコにして……溶岩とか出しちゃって……!」
「はっ! やっぱり拙かったか」
「当たり前です! そんなあまりにも大きすぎる影響……一体あなたは何を考えているのですか!」
「はっ! 楽しけりゃあそれでいいんでぇい!」
「あなたって人は……!」
ブルーは珍しくイラついた調子で言った。
「くくく……! ブルー。ジョヌのこういうところは今に始まったわけがないんだから……くくく……!」
まだ笑いが止まらないのか、震えているヴェール。
「はぁ……本当にあなたたちは……」
ブルーは疲れたかのように息を吐いたのだった。
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しばらくして、
「ブルー。ヴェール。実はお前ぇ等に伝えたいことがある」
「……なんですか。もう今更ですし驚きませんよ」
「それはありがてぇな」
ブルーはもうあきらめたような表情で言ったがジョヌは構わずにつづけた。
「そうだな……まずは何処から話すかだが……」
「うふふ。なによ。あんたもしかして大罪人からなにか聞き出したの?」
「ああ、そのまさかでぇい」
ヴェールも興味はあるのか、ジョヌの話を聞くようだ。
ジョヌはイエローから聞き出したことを話した。
「実は、あいつらに神の内情について話したことと引き換えにあの妙な力について聞き出したのだが……」
「ちょっと待ってください。今、神様の内情と聞き逃せない言葉が……」
ブルーはスルーできないのかそのことを問い詰めるが……
「聞き流せぇい」
ジョヌは構わなかった。
「うふふふふ、そうよ。結構気になっていたのよね。それで?」
ヴェールも直にシアンやマゼンタの力を見たことがある。
あれからずっと気になっていたのだ。
「ああその力はあるものを対価にある悪魔から授かったそうなんだが」
「悪魔……?」
「そう、そいつの名は……」
ジョヌはゆっくりとその名前を出した。
「ノワール」
「「!?」」
その名を聞いたブルーとヴェールが驚きの表情に変わる。
「ノワール……ですと……!?」
「……それ本当なの?」
「まあ、あの様子じゃあ嘘ぁついてなさそうでぇい」
ジョヌは断定した。
どうやらジョヌは戦い合った者の言葉を疑わないようだ。
「どうでぇい、ご両人。悪魔とはいえこの名前、そうそうないもんでぇい」
ジョヌはそう問いかけると……
「……確かに、他人の空似……とは言い切れませんね」
「あの不思議な力も、与えたのがノワールなら……」
天使たちは何かを思うように考え出した。
「ジョヌ。力の対価とはいったいなんなのですか?」
ブルーは先ほどのジョヌの発言から気になることがあったようだ。
「ああ、たしかあいつは……姿とか言ってたな」
「姿?」
「そうでぇい」
ジョヌはイエローから教えてもらったことを話した。
「なんでもあれらは本当の姿ではなく仮の姿のようでぇい。本当の姿はあの悪魔に奪われたとか」
「姿……」
それからな、とジョヌは前置きして……
「これは重要なことだが……」
「へぇ、思わせぶりね。なんなの?」
「その悪魔、神の亡骸を求めているようでぇい」
「「!?」」
ジョヌの言葉に再び驚く。
「神様の……」
「亡骸……」
「こいつぁ放っとけねぇんじゃねぇか」
そこにも心当たりがあるのか、彼らの考えが確定していく。
「そうですね。そこに関しては十分注意が必要ですね」
「どうりでただの反逆者じゃないってことね」
「まあ、ただ単に利用されているか、そうでねぇか……」
と、ここでジョヌはその部分は話し終わったのか別のことを話し出した。
「あと、先ほども言ったが、神の内情についてぇ、まあ一部分だけだが挑戦者に話したところ、その影響があってかぁ、それともないか……」
「あはは……どっちなのよ」
呆れた様子で笑うヴェール。
「こっそり聞いたんだが……奴らは神を倒した後、外の世界へ進出するそうでぇい」
「なんですと……!?」
「へぇ……ふふふ……」
ブルーは驚き、ヴェールは静かに笑った。
「それじゃあなおさら放っておけないことね。うふふふふ……」
「…………」
と、ここでブルーはジョヌに確認するように問うた。
「ジョヌ……一つ訊いていいでしょうか」
「ああ、なんでぇい」
ブルーにも覚えがある。
最初の世界でヴェールを止めに来たとき、ある言葉を残して行った。
つまり……
「あなたが話した神様の内情とはまさか……」
「ああ、大丈夫でぇい。核心の部分は言ってねぇ。まだ早ぇもんでぇな」
「そうですか……」
そのことに安堵するブルー。
彼は続ける。
「では、反逆者たちはその話を聞いて……」
「ああ、少しは考えを変えたんでぇな」
しかし、何か引っかかるのかブルーはさらに掘り下げる。
「……具体的には全員でしょうか」
「あん?」
全員。
三人とも同じ考えなのかということだ。
「そうでぇな。イエローって女が外の世界の進出、あと対面してねぇが体の小さい小僧もなにか考えていた様子だったぜぇ」
「へえ……あのおチビちゃんがねえ。うふふふふ……♪」
ブルーは意外そうに言い、笑った。
「それで……もう一人……」
「あん?」
「最後に体の大きい男がいたでしょう?」
「ああ、あの肥満体系のことだな」
「その方はいったい……」
ブルーは何かを期待した表情だったが……
「……変わらなかったぜ」
「!?」
その答えに彼の期待は打ち砕かれた。
「てぇい、そいつも直にあったこたぁねぇが、表情からしてありゃあ……」
ジョヌは思い出すように言った。
そいつの表情から読み取った心情。
それは……
「『どんな事情だろぉと構わない。俺様のやることは変わらねぇ』ってぇな」
「うふふふふ……なんであんたの口調なのよ」
「まあ、少なくとも揺らいでいるたぁ思えねえ表情だったでぇい」
「そう……ですか……」
ブルーはひどく気を落としていた。
「うふふ、ブルー」
ブルーは嘲るように笑い、訊いてきた。
それは……
「あんたってもしかして……
……まだ自分の忘れ形見のことを思っているの?」
その発言にブルーは……
「忘れ形見……確かにある意味ではそうですね」
否定しなかった。
いったいどういう意味なのだろうか。
「うふふ……どうする? あなたも規律違反してみる?」
「おぉう! あらぁ緊張感があってなかなかに楽しかったぜぇ。お前もどうでぇい」
「お断りします。それにあなたたち、自分から規律違反を進めるとは何事ですか。そのような天使は聞いたことがありませんよ」
ブルーは呆れた様子で言った。
それに対してジョヌは臆することなくきっぱりと
「はっ! ここにいるぜぇ」
そう言ったのだった。
「うふふふふ。ブルーはしないのね……残念」
「僕は感情的になってそのようなことはしません。せめて許可ぐらいはいただきに行くようにしませんと……」
しかしヴェールはなお食い下がる。
「でも、気になるんでしょ」
「そうですね」
「神様に逆らうやつらのことなのよ」
「そうですね」
「はっ! 悩み、迷い、考え、のた打ち回る。そんな楽しくねぇことをする人間だ。しかしあいつらぁそれでも楽しい奴らだぜ」
「そうですね」
「ブルー。答えが画一的になっているけど……」
「……仕方がありませんね」
するとブルーは何かを唱えだすと……
突然……
「わっ……!? ブルー?」
ヴェールがなぜか氷漬けにされた。
「おいおい、なぜヴェールを凍らせているんでぇい」
「あなたたちの先ほどの様子からしてどうも反省している様子には見えません。ですので……」
すると、ブルーはジョヌ達から背を向けて……
「あなたたちにはこの後、ルージュにお仕置きさせますので」
「「!?」」
そう言って、どこかへと行こうとしたのだった。
ブルーの言葉に彼らは驚いている。
「ちょ……!? ま、待ってよブルー! ルージュですって!? それは勘弁してよ!」
「そ、そうでぇい! なにもあいつを呼ぶ必要はねぇんじゃ……!?」
氷漬けの天使達は珍しく慌てた声で抗議する。
しかし……
「いけません」
「!?」
ブルーは拒否をした。
「ジョヌから聞いた話、あの人にも話さないといけないでしょう。それに……」
「それに?」
「ヴェール。あなたはあの時雷獣を呼び出していませんでしたか?」
「ギクッ!?」
ブルーの一言にヴェールは図星を突かれた。
「やっぱりですか……本当に懲りないですね」
「ちょ、ちょっとまって! それはあたしが大罪人に会う前の事だから……!」
「それでもなりません」
ヴェールの弁解にぴしゃりとはねつけた。
「あなた達は一度痛い目に合わないとわからないようなので、では……」
ブルーは再び離れだした。
「待ちなさいよ! ちょっと! ブルー!!」
「手前ぇ! 面倒事をルージュに任せるたぁ情けねえとは思わねぇのかぁぁぁぁぁあああああああ!」
ブルーは後ろの声に構わず行ってしまったのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――
まったく、ヴェールもジョヌも困ったものですね。
あの方たちに反省の言葉がないのでしょうか。
いったい何のための規律なのでしょうか。
まあ、あとはルージュに任せましょう。
そうとなると……
……………
世界を渡っても答えは変わらないのですね。
マゼンタ……
あなたは変わらずに神様を殺す気なのですね。
あなたをそうさせたのは僕の罪。
このままでは彼は……
……僕に何かできることはあるのでしょうか。
思いつくことはありますが……
可能か不可能か、神様に訊いてみましょうか……
ブルーはいったい何を思うのか……




