『27』
『27』
「私はエルフ族、第一皇女のアスカと言います。助けて頂いて大変に感謝します。ことの始まりは、このグールが我がエルフ国に侵入してきたのがきっかけ。城にいた私を護衛兵を一瞬で殺してしまったの。残された私のは抵抗も虚しく、グールマスターに連れて来られたのが、このダンジョンだった。グールマスターはどうやら私を連れてきたのを、国王が勇者パーティーに依頼をして連れ戻しに来るのを予定したみたい。勇者パーティーの勇者と賢者とかの冒険者のSランク級の生き血を吸いたいらしかった。老けたくないからで、若がえるらしいの。私の生き血ではダメらしく良かったわ、ロメーロ」
「それは良かった。こんなグールに血を吸われると考えただけで鳥肌が立つからな」
さぞかし気持ち悪い日を過ごしたと思うと同情する。
「それにしても強い、驚いたわ。こんな強い冒険者を見たのは初めてです。勇者パーティーも恐れていなかったグールマスターを、こうもあっさりと倒すとは」
「グールマスターは強かったよ。勇者パーティーでは負けていたからな。ただ俺は『器用富豪』スキルを使える。グールマスターにも負けない」
「『器用富豪』とは聞いたことないスキルです、器用貧乏ならよく聞きますが」
「始めは『器用貧乏』だったが、途中で『器用富豪』に進化した。それまでの、ありきたりの初級スキルがSランク級に進化したんだ。まぁここでの説明は省くが、もう安心だ。エルフ国に連れて帰る」
アスカ皇女は、俺が言っているのを、何を言っているのかて感じで聞いていた。
まあ当然か、勇者パーティーをも恐れないグールマスターを、俺は楽に切ったのだから、驚くのが普通か。
後は、エルフ国にアスカ皇女を連れて帰れば問題は解決だろうし、きっとエルフの国王も心配で、気が気でないだろう。
本当はAランク冒険者を救いに来たのに、結末はまさか皇女を救うことになったのは、自分でも考えていなかった。
冒険者とは道なき道を進むというからな、これも冒険者として良くある試練だと思えばいいか。
ただオリオンらが来なくて良かったなと思うのは俺のおせっかいな性格からで、オリオンやボーデンらが来ていたら、たちまちオークキングの暴力に悲しい結末になったからだ。
むろん大神官のリアンはオークキングやオークジェネラルの性欲のはけ口になったのは確実だった。
今頃オリオン達のパーティーはどうしているかな、普通にエピック国で冒険者していれば問題ない。




