『28』
『28』
エピック国の隣のカイザール国は超危険な国になっている。
グールマスター並みの魔物が、存在しているのを国王は把握しているのかどうかと言えば知らないだろうから、厄介な話だった。
なぜ王都でも知らないだろうグールマスターの件に俺が引き込まれたのかと考えると、理由ははっきりとはしないが、俺が世界を救うべく存在だからかという説に行きつくのは俺の考えすぎか。
まるで神が俺をここに呼んだようにも思えるのだが、そこは深く考えてもわからないのであった。
ただカイザール国は勇者パーティーをも倒せる力があるのを知らなかったので、俺がいなければ、国が潰れかねないのだった。
「それが帰れません、私は帰れないのです。帰りたいのに帰れないのですロメーロ!」
「どうしてだ、まさかこのダンジョンが気に入ったか?」
どうしてか、何を言っているか。
「嫌ですよ、グールがウロウロしているダンジョンに住みたい人がいますか。変態ですよ。違います、私はダンジョンに来てから、グールマスターに魔法をかけられたの」
「魔法?」
それは考えていなかったのであるが、グールマスターは魔法を使えるので、アスカ皇女に何かしらの魔法、呪い魔法や、拘束魔法などをかけていても不思議はない。
特にあの性格だ、アンデッドのくせに、老けたくないから、アスカ皇女を拉致した性格だ、魔法の一つくらいかけていても驚きはないか。
「どんな魔法かと言うと、グールマスターが言うには、私をダンジョンから出れなくする魔法で、物理的に出れないらしいの。もし強引に出ると、私の体はグールになるの。最悪です!」
「危なかった」
俺の器用富豪スキルには瞬間移動スキルがあるからな。
それで一発でカイザール国の王都にまで帰ろうとしていたのだ。
もしスキルで瞬間移動していたなら、王都についた時にアスカ皇女はグールだったわけだ。
俺もそんな呪いに近い魔法とは考えていなかったのは反省しておくものの、アスカ皇女には伝えるのは止めておこう。
知ったら怒るのは避けられないからな。
「危なかったとは?」
「何でもない。アスカ皇女にかけられた魔法なら、問題ない。解除すればいいだけのこと。直ぐに終わる」
アンデッドらしい実にくだらない魔法だな。
見た目も醜いが精神も醜いときていて、それがアンデッドなのだとあらためて思う。
人族には死者を尊敬して家族や友人で墓も作り、拝む習慣があるが、アンデッドのグールにはそんな精神は微塵もないのがわかる魔法だ。
あまりのくだらない魔法に怒りを通り越してしまう。




