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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
60/114

少女のあやまち 2



「お話ならここでしていいっすよー」


 店員はレジの横にある休憩室のような畳の間を指さす。

 古い濃い茶色の机とそこにあるお菓子受けには懐かしいお菓子が置かれている。レトロな雰囲気の畳の間をみて断る前に、まぁいいからいいからと金髪の店員が背中を押す。

 何年も使用してから変えていないように畳の色がい草の緑ではなくむらのある黄色の色をしていた。

 押しに負けて腰を下ろしたその畳はキシリと少しだけゆがんだ。


「この間ぶりだね、由香、さん」

「そう、ですね」


 対面にいるはずなのに戸惑うように視線を動かした由香は視線を畳に向けまま合わせようとはしない。


「どうして、あぁいうことをしたのか。聞いていい?」


 言葉を選ぶように言うと由香は小さく首を振った。


「聞かないでください」


 そいうと余計に顔をうつむかせる。


「ごめんなさい、もうしません、だから聞かないでください」


 ぼそりぼそりと繰り返される言葉には意味も言い訳も乗らずにいてどうしたものかと困惑した目を向けてしまう。


「調子いいですねぇ」


 へらりとした口調が聞こえる。

 その声の方向をみるとゲームから目を離さない金髪の細身な店員がいる。


「あぁレアアイテム!」

「あの?」


 口を開いたのは由香だ。由香は伺うような目をしてすがるような声を出した。


「ゲームオーバー、です。なにか?」

「いえ」

「そーですか。じゃあお名前聞いて保護者の人と学校の人よびましょーか」


 めんどくさいなぁといいながらもゲームを片手に口を出す。


「え」


 すみません、ごめんなさい。

 それを聞いてあわてるように口を動かした由香にゲームを持ったままの店員は冷めた目を向けていた。

 ゲームの軽快な音楽が流れている。


「ユカさん、でしたっけ?」


 金髪の店員は冷めた目を崩そうとはしない。


「はい」

「調子のいいことばかり言ってるみたいで」


 ゲームを再び始めた店員はそれでも話すのを止めない。


「知ってます? 万引きって犯罪なんですよ」

「すみません」

「窃盗っていうのと同じなんですよ。やってることは犯罪なんす。言い方悪いっすけど、万引きなんて言葉を使うから認識が軽くなる。窃盗罪はあるのに万引き罪なんて言葉はないじゃないっすか。そう思いません?」


 淡々という店員のゲームからはおそらくクリアしたのであろう音が聞こえてくる。


「窃盗というのは立派な犯罪です。それはわかってますよね。今、あなたは岐路にたっています。情けをかけられているんです」


 店員のゲームからはまた少し変わった音がする。


「情けをかけられているいないにかかわらず、犯罪をおかしたのなら反省が必要ですし。そこのお姉さんが言ったみたいにどうしてそれをしようとしてしまったのかがあるのであれば話をすべきでしょう。それが情けをかけられているあなたのできる裁量でしょう」


 そこまで言うとよっしと声をこぼした店員は嬉しそうにレアアイテムゲットだ。とつぶやいた。




■ 深津由香

志乃にも店員にも聞かれてこたえたくないぉ


■ 店員

ゲームクリアしたよ、新ステージだ!レアアイテムゲット。(細身)


■ 志乃

レトロな場所だなぁ。

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