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木菟のないた夜  作者: 慧波 芽実
学校編
58/114

猫背のたくらみ 3

 

 指導室からでると正面の窓のガラスこしに猫背の背中が見える。

 弱弱しい、という表現がぴったりなその背中の主が先ほどのように声を荒げているイメージがやはりわかない。



「やばいの! 小テストの点数!」

「はは、補修になってしまえ」

「何言ってんの! うちらのクラスの科目担当忘れたの?」

「あ、橋田じゃん!」

「きっもいよね」

「わたし教師で一番橋田が嫌いかも」

「あれ? フクが嫌いっていってなかった?」

「フクは厳しいからきらいー! 橋田は近寄ってほしくないー」


 けらけらと笑いながら声を上げる生徒たちが通り過ぎる。

 その生徒たちを見る橋田先生の目が視界に入った。

 見開いたまま瞬きすらしないその目は恐怖を感じさせた。


 窓をからりと開けた。


「先生、橋田先生」


 その言葉にびくりと肩を揺らしていた。


「夏目さん」


 きょろりきょろりとした橋田先生は私に気が付き小さな声で名前を呼んだ。


「どうしたんですか?」


 そう聞かれて数秒思案する。

 反射的に声をかけたはいいが用事はない。


「あ、と」


 ふと思い浮かんだのは先日配られたプリントだった。


「進路希望と面談の希望日のプリントなくしてしまって」

「あぁ。あれですか」


 窓際に近づいてくる橋田先生はいつもの私の知っている先生であった。

 しかしなんの違和感がない、それが返って変な感覚にさせた。


「残念ながらいまは手元にないですね」


 窓に近づいて言う言葉に、すみません、と返す。


「また明日伺いますね」

「明日の終業式の前のクラスホームルームときに持ってきましょう」

「ありがとうございます」


 ふむ、と少し納得したように言う声にえ? と聞き返す。


「夏目さんがこういうのなくすのは珍しいですね、と思いまして」

「ははは、すみません」


 心に響くわけでもない会話をしながら橋田先生を見る。

 よれたジャケットのポケットから見えたのはたばこのケースだった。





短かったなぁと思いながら。先生のターンでした。

8月はなにかと予定がぎっしりなので更新速度が遅くなるのがとてもおおいと思います。

すみません。

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