小鳥遊くんと(似非)不良くん
名前:春川 幸
性別:男
歳:21歳
職業:大学生
備考:若干の不良
「よし、この人にしよう」
初メリーさんいきます。
『………あい』
「あ、もしも」
『うっさい』
…切られました。
えー、俺の初メリーさんあっけなさ過ぎません?終わりなのこれ、えーえーえー。
『………ぁあ』
…悔しいのでかけ直した。
『なんなん、あんた…』
「もしもし、俺メリー」
『メリーさんは女だ』
…再び切られました。
えー、どんだけ前途多難?切られたよ、これ。どーすんの、これ。さっきよりは言葉進んだけどさ、でもまだ名前途中なんだけど…
…あ、わかった。
『…なん』
「あ、俺メリーなんだけどさ、あのいい加減電話切るの止めてくんない?こっちも仕事と言うか暇潰し言うか…とりあえずやらなきゃいけないわけ。わかる?」
『え…は、ぁ』
「じゃあ、今、お前の家の近くの公園にいるから。またかけるから必ずでること。わかった?」
『ぁ…はい。』
やっと初メリーさん(なんか違うけど)できたー。とりあえず…疲れた。喋りすぎて疲れたー。
ちょっと寝よう、うん。電話の音で目が覚めた。
「もしも」
『あ、メリー…さん。いつまで俺は電話待ってればいいんすか?』
…誰だっけこいつ。
「どちらさまでしたっけ?」
『ぇ、あ、春川っす』
………あ。
忘れてた、僕、今メリーさんだ。かっこつけて俺とか言ってたメリーさん(僕)だったー…
「あぁぁ…ごめんなさい」
『あ、なんかすんません』
春川、いや似非不良くんまで謝ってきちゃったよ。うわー…まずいどうしよ。
「あのー…どれくらい待ってたんですか?」
『…一晩起きてました』
え、そんなに寝てたの…?
話によると、僕が電話したのは11時すぎ。それからかけると言われたのでずっと待っていたらしい…
ちょっと…なにやってんの、僕。
「あのー…ごめんなさい!俺、メリーさん成り立てで、口悪いし、あれなんですよ、あれ。」
『あ、あれ…?』
「とにかくまたかけ直します!」
…これは、やっちゃったよ。
重大なミスをしてしまったよ。あー、もー最悪。やっちゃったじゃん、あーあーあー。なんかへこむ…
もう閻魔様に愚痴ってこよ。「お疲れー小鳥遊くん。」
「無駄に疲れました…」
オレンジジュース片手に頬杖をつきながら、閻魔様はまたへらへらした笑顔を浮かべてた。
「似非不良くんはどんな感じだったの?」
「思ったより好青年でした」
「ふふ、それはなにより。」
ずぅー…っとオレンジジュースをストローで吸い上げる閻魔様を横目に今までの経緯を話した。
後半に至っては、愚痴なのか弱音なのか、鬱々とした自分がいた…気がした。
「んー…小鳥遊くんさー、似非不良くんに逢ってくれば?」
…あー。
「いきなりいいんですかね?」
「一応メリーさんだし。もしかしたら友達になれるかもよ?」
「今の僕、幽霊みたいなものですけど?」
心配ないから、とへらへら笑う閻魔様を頼りにするのは怖い気がしたけど、なんとなく゛メリーさんの最終段階゛を味わいたくなってその話にのることにした。
『ぁー、』
「俺メリーさん。今、お前の後ろ…若干壁から離れてくれ。
よし、今、お前の後ろにいるからよろしく」思ったよりシンプルな部屋にいたのは、金髪の短髪の若干厳つい兄さん。
「あ、メリーです」
「あ…春川っす」
ペコリとお辞儀をすると、似非不良くんも頭を下げてくれた。
さて、本題はここからだが…
「えーっ…と。
初心者メリーさんの俺なんですが、やるべきことはちゃんとやんなきゃで、えー…とりあえず、最終段階やりにきました。」
「…段階すっ飛ばしすぎじゃないっすか?」
突っ込まれた。
まぁ、当たり前か。段々と近づくはずが離れた公園からいきなり真後ろだし…あー、ぼろぼろ。
「そ、それなんですけど。
また、メリーさんやりにくるんで、それまで…メル友にでも、なんて…あはは」
似非不良くん、開いた口が塞がらないようですね…普通の反応だよね、うん。
「あ、あの」
「…はっ。あ、いいっすよ。あ、携帯携帯…と」
あっという間にメールアドレスを交換した。手際いいな似非不良くん。
「あ…ありがとうございます」
「いえいえ、じゃあ、成長してからくるメリーさん、待ってますね」
なんていいやつなんだ、似非不良くん。
こうして、初メリーさんは失敗に終わったが似非不良くんという友達ができ、復活宣言をしたことによって幕を閉じた。
さて、次は誰にしようか?