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小鳥遊くんと閻魔様

夢から堕ちる、そんな夢


痛かった心臓の音が



―…ほんのちょっと和らいだ

例えば、


買ったアイスがあたりだった


好きな人と目があった


欲しいものが安くなってた



…そんな感覚に近い。




簡単な話はこうだ。



僕は今日、それもつい先程、人生の幕を閉じた…つまり、死んだ゛はずだった゛。なのに…なぜだか僕は生きていた。



「あー…生きてる。」



うわー…背中痛い。


ずっと寝てたからか?…てか、ここどこ?なにこれ、黒い天井、床と白い壁しかないじゃん。綺麗に揃えられたのが逆に不自然すぎて気持ち悪い。



「あ、起きた?」


「んぁ…?」



…誰だこいつ。


目の前には和服美人…と言っても、男っぽいけど。今時着物とか…(それも男性の。)久々にみたよ、てか、初かも。


と、まぁ。

この部屋には相当不釣り合いな格好のやつが僕の目の前に立っていたわけだ。



ぽけー…っと眺めてたら男は咳払いを一つして、澄んだ声で喋りだした。



「一つ、君は死んだ」



やっぱ死んだのか。


…不思議と悲しくはなかった。



「二つ、君の肉体も死んだ」



…あ、手が透けてる。



「三つ、だが魂は生きてる」



そりゃ、意識あるし。



「さぁ…どうしようか」………はい?



「どうしようか、って…」


「あ、俺は閻魔。地獄でいろいろやってます。好きなものは羊羹です。よろしく。」


「え、あ、はい。」



閻魔、閻魔…あれ、だよな。嘘ついたら舌抜くあいつ…うわ、意外に若い、てかイケメン?


思ってたより細いぞ。



「小鳥遊くんねー。17歳?あらあら、若すぎませんか、君。」


「閻魔様は意外に細いですね、あと雰囲気イケメン」


「ありがと」



へらっと笑って閻魔様はすたすたと僕に近づいた。そして、僕の心臓のあたりに触れた。勿論、そこには心臓がないのだがなんとなく違和感…変。



「生きたくないの?」



あぁ、またそれか。


何百、何千と繰り返し聞かれたその質問に吐き気を覚える。



「はい。」



同じ質問に同じ解答。



「ふーん…」



へらへら笑う閻魔様は何を考えているかわからない。



「じゃあ、君…メリーさん-男子ver.-ね。」


「はい?」



メリーさんって…あの、『今、あなたの~~~にいるの。』のあいつだよな?


えー、なにそれ…



「電話かける人のリストとかは…あ、これこれ。」


「なんか多い…」


「ん?他の役職がいい?…確か河童とか空いてたと思うけど」


「いや、メリーさんでいいです」



河童とか…なんかチョイスがおかしい。「小鳥遊くんは何色がすき?」


「…赤とか?」


「じゃあ、赤い部屋に」


「落ち着く感じで、ダークブラウンがいいです」



閻魔様って天然?


赤い部屋って、検索してはいけないワードだかなんだかじゃないっけ?まぁ、地獄では関係ないのかな。



とかなんとか1人考えてる隙に閻魔様は模様替えの支度。なんかぶつぶつ言ってる…と思ったら目の前がフラッシュ。


次の瞬間にはデスクやソファー、ベッドなどが揃った落ち着いた部屋に早変わりしてた。



「電話はこれねー」




―……リストには個々に地図が付いてて、それを見ながら電話していく。最後は『〇〇の後ろにいる。』で終わりなのだが…それを言ったあとはその人の後ろに障害物がない場合に限り、逢うことができるらしい。




「大体こんなかな?」


アバウトに説明をされたが…まぁ、なんとなくわかった。つまり、早い話はあのメリーさんを僕がやると。



「あとは適当に。なんかあったら廊下を左手に、突き当たり俺の部屋だから。」


「わかりました」


「まぁ、すきなように。…意外に世界は君の思う通りにできちゃいないから。」



そう不敵に笑うと閻魔様は部屋を出ていった。…゛思う通りにできちゃいない゛、か。


…まぁ、いいや。


とりあえず、やってみよ、メリーさん。




僕はリストを片手に電話を引き寄せた。

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