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悪役令嬢と悪役令息、地獄行きのディストピア  作者: 猫塚ルイ


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25/50

第25話

すると、ダイキリがふふっと


まるで秘密の悪戯でも思いついた子供のように笑い、私たちの間にするりと割り込んできた。


「それにしても、お二人って本当に息がぴったりですよね」


「気のせいでは?」


アルベルトの即座の否定を、彼女は楽しそうに受け流す。


「えー絶対そうですって! なんだか、見ていて羨ましくなっちゃいます!」


「……羨ましい? 何がかしら?」


私が不機嫌を隠さずに眉をひそめると、ダイキリはカウンターに頬杖をついて


ニヤニヤとした好奇心に満ちた視線を隠そうともしなかった。


「だって、言葉がなくても次に何をすべきか分かってるみたいなんですもん。エカテリーナ様が資料を手に取れば、アルベルトさんが何も言わずにペンを差し出す。アルベルトさんが考え込むと、エカテリーナ様が当然のように答えを導き出す……」


「それは、単なる利害の一致による効率化よ」


「えーっ、そんな冷たいこと言っちゃって! 私には、お二人がとっても素敵な『お似合いのカップル』に見えますけどね」


ダイキリの無邪気な、それでいて鋭い一言が、静まり返った店内の空気に波紋のように広がった。


「なっ、ば、バカじゃないの? コイツはただの共犯者よ」


動揺を悟られまいと声を荒らげる私とは対照的に


アルベルトは微動だにせず、ただ静かにグラスを磨きながら答える。


その横顔は相変わらず鉄の仮面のように冷ややかだ。


「ごもっともですね。私は彼女の協力者であり、盾です。それ以上の定義は必要ありません」


「盾……ですかぁ? 騎士みたいな?!」


「騎士? そんな綺麗なもんじゃないわよ。第一、この男に人の心とかないでしょ」


「おやおや、失礼なことを言いますね。悲しいです…」


「嘘泣きしたってキモイだけよ」


アルベルトの棒読みの反論を切り捨てると、ダイキリはさらに含み笑いを深くして言った。


「ほら! 今みたいなの! どんなに言い逃れしようとしても無駄ですよ。二人で一緒にいる時の空気感とか、視線の交わし方とか……あきらかに普通じゃないですもん!」


彼女の指摘に、酒場の薄暗い照明の下でさえ、自分の顔が熱く上気していくのが分かった。


それを誤魔化すように、私は話題を逸らす。


「貴方も人のこと言えないでしょう」


すると、アルベルトが珍しく素っ気なく口を挟んだ。


「え? 私ですか?」


「そうよ、ダイキリこそ誰にでも同じ笑顔振りまいているけれど、内心でどう思ってるのか分からないわ」


「ええ、情報屋としての評価は高いですが、信用するのは得策ではありませんよ」

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