エピソード21:王としての継承と新体制の布告
クリスマスが明け、物語は新たな局面へと突入します。
最愛の父を失い、母の涙を受け止めたナバール。
しかし、彼にはいつまでも悲しみに暮れている時間はありません。
魔族の足音は刻一刻と近づき、国は未曾有の危機に瀕しています。
「自分に王の資格があるのか」
かつてそう自問自答した少年は、今、自らの意志で玉座に立ちます。
ドラグーン王国、新体制始動。
若き王による、決意の布告が始まります。
家族としての情を交わした後、俺は亡き父の遺志と、母の期待を背負い、王としての歩みを明確にした。
この感傷に浸っている暇はない。
「母上、アルテオ。我々の帰還と、エタンとの協力体制の確約をもって、次なる一歩を踏み出します」
俺は、毅然とした声で計画を告げた。
「俺は、世界に向けて父上の死と魔族の侵攻の事実を隠さず宣言します。そしてその宣言書を持たせた早馬を各国に送り、協力を仰ぎます。宣言が終われば、俺自身が各国を周り、支援を求めて行く。エタンの全面協力がある今、国を留守にしても心配ありません」
そして、俺は人事案を発表した。
「オーウェン。君は、騎士団長という肩書きでは、外交の場で十分な権威を持てない。よって、君を王家護衛将軍に任じる。俺の旅路の盾となり、ドラグーン王国の威厳を示してくれ」
オーウェンは感極まり、力強く一礼した。
「ナバール王!この命、将軍として必ずあなたにお捧げいたします!」
次に俺は母上に向き合った。
「母上。俺が外遊している間、国の内政と人事、そして各国からの返信を捌く外交の窓口をお願いしたい。重責ですが、国で最も頼れるのは母上です。王室首席顧問として、この国を力強く導いてください」
アイリス王太后は、亡き夫の影に隠れていた才能を開花させるように、明るい笑顔を見せた。
「分かったわ、ナバール。あなたが外で戦うのなら、私もここで、笑顔で、この国の混乱を収めましょう。この国を守り切るわ!」
最後に俺はエドルを呼んだ。
「エドル。母上の負担を軽減するため、内政の要となる部署、王都の混乱を収める内務を任せたい。今日より君を内務特命官に任じる。母上を支え、この国を内側から安定させてくれ」
エドルは感極まり、両手で顔を覆って号泣した。
「ナバール王!このエドルに、そのような大役を!命の限り、この国のために尽くします!ああ、ありがとうございます!」
そして、アイリス王太后の指示により、騎士団長には経験豊富なサムソンが就任することが決定された。
また、脆弱な魔導士団の強化の為、母上がアルテオと相談して、若いが素質があると認めたサリバンとビオラを、後からくるクリスに育成指導してもらうこととした。
そして、各国へ宣言書を持たせた早馬が出され、王都は新体制のもと、急速に動き始めた。
エピソード21をお読みいただき、ありがとうございました!
母の涙を受け止め、ついに自らの意志で玉座に立ったナバール。
オーウェンの将軍就任や、母・アイリス王太后の復帰など、ついにドラグーン王国の新体制が産声を上げました。
かつて「自分に王の資格があるのか」と悩んでいた少年は、もういません。
仲間を信じ、適材適所に配置し、自ら険しい外遊の道を選んだその姿は、紛れもなく一国の「王」そのものでした。
世界を舞台に加速していく、新生ドラグーン王国の「行進曲」を、ぜひ最後まで見守っていただければ幸いです。
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