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コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


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エピソード19.5:閑話・ドラグーンのクリスマス

メリー・クリスマス!


本日は2025年12月24日。

読者の皆様へ、ささやかなクリスマスプレゼントとして特別な閑話をお届けします。


物語の舞台は、雪の降り積もるドラグーン王国。

戦いの日々をひとときだけ忘れ、街が温かな光に包まれる一夜の物語です。

ナバールたちが過ごす賑やかで、そして少し不思議な聖夜のひとときを、どうぞお楽しみください。


 今日はクリスマス。

 雪がしんしんと降り積もったドラグーン王国の街並みは、色とりどりの飾りと温かな光に溢れていた。大人も子どもも、今日ばかりは戦いの不安を忘れ、幸せなムードに包まれている。


 新王ナバールは、国中の子どもたちに笑顔を届けるため、特別な任務を騎士団に命じていた。

「いいか、全員サンタの格好だ! プレゼントを配り終えるまでが任務だぞ!」

 副団長サムソンが誰よりも大きな声を張り上げ、はち切れんばかりのサンタ服を揺らして指揮を執っている。


 ナバールもまた、オーウェンと共にプレゼントの袋を担いで出発しようとした、その時だった。


「ヒッハーー! メリー・クリスマス、ナバール! 僕たちも手伝うよ!」


 空から耳を刺すような爆音と火花を散らして現れたのは、アルテオだった。

 自作の魔導ホバーにイーデルとボネットを乗せ、制御不能な速度で急降下してくる。


「陛下! 第三導管が焼き切れましたが、応急処置で出力を120パーセントに固定しました! 行けます、まだまだ加速できますよ!」

「素晴らしいよイーデル! ボネット、もっと魔力を流して! 聖夜の空に僕たちの輝きを刻むんだ!」

「了解いたしました陛下。過負荷で回路が溶け始めていますが、それもまた美しい演出ですね。さあ、どんどん配りましょう!」


 白衣をなびかせ、狂気すら感じるハイテンションで笑い合う三人。彼らを地上で見上げる近侍のクリスは、冷え切った目で吐き捨てた。


「……はぁ。バカが三人に増えましたか。あんな鉄の塊、クリスマスに墜落して燃え上がるのがお似合いですよ。不法投棄なら他所でやってください」


 ナバールが苦笑いしながら彼らを見送ろうとした瞬間、ホバーに乗ったアルテオが、隣にいたオーウェンの襟首をガシッと掴んだ。


「オーウェンも来なよ! 人手が足りないんだ!」

「は? な、アルテオ陛下!? ちょっと待って、それだけは……嫌だ、死ぬ! 命だけは助けてくれーっ!!」


 オーウェンの必死の命乞いも虚しく、魔導ホバーは火を噴きながら急発進した。

 三半規管を破壊する超絶酔う仕様のホバーは、オーウェンの絶望的な悲鳴を彼方に置き去りにして、夜空へと消えていった。


「……あいつ、生きて帰ってこれるかな」

「ふふ、オーウェンも案外楽しんでいるかもしれないわよ?」


 隣でクスクスと笑うのは、母アイリスだった。

「でもナバール、私たちも急がないと。サンタさんの仕事は、夜が明ける前に終わらせなきゃいけないんですもの」

「ああ、そうだね母上。……でも、この量を歩いて配るのは少し大変だな」


 その時だった。

 王城の奥から、まばゆい光と共に、巨大な影が姿を現した。


『ナバール、アイリス。今日は特別な日だ。私が送ってやろう』


 守護竜セト様だった。

 その背には、いつの間にか大きなソリが引かれている。

 ナバールとアイリスを乗せたセト様は、雪の夜空を優雅に舞い、街中の子どもたちへプレゼントを届けて回った。


「見て、母上。みんなあんなに笑ってる」

「ええ。あなたが守ろうとしているのは、あの笑顔なのよ、ナバール」

「……ああ。この国を、絶対に守り抜いてみせるよ」


 最後のプレゼントを配り終えた頃、夜空の月がひときわ明るく輝いた。

 セト様が、二人を乗せたまま静かに告げる。


『ナバール、アイリス。私からも、お前たちに贈り物をしよう。……ほんのひとときだけだがな』


 セト様が静かに魔法を唱えると、ソリの上に淡い光が集まった。

 そこには、優しい微笑みを浮かべた、父アラン王の姿があった。


「父上……っ!」

「アラン様……」


 アラン王は何も言わず、ただ愛おしそうに二人の肩に手を置いた。

 そして、ナバールの頭をわしわしと力強く撫でると、親指を立てて「よくやっている」と無言の太鼓判を押す。


「……っ、ありがとうございます、父上!」


 しんみりした空気になりかけた瞬間、夜空の向こうから「ぎゃああああ! 吐く! 死ぬうう!」というオーウェンの絶叫と、魔導ホバーの爆発音が響いてきた。

 アラン王はそれを見て、おかしそうに肩を揺らして笑うと、光の中に溶けて消えていった。


 温かな、父の掌の感触が残っている。

 

 それは、厳しい戦いの中にいる彼らにとって、何よりも欲しかったクリスマスプレゼントだった。


「さあ、ナバール。みんなが待つお城へ帰りましょう。きっとオーウェンたちが、ボロボロになって待っているわ」


 ナバールは笑いながら、母と共にセト様の背で夜明けの空を見上げた。


 メリー・クリスマス。

 世界を繋ぐ王の物語に、一筋の優しい光が灯った、賑やかで温かな夜だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


アルテオ、イーデル、ボネットの三人は、技術の話になると本当に止まりませんね。

そして、命乞いをしながら夜空の星となったオーウェンの明日はどっちだ……(笑)。


アラン王との一瞬の再会を経て、ナバールの心には新しい力が宿りました。

読者の皆様にとっても、このエピソードがささやかなクリスマスプレゼントになれば幸いです。


皆様も、素敵なクリスマスをお過ごしください!


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**【読者の皆様へ】**

「アルテオたちが面白すぎる(笑)」「最後のアラン王にほっこりした」と感じていただけましたら、

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