鉄の靴 ~新たなる拷問の幕開け~
半年越しの絶望の復活
気付くと私はここに来たときからそうだったように椅子に縛り付けられていた。
ただ、いつもと違って足は縛られてはいなかった。
鉄の、重い靴が履かされているだけで……
その靴はなぜか低い鉄の台の上に乗っていた。
つまり、いつもの地面に足が付く椅子とは違って、この椅子は背が高いようだ。
多分普通に座ったら地面に足が付かないだろう。
「お目覚めかしら?」
「……」
お姉さんはこちらを見ずにそう尋ねた。
きっと少し物音がしたのだろう。
私はあえて何も答えず、拷問の開始が少しでも遅くなるように抵抗した。
「あら、起きたと思ったんだけど……」
お姉さんは何かの準備をしているようだ。
ごそごそと何かを取り出す音が聞こえる。
こちらに近づいてくる。
身体が強張りそうになるが何とか気持ちを落ち着けて自然体を心がける。
「ああ、なんて綺麗な顔……」
お姉さんの息がかかるほど近くから見られている。
恐ろしいがお姉さんのことを無視してしまった以上すでに意識が戻っていることがばれたらひどい仕打ちをされるに違いない。
だから私は高鳴る鼓動を抑えながら何も気付かないふりをする。
バチッ!!!
「きゃあ!」
お姉さんは不意打ちで私の首にスタンガンを使った。
「綺麗な顔だからこそ、歪めたくなるのよね」
依然としてスタンガンは私の首元に当てられている。
「ねえ、篠原さん? 本当はもうとっくに意識は戻ってたんでしょう?」
私はほとんど考えることもなく、ただ恐怖でこう答えた。
「いえ、今のスタンガンで目が覚めました」
「そうなの?」
「はい……きゃあ!」
お姉さんはまた一瞬だけスタンガンを使った。
「ねえ、わかってるのよ。正直に答えた方がいいんじゃないかしら?」
私は混乱していた。どうしよう。
「い、いえ、本当です。信じてください」
「ふうん」
バヂヂヂヂ!
「いやっ! 痛い!」
さっきよりも長めにスタンガンの電流を受ける。
私は観念した。
「すみません、本当は目が覚めてました」
「ええ、それでいいのよ。もっと素直になってくれなくちゃこの先が思いやられるわ。」
お姉さんはそう言ったあともスタンガンを私の首に当てて、私の目をのぞき込んで反応を観察しているようだった。
私はいつ電流が来るのかと恐怖で目が回りそうだった。
「もういいわ」
意外にもお姉さんは何もせずに私の首に押し当てていたスタンガンを外した。
そう思った刹那、左腕から電流が走る。
「っつ!」
首に異物が触れているという状態から脱して一瞬安堵した私に、スタンガンの戻し際で電流を加えたのだ。
「ふふ、びっくりした?」
お姉さんは楽しそうに笑っていた。
本当に人を虐めるのが好きなのだと改めて恐怖した。
「じゃあ、本番を始めましょ……」
ティロリン♪
「あら?」
場違いな音がこの小屋に流れる。
お姉さんは残念そうに携帯電話をバックの中から取り出す。
しばらく画面をのぞき込んだ後、しばらく考えてから、メールの返信をしていた。
返信が終わると私の方へ歩いてきた。
「ごめんね篠原さん、明日どうしても外せない仕事が入っちゃったの」
それは私にとって願ってもないことだった。




