番外編 作者の作者による作者のための企画
あほだー。求婚を主題として、副題で5つ、お借りしました。完全に遊びです。彼等だったらこんなもんかなーと、性格を把握するためにもちょっと書いてみました。
本編とは全く関係ないので、ま、しゃーねーから見てやるよ、という奇特な方のみご覧ください。
※これはお遊び企画です。
キャラ崩壊の恐れがありますので、それでも大丈夫な方のみ閲覧お願いします。
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1・優しく頭をなでる(リューグ)
「リアナ」
「はい、お義兄さま?」
「よく頑張ったね。私の自慢の妹だよ」
背中を流れる柔らかな髪が、撫でた振動でふわふわ揺れる。嬉しそうに頬を染めるリアナ。可愛い。誰がお嫁に出すものか。一生、私の元で生きていけばいい。
「ふふ。さて、どうしましょうか」
皇家の紋が押された文書を脳裏で燃やし、これからのことを思い浮かべた。花嫁の条件を満たせなくなればいい。手っ取り早い手段として。
「僕のお嫁さんになりますか?」
「リューグお義兄さま?」
「安心してください。リアナはただこれにサインすればいいんですよ」
「?わかりました」
さらさらと流麗な文字が描かれる。それを懐に仕舞い、彼は段取りを済ませるべく動き出す。
「父上にも報告しなければなりませんね。子爵領は良いところですよ。きっとリアナも喜びます」
「そういえば、お義兄さまの領地には行ったことがありませんでしたね。楽しみです」
「ええ。近いうちに連れて行きましょう。皆に紹介しなければいけません」
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兄ちゃんは絶対なので、内容も確認せずに簡単にサインしちゃうリアナちゃんです。恋とかすっ飛ばして結婚しそうですよね。
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2・はぐれないよう手をつなぐ(ヴァリアス)
「リトル。いや、リアナ」
「どうしました、ヴァリー。仕事は終わりましたか?」
「あ、いやまだだが」
「でしたら、早く戻らないと。こんな所で話している場合ではありません」
ぐいぐいと有無を言わさず、城の方へと引っぱられる。こんな時、手を繋いでいたことが仇になり、小柄な身体に隠された力が発揮する。
仕事の合間を縫って漸く実現したデートなのに、容赦がなかった。折角の良い雰囲気がいとも簡単に覆される。
しかし、ヴァリアスとしても退くわけにはいかなかった。今日彼は、大切な言葉を伝えるために来たのだから。
「リアナ、待て。午から日暮れまでは休憩なんだ」
ぴたりと足が止まる。くるりと振り向けば、相変わらずの笑顔だったがどうやら怒っているらしい。
「そういうことは早く言ってください!いつも、ヴァリーは言葉が足りないです」
「すまない」
「でも、嬉しいです」
「リアナ……」
堪らずその姿を腕の中に閉じこめる。恥ずかしそうに、それでも大人しく腕の中に収まっている恋人。リアナから香る甘い薫りがヴァリアスの理性を奪う。けれど、彼は思いきって両手で引き離した。驚いている彼女を前に、彼女の手首に自分の額を当てる。
「リアナ・レイス・スフェンネル嬢。どうか、俺と結婚してくれないだろうか」
「ヴァリー?突然どうした……」
「俺は!お前に部下ではなく妻として傍にいてほしい。嫌か?」
「……」
リアナは沈黙したまま応えない。駄目なのか、と内心で諦めた時。ようやくリアナが笑っていることに気づいた。
「リアナ?」
「ご、ごめんなさい。まさか直球で来るとは思わなくて……っ……」
ヴァリアスの下で働くリアナには様々なヴァリアスに関する情報が入ってくる。その中には、どうやって求婚したのかを聞かれたという既婚者の部下が何人もいて。腹心であるリアナだからこそ話してくれたのだろうが。
「笑うな。これでも真面目に考えたんだ」
「いいですよ」
「……は?おい、リトルもう一回言え」
「嫌です」
くすくす笑うリアナを慌てて追うヴァリアス。けれども繋がれた二人の手は外れることがない。
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いまいち締まらないのがヴァリアス君です。
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3・眠くなり膝を枕にする(ジェラルド)
「ねぇ、リアナ。僕と結婚してよ」
ぱちりと暖炉の炭が爆ぜる。梳いていた手を止めて、リアナはまじまじと自分の膝を枕にするジェラルドを見た。
「今更どうしました?式まで後三日もないのに」
「だからだよ。それで返事は?」
「嫌です、と応えたら止めてくれますか?」
「強情だなぁ」
「肝心な事を聞いてませんから」
二人の横顔が赤く照らされる。束の間黒い影が重なった。炎に合わせて影が揺らめく。ジェラルドは不満げに引っぱった髪を手の中で弄ぶ。
「何で邪魔するわけ?確か家族と恋人はしてもよかったと記憶してるけど」
「貴方は婚約者です」
つまりはその括りに入らないと。暫しどちらも譲らないように見つめあっていたが、先に逸らしたのはジェラルドだった。彼らしくもなく少年のように髪を掻き混ぜると、降参だよ、と希有な紫の瞳に決意を滲ませて言った。
「一度しか言わないからしかと聞くように」
「御意に、皇太子殿下」
真面目くさって答えるリアナにふと笑みが零れる。陶器のように滑らかな白い頬へと指を滑らせた。
「僕自身が、他でもない、君が君だから選んだんだ。誰にも一生放してやらないよ。だから僕のものになれ、リアナ」
「強引ですね。そして貴方も強情」
「僕は皇太子だぞ。欲しいものは絶対に手に入れる達なんだ」
つまりは言わせてみせるという宣戦布告で。リアナはゆっくりと瞠目し、自ら重ねる。それは答えであって答えでない。
二人の攻防は終わらない。果たして負けたのはどちらなのか。結末を知るのは意地っ張りな恋人達だけだ。
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ジェラルド君は、肝心な言葉は言わせたいタイプかな、と。リアナちゃんとの些細な言葉遊びをするのが好きそうです。
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4・ぴたりと背中を合わせる(ジュード)
「良い天気ですね」
蒼穹の空がどこまでも広がっている。リアナは木陰から漏れる光を手で翳しながら広大な空を見上げていた。
「ああ、そうだな」
木を挟んだ反対側で本に視線を落としていたジュードは、顔を上げると眩しげに目を細める。
暫くの間、木を背もたれにして二人は静かに空を見ていた。涼しげな風が木々を揺らして流れていく。どれくらいそうしていただろうか。薄い雲が太陽を隠し、陽射しを妨げる。
「リアナ。俺と結婚してくれ」
風の力で雲は追い払われ、再び太陽が顔を出す。眩しさに耐えきれず、リアナは目を瞑った。
「お受けします」
突然強く吹いた風が、二人を祝福するように花弁を巻き上げる。花弁がくるくると踊る中を、二人は黙って見つめていた。
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ジュードさんは寡黙ですから、さらっと求婚しています。それに答えるリアナちゃんも直球で。ジュード兄ちゃんには素直そうですよね。短いですけど、彼等は言葉を重ねなくても判っていそう。そして背中を木越しに合わせてます。
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5・慰めるため肩を抱く(?)
絶望の縁に追いやられるでもなく、どこまでも彼女は淡々としていた。気丈に伸ばされた背筋は前を見据えたまま、動くことはない。
「判っていたことです。今更戻れるはずがないってことは」
雨ざらしに晒されながらも、彼女の視線は一つに固定されている。彼は黙って華奢な肩を手繰り寄せた。泣けない不器用な彼女の代わりに、雨が泣いているようだった。彼女の慟哭が雷になって空を光らせる。
「俺があんたの居場所になってやる。だから泣くな」
「私が泣く?そんなことあるわけ無いでしょう」
それがあたかも真実だと言うように、いつもの如く微笑んでいた。彼はそれを哀しいと思った。彼女は泣くことすら忘れてしまったのだ。それを選択させたのは自分であるのに、心が痛む。
けれど同時に歓喜でもあった。これで彼女は自分のものになる。彼女の大きな割合を占めていたそれが崩れた今、それを埋めるのは自分だけなのだ。
稲妻がもたらした光は、歪な笑顔を浮かびだした。
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あー、誰でしょう、この人。この先出てくる予定の人ですが、まだ自分でもよく判ってないという…。だって、そこまで書いてないんだもん(おい)ま、お遊び企画って事で許してください。
お題配布元はこちらです。
http://sky.geocities.jp/rila_rilala/odai/
なんかお題ってやつに憧れまして、書いてみました。ぶっちゃけ、お題半分くらい無視してる状態です。なんか申し訳ない。