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招魔の祈り ~law distorters~     作者: 平山コウ
2.~ファミグリア結成~
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【2】ー24  後処理


「「「な、なんでここにーーーーーーっ!?」」」

「うわっびっくりした!」


 リンが仰け反って驚く。そんなこと関係なしとでも言うように、フロルがずいっと詰め寄る。


「リン。説明してくれるよね?」

「う、うん……」


 顔をひきつらせながら、リンは全員を見渡した。


「そ、それがね……」





『リン・クエスティ。あなたは自分がどんなことをしたのかわかっていますか?』

『……はい、庇護者。わかっています』

『本来なら投獄という処置も視野に入れるべき事態です』

『はい、存じており…………本来なら?』

『そう。でも私はあなたを許すことにしました』

『え……えぇ!?』





「これだけ」

「「「………………はぁ」」」


 あの最高権力者、やってくれる。

 リンの罪をもみ消すのにどれだけの労力をかけたことやら……。


「だから、フロルちゃんのお母さんには感謝してるよー」

「え、知ってたの?」

「いやだって、仕草がそっくりだし。でもあんまり顔は似てないんだね」


 リンも普段と変わらない様子でフロルと話している。割とすんなりと話していたリンを見て、レヴァンは危惧したことが外れてほっとした。


「そういえばアミナん。すごいんだね! アタシ、アミナんがあんなに強かったことにびっくりしたよ!」

「…………それでも相打ち。今度は負けない」

「うん。今日の訓練で手合わせしよー!」


 アミナとは前よりも仲良くなっているようだ。リンの元気さはアミナを引っ張り上げてくれる。


「リン」

「ん、なに?」


 リンが自分のほうを見たのを確認してから、レヴァンはニヤリと笑った。


「おかえり」

「っ!」


 なぜかリンはその言葉に肩をビクッとさせると、すぐに弱々しい笑みを浮かべた。そして、先程よりトーンが数段下がった声で返した。


「……うん」



  ◇◆◇



「よかったのか、お咎めなしで?」


 守り手の間で、その凛々しい身体を柱にもたれさせ、エルゼが玉座に座る女性にそう尋ねた。するとその女性――イレーネが、ふんわりと微笑む。


「可愛い子は正義だから」

「まじめに答えろ」

「彼女はもう罪の意識に苛まれているから」


 エルゼが見たイレーネの表情は珍しいことに真剣だったので、エルゼは口を開かず続きを待った。イレーネはどこか遠いところを見るように視線を移動させると、


「あとはレヴァンくんたちに任せたほうがいいと思う」


 そう言って、イレーネは再びふんわりと微笑んだ。


「それより、エルちゃん」

「なんだ」

「報酬は何がいい~?」


 そのイレーネの言葉にエルゼが片眉を上げて怪訝な顔をする。どういうことだと尋ねているようなその顔に、イレーネはにこにこ笑いながら悪戯っぽい表情で口を開いた。


「魔の狩人……残党狩りしたの知ってるよ~」

「……相変わらず油断ならない奴だな」


 エルゼは苦笑すると、一転して真面目な顔を作った。


「イアクトをかなりの数、押収したが……どうする?」

「とりあえず出所を潰しといて~」


 ニッコリと笑いつつ、さらりと恐ろしいことを口にするイレーネ。その言葉に身も蓋もないな、と再び苦笑してから了解した。それが彼女の仕事なのだから仕方ない。

 その後、再び報酬の話へ戻り、イレーネが尋ねると、「それじゃ、珍しい酒でももらおうか」とエルゼは報酬を要求した。それをイレーネはふふふと言って、


「やだ。少しは健康に気を遣わないとだめだよ~」

「こいつ……」


 エルゼが額に青筋を浮かべ、迫る。それに汗を浮かべて焦るイレーネが早口で言葉を並べた。


「エ、エルちゃんのお陰でレヴァンくんたちに余計な危険はなかったんだし。よかったね~! だから、私に当たるのはおかし――」

「知るか、たわけ」

「ご、ごめんなさいぃぃ~~!」


 物見塔に、庇護者の悲鳴が響き渡った。



  ◇◆◇



 放課後、教室がいつも以上に賑やかになる。

 明日は何故か講義が中止となり、訓練の開始時間も遅いのだ。少し羽を伸ばしたい気にもなるのだろう。


「喫茶店寄ろうよ!」


 フロルが提案。反対意見はなし。レヴァンたちの行動は決定した。


「え、でも……」


 と今日は仕事はないらしいカナンが周りを見渡す。それにつられてその場の全員が同じようにするが、目的の人物は見つけられない。


「…………リン、いない」

「ったく、ちょこまか動きやがって……」


 アミナが寂しそうに、ハンスがめんどくさそうに言う。ハンスもリンとは気の置けない仲で、レヴァンを含めた三人でよく組手をしていたので、ハンスも実はリンと仲が良いのだ。まったく、とんだツンデレである。

 教室内にリンの荷物が残っているのを確認して、レヴァンは通信端末で呼び出しをかける。しかし、それに反応がない。

 それに、レヴァンはしばらく集中するように目を閉じると、


「みんなで手分けして探そう。フロルとアミナは他の学年の教室、パルメル兄妹は特別教室の方を見て来て。俺はここより上の空き教室とか調べてみっから」


 レヴァンの具体的な指示に、全員がわかったと頷く。

 フロルが一つ上の階、アミナが下の階、ハンスとカナンが別棟へ続く渡り廊下の方へと小走りで行く。それを見届けてから、


「さて、娘を更正させに行きますか」


 そう言って、レヴァンは階段を登り始めた。




 今回は短めです。次回で第二章が終了することになると思います。

 第三章から、急展開の予感……。

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