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ねえ、君、死ぬ前に私と将棋しようよ  作者: takemot
最終章 「〇〇〇さん」
135/142

第135話 ゴゴゴゴゴ

 日曜日。六畳一間。アパートの一室。


「このお饅頭美味しいね」


 パクパクとお饅頭を食べる死神さん。


「あらあら。気に入ってくれてよかったわ。お土産に持ってきたかいがあったわね」


 ニコニコと死神さんを見つめるお義母さん。


「…………」


 正座のまま恐怖で体を震わせる僕。


 そして……。


「…………ゴホン」


 わざとらしい咳ばらいをしながら、僕を睨む男性。


 真っ黒なローブの上からでも分かる筋肉質の体。腕組みをしてこちらを睨むその姿は、頑固おやじと表現しても差し支えないでしょう。口の周りから顎にかけて生えている黒ひげが、より一層その迫力を際立たせています。


 そう。その男性とは、死神さんのお義父さん。


 僕と死神さんは、死神さんのご両親とテーブルを挟んで向かい合っていました。普通なら、緊張してもおかしくないような場面ですが、約二名、緊張感に欠けている人たちがいます。そのせいで、肝心の話題に踏み込むことができません。


 気のせいでしょうか。お義父さんの背後から、ゴゴゴゴゴという音が聞こえます。僕の恐怖はもう限界に達していました。


「えっと……」


 僕は、チラリとお義母さんの方を見ました。この状況を何とかしてほしいと願いながら。


 お義母さんは、僕の視線に気が付くと、フッと優しい笑みを浮かべました。よし。これで、何とかなりそうです。


「ねえ」


「どうしたの? マ……お母さん」


「どうやら、彼はお父さんと大事な話があるそうよ。だから……」


 僕の願い通り、お義母さんは場を整えてくれるようです。問題は、この後、どうやって話を進めていくかですね。ここで変に失敗してしまうと、僕がお義父さんに殺されてしまう可能性も……。まあ、死神さんとお義母さんがいる手前、そんな物騒なことにはならないでしょうが。


「私たちは席を外しましょうね。彼とお父さんだけにしてあげましょう」


 …………へ?


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