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ねえ、君、死ぬ前に私と将棋しようよ  作者: takemot
第4章 いなくなった死神さん
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第102話 明日こそ……

「……おいしい」


 死神さんが、煮物に入っている鶏肉を食べながら、小さくそう呟きました。


「それはよかったです」


「…………」


「…………」


「……聞かないの?」


 不安そうな表情を浮かべた死神さんが、まっすぐに僕を見つめます。


「……何をですか?」


「その……私に何があったか……」


「……まあ、聞きたいのはやまやまですけど、言いにくそうでしたから。言えるようになったらでいいですよ」


 誰にだって、言いたくないことの一つや二つあります。先ほどの、死神さんの様子。あれは、どう考えても、何があったかを言いたくないという反応でした。それを無理に聞き出しても、死神さんが辛くなるだけです。


 僕の言葉に、死神さんは、左手をキュッと握り、自分の胸に押し当てました。


「……ありがとう」


 そう言って、優しく微笑む死神さん。ですが、多少無理して笑っているようにも見えます。


 これ以上、この話題を続けるのはよくありませんね。


「いえ。……さて、僕はそろそろ寝ますね。明日も学校なので」


「うん。おやすみ。後片付けはしておくから」


「お願いします。おやすみなさい、死神さん」


 僕は、ベッドに横になり、目をつむりました。テーブルの方からは、死神さんが、食事をする音が聞こえてきます。


 死神さんが傍にいる。それだけで、僕の心は穏やかでした。


 しばらくして、僕の意識が朦朧としてきた頃。


「明日こそ……」


 不意に、そんな言葉が聞こえました。ですが、その意味を考えられるほど、僕の頭は機能していませんでした。


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