出会い1-7
前話の表示間違えた~。出会い1-6です。
今話は、出会い1-7です。
遂に今年も師走を迎えてしまったな。
風邪ひかないように残りもがんばります。
みなさまもお気をつけて。
では、続きをどうぞ~
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光の集束が収まり、皆の視線が俺のスマホに集まる。
わらわらと皆が集まる。
騎士のオッサン、歩いて大丈夫かよ、とも思うが、自分の
目で見たうえで、愛馬が消えてしまったと思えば、そりゃ~
どうなったのと寄って来る気持ちも分かるわな。
警官三人、救急二人、俺達二人と所有者の騎士のオッサン
一人の計八人が俺のスマホをのぞき込む。
さっきの動画は撮れている。光がこちらに向かってきて、
画面が徐々に金色に照らされて、光量が強く、ホワイトアウト
していくところで、動画は切れた。
そして、みんなで唸る。さらにもう一度、一斉に唸る。
最初の唸りは、こんなことあるのか?もしくは、どうすれば
こんなことになるんだろと思い、警官たちは「これ、なんて
報告する?」と三人で視線を彷徨わせ、最後に一斉に唸ったの
は、自分自身に、不思議なこともあるもんだ、と納得させる
ための唸り、だったように思える。
そこで皆々、ふっと思った。
原点に立ち返ろうと。
自分たちは何故ここにいるのだろうと。
救急隊員は「救護者」を病院に搬送しようと担架を手に。
警官たちは、「被害者を確保し、周囲に加害者を検索するも
該当者なし」と無線で報告し今後の指示を仰ぐ。
俺たちは、「・・・帰ろ。」という事だった。
しかし、俺たちは救急と、警察からの要請と言う強制により
騎士のオッサンの収容病院にて再度、事情を聞かせてほしいと、
各方面から要請されたので、ご協力のほどよろしくお願いします
の一言で、俺達も付き添いで病院行きとなった。
(ちっ、めんどくせ)
救急隊から搬送先は、岩手救命病院に向かいますと言われ、
警察からは、東警察署の刑事課から担当者が向かいますと告げ
られ、昼も過ぎていたので、車内で瑞樹が作ってきてくれた
お弁当をモシャりながらハンドルを握り、三台が向かった。
なぜ三台かと言えば、一台は救急車は当たり前。
二台目は俺達。
三台目はパトカーだった。普通パトカーはそのまま業務?
公務?に戻るものだが、今回は騎士のオッサンが持っている、
騎士のいわれであるところの、刀剣類を担当刑事に引き渡すた
め同行して来たようだ。
この刀剣(大小)は、軍用仕様のためか華美たところが無く、
せいぜい家紋なのか、国家の徽章なのか程度が金細工として
施され、握りの部分が皮で出来ているのか、雨や汗を吸ったの
か、黒く変色し擦れているようであった。
いずれにせよ国内において、許可無く刀剣類の携帯・保持が
許されるはずもなく、俺がジェスチャーにて納得させていて
警官の手元にある。
車で走ること一時間。ようやく岩手救命病院に到着した。
救急車は既に搬送完了し、オッサンは治療中との事で、
俺たちは所定の駐車場に車を止め、緊急外来入り口に向かって
あるいて行く。
受付に顔を出し尋ねると、受付嬢が「あちらで刑事さんが
お待ちです」と教えてくれた。(うおっ、火サスみたい)
俺と瑞樹が礼を言って、窓口を後にし長椅子に掛けていた
二人の刑事に足を進めると、向こうも気が付いたのか立ち上が
り、俺達の氏名を確認してきたので頷くと、院内の会議室
みたいな部屋に通された。
扉を開くと病院らしい白とベージュを使った会議室で、長机
二セットが平行にと、パイプ椅子が六脚用意されていた。用意
と言うより、前回使用したままの感じが見て取れた。
簡単な自己紹介をし、数時間前に起こった話をしたが、やはり
信じられないといった感じが表情に漂う。
しかし、所轄の警察官から渡された刀剣類に付いている紋様
など見ても、東洋の島国からも出たこともなく、欧州の歴史に
明るい訳でもない四人があれこれ考えても始まらない、という
雰囲気に包まれたころ、治療に当たっていただいた医師が入室
してきた。
結論からいって意思疎通できない時点で医療行為に問題がある
らしいがそこはそれ。
患者からの同意無しに、と言うあたりだが、しかし実際、触診
したり出血していた傷口から、しれっと採血し感染・伝染病の
結果が分かるのは明後日、月曜午後になりそうだと伝えられた。
(感染症や伝染病にでもかかっている外国人は珍しくなく、自覚
せず保菌している場合があるので、血液検査などは、可及的速や
かに対処することもあるらしい。)
俺が「そうか明後日かぁ」なんてのんきに考えていたら、医師
からの視線が、俺の向けられていた。
なんだろうと思っていると、救急隊員からの報告に、身元不明
であることに、病院側も治療費をどこに請求しようか困っていた
との事。
なるほど、その通りだよなぁ、などと更に、のんきに考えてい
ると、
「あなた、代わりに払ってもらえませんかねぇ」と言われる
始末。
俺は発見者として、今日一日無駄にした言わば、迷惑を被った
側なはずだ。
迷惑を被った側に、更に金を出せ、とはどんな理屈なのだろう。
いつからこの国は、アジアの偏狂国並みの世界観になったの
だろうと考えてたら、つい「お前は馬鹿か」と口走ってしまった。
そこからは、スイッチが入ってしまい、罵詈雑言の雨あられ。
一,二分まくし立てて会議室は静かになった。
二人の刑事も、病院の気持ちは分かるが、彼に言うような話
ではないような事と思っていたらしく、多少の暴言は見逃して
くれた。
しかし、変わり者の俺としては、言いたいことをしゃべったら、
ストレスが吹き飛び、気分がよくなって「オッサンの医療費は
払ってやるが、限界まで安くしてくれよ。気に入らなきゃ
払わねぇよ。もともと払う義務も、必要も俺にはないんだからな」
と言う言葉に、医師は二,三度頷き、部屋を出て行った。
年嵩の刑事が少し下を向きながら、苦笑いして俺に訪ねてきた。
「その年で、なかなか君はしたたかなしゃべり方をするねぇ、
さっきのまくし立て方と良い、怒鳴るほどではない声量と良い、
俺達が手を出せないギリギリを突くあたり、君の身内で法律
関係者でもいるのかな」と。
年若い刑事が
「どういうことですか」と聞いてくる。
年嵩の刑事が言う。
「おまえ、あんなに冷静に、相手の不都合な点ばかり突いて、
尚且つ、自分の弁論に酔わず、声を荒げず、一,二分で主張でき
るか?もし、それが出来るってんなら、お前は将来は刑事部長様の
ポストも狙えるし、今でも、そのクラスとも充分に、やり合える。
なんだったら、俺は今すぐ、お前の下についてもいいぜ。」と言う
と共に、俺に目線を移す。
年若い刑事は、何を冗談をと、ため息をつき肩を竦める。
別に俺も隠すいわれはないので、六大学法学部卒で、ザ・警察
官僚を目指していたこともあったし、父親もお宅たちのOBだと
伝えた。
年嵩の刑事は目を細め、口笛をぴゅ~と鳴らす。推測が当たった
ようだ。
年若い刑事は聞く。「ご存知ですかと」
「そうだな、ご存じなんて言葉に入りきらねぇ大先輩の息子さん
だ。俺がお前より若い、鼻たれ小僧の頃に配属されたとこの係長
さんで、刑事のイロハをたたき込まれた人よ。
オヤジさんは元気かい。」
俺は「元気で実家で農業をしていますよ。」と返す。
年嵩の刑事がそうかいといい、二度ほど頷くと、年若い刑事に
言った。
「この若けぇのはな、生まれた時から警察の飯を食ってきたのと
変わりねぇ育てられ方をしてきたはずだぜ。あのオヤジさんに育て
られたんじゃぁな。下手すると、俺とおんなじぐらいの胆が据わっ
ていても不思議じゃねぇぜ、わっはっは。」と笑う。
若い刑事は俺の事を、まじまじと見つめてくる。
「男がまじまじとこっち見んじゃねぇ」と俺が言うと、年嵩の
刑事が、「しゃべり方や、声までそっくりだぜ」とまた笑う。
ひと笑いしたら年嵩の刑事が、俺に向かって言った。
「今日の信じられない話を、俺は全部信じるぞ。だだし、この
刀剣類だけはこちらで保管だ。然るべき書類と許可証があれば返す
がな。それと、なにか言いずらい情報があるなら早く言ってくれよ。
書類作るにしても時間が欲しいからな。
まぁ、もっとも書類作りはこっちの仕事だけどな。」と笑い、
年若い刑事は、下を向いて力なく笑う。
とりあえず俺の身元がはっきりしたところで、騎士のオッサンの
話に戻った。
所持品の確認として、書類に以下の内容を記録して控えとした。
1、刀剣類(大)刀身68cm 刃渡り45cm 一本
金細工で装飾有り。
(小)刀身45cm 刃渡り24cm 一本
銀細工で装飾有り。
返却には、所持許可証を持参の事。
2、甲冑類 カブト(頭部保護用) 一ケ
マスク(カブト内着用布製) 一ケ
胸部鎧(鉄製、装飾アリ) 一ケ
鎖帷子(上半身用) 一ケ
腰垂れ(鉄製、腰部保護用) 一ケ
靴 (部分保護用鉄材使用) 一対
3、金銭(革袋入り)
金貨らしき物 三枚
銀貨らしき物 五枚
銅貨らしき物 七枚
宝石らしき物(赤)一個
以上の内容になったが、実際、「一」に関しては銃刀法の許可など
本人名義で取れる訳もなく、「二」に関してもどこの国から来ている
のか分からないから、帰れる当てもないのに返してもらっても、
今すぐ使う用は無いから、邪魔の一言なので、暫く保管をお願いする
感じかな。
「三」だけは、金銀のようだから本人退院後、引き取りに行ったら
返却できるようにして、貰えるように了解をとっておいた。
さて俺は、月曜午後に検査結果を聞きに来なきゃいけないのか、
課長に午後休もらおうかと考えながら、瑞樹と家路についた。




