二幕
「不甲斐無い……! おめおめと生き恥を晒すとは……!」
「何言ってんのよ。死んだら何もかも終わりよ」
「悔しくないのか? お前は」
「悔しいに決まってるでしょ! あいつらギッタギタにしてやりたいわよ!」
二人が初めて敗北を喫した翌日。昨夜の戦いについての反省と今後について話し合う為、弓狩の家に集まっていた。幸い今日は休日で学校は無い。
弓狩もリリカも、昨夜の敗戦を引きずっている。これまで苦戦した事はあっても、何とか切り抜けてきた。だが四天王と名乗った二体の強力な魔物相手に逃げるしか出来なかったのだ。一晩経って体の傷は治ったが心には未だに敗北の屈辱と、自身の不甲斐なさへの憤りとが渦巻いている。
「落ち着くクー。もしもあのまま続けてたらほんとに危なかったクー」
「だが、町の住民に犠牲が出てしまったではないか……」
朝のニュースで、10人以上の人間が突然意識不明の状態に陥るという怪事件が大々的に報道されていた。まず間違いなく、魔物の仕業だろう。
「二人のせいじゃないですミン。気にしない……のは無理かもしれないけど、あまり気にしすぎちゃダメですミン」
「二人がもしやられちゃったりしたらその方がよっぽど大変クー。この世界が魔物に荒らされ放題になっちゃうクー」
「でも、またあいつらが来たらどうするの? 今回は何とか逃げられたけど、次は無事でいられるかどうか……」
「それは……」
一度逃げても結局問題を先延ばしにするだけだ。脅威が去った訳では無い。
「特訓だな」
「特訓?」
「強さとは本来一朝一夕で身に付く物では無いが、そうも言ってられまい。やるだけやるぞ」
「……それはいいんだけど、魔法の特訓って何するの?」
「それは……何だ? 久三郎、お民」
やる気はあるが、具体策は無かったらしい。
「うーん、普通はユカリンの言う通り地道に練習するのが一番だと思いますミン」
「地道になんてやってらんないわよ。何時また襲ってくるか分からないんだから」
「……魔法の試練をやってみるクー?」
「試練? 何それ?」
「成功すれば一気に力を得られるけどクー……」
「失敗すれば死にますミン」
「死っ!?」
リリカが裏返った声を上げて驚く。失敗即ち死、とは何とも剣呑な話だ。
「それだけ見返りが大きいって事ですミン。当然かなり難しいらしいですけどミン」
「言い出しておいてなんだけど、やっぱりリスクが大きすぎるクー。試練をやるくらいなら地道にやった方がマシクー」
「まあ、流石に死ぬのは……」
「――やろう」
「……あんたはそう言う気がしてたわ」
腰が引けているリリカを余所に弓狩が持ち前の向こう見ずさを発揮する。
「やらなければどちらにしろ命が危ういのだ。やるしかあるまい」
「ユカリ……止めても聞かないクーね」
「無論だ」
危険があるとしても、早急に力を付けなければいけないのは事実。そもそも命を懸ける覚悟など、この戦いを始めた時とっくに決めている。今更だ。
「それで、その試練とやらはどうすればいいのだ?」
「魔法界に行くクー」
魔法界。
当然だが弓狩もリリカも行った事は無い。妖精達からの伝聞で僅かに知っているだけだ。
「魔法界……って行けるの? ていうか魔物で溢れてるんじゃないの?」
「ゲートを使えば行くこと自体は難しくないですミン。試練をする場所は辺境だから魔物はいないですミン……多分」
「魔物達は王都――魔法界で一番栄えてる所を占拠してるクー。試練の遺跡はそこから遠い所にあって、王都とは別のゲートがあるから大丈夫だと思うクー」
「よし、善は急げだ。早速行くぞ」
「ちょっと待つクー。試練は下手をすると数日かかるクー。そんなに家を空けて大丈夫クー?」
「む……あまり父さんに心配をかけたくはないが……仕方ない。書置きをしていこう」
そう言うと、弓狩はノートの切れ端に書置きを書いた。内容はこうだ。
「何々、『山籠もりに行ってきます。数日帰らないかもしれませんが心配しないでください』……何これ、馬鹿なの? 知ってたけど。こんなんで娘が居なくなるのを納得する親なんていないわよ!」
リリカが呆れながら怒る。言い訳にしても他にないのだろうか。弓狩らしくはあるが。
「案ずるな。お祖父ちゃんが存命の頃は山に連れて行かれて数日しごき倒された事もある。大丈夫だ」
「何なのよそれ……どうなってんのあんたの家族……」
どうやら弓狩の家ではこの言い訳が通るらしい。リリカはもう言葉も無い。
「でもまあ、弓狩が行くならしょうがないわね。私も……」
「えーっと、リリちゃんもやる気になってるところ悪いですけどミン」
「遺跡のゲートは小さいから、一度に一人が限界クー」
「何よそれ! じゃあ私は留守番ってこと!?」
弓狩に触発されてやる気になったリリカだったが、その矢先に出鼻を挫かれる。
「ごめんクー。でもユカリの方が魔法少女としての経験は長いし、試練をクリア出来る確率は高いはずクー」
「それは……そうかもしれないけど!」
「リリカ」
「何よ!」
「私の留守の間、こちらの守りは任せたぞ」
「そうですミン。こっちの世界を守るのだって大事ですミン」
「……もう! 分かったわよ! その代わりとっとと済ませて戻って来なさいよ! 失敗したりしたら許さないからね!」
「ああ、お前ももし魔物が現れても一人で無茶するなよ」
「あんたに無茶とか言われたくないわ!」
妖精達に諭され、リリカが渋々ではあるが納得する。
「全くもう……ところでさ、ちょっと気になったんだけどあいつら魔王四天王とかって言ってたじゃない? 魔王ってのは何なの? 四天王っていうのは多分幹部みたいなものなんだろうけど」
「うーん、聞いた事無いクー。魔法界で一番偉いのは女王様だけど、魔王って呼ばれ方はされないクー」
「多分、その魔王っていうのが魔物を率いてる親玉だと思いますミン。魔物は普通大きな集団で行動する事は無いけど、自分より強い相手には従うらしいですミン。魔王は魔物達を強さで服従させて大軍を作り上げたんじゃないかと思いますミン」
「……つまり昨日戦った連中と同格の相手が更に二体居て、その上そいつらをも上回る強さの首魁が待ち受けているという事か」
「そう考えると、やっぱり今よりもっと強くなるのは必要よね……」
四天王二体を相手に敵わなかったというのに、この先まだまだ強敵が控えているらしい。今のままでは勝ち目は薄いだろう。
「そうだな。やはり命を賭けてでも試練とやらに挑まねばなるまい」
改めて、力の必要性を認識する。自らの屈辱を晴らす為、そして何より難敵に打ち勝ち生き延びる為に。
「それじゃあユカリ、準備はいいクー?」
「うむ」
「ゲートを開くから二人は下がっててクー」
「ゲートってどんなのかしら?」
二人が部屋の端に寄るのを確認すると、クーがゲートを開く呪文を唱えた。
「開け、魔法ゲート! 導け、試練の遺跡へ! クー」
「わ!」
「おお……」
クーの体から光が湧き出すと、目の前の何も無い空間に吸い込まれた。するとそこから光が広がる様にして空間に穴が開いた。ぼんやりと揺らぐその穴の向こうには、森の緑と思しき景色が見える。
「さあユカリ、これを潜れば魔法界クー。あ、ちゃんとクーも着いて行って案内するから安心するクー」
「ああ、それではリリカ、お民、後は頼んだぞ」
「早く帰って来ないと私が魔物全部倒しちゃうからね!」
「いってらっしゃいですミン。お土産はいらないですミンよ」
弓狩とクーが空間に開いた穴を潜る。二人を呑み込んだ穴は徐々に縮んでいき、やがて消滅した。
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魔王によって占拠された城、その王の間。玉座の前にヴァンパイアとデュラハンが跪いている。
「で、結局そのガキ共を取り逃がしちまったのか」
「大口を叩いておいてこの始末、如何様な処罰も甘んじてお受け致します」
「申シ開キノシヨウモアリマセヌ」
謝罪の言葉と共に二体は深く頭を垂れる。デュラハンの頭――兜は外された状態で横に置かれているが。
「がっはっは! 罰なんざ与えやしねえよ。寧ろ楽しくなって来たじゃねえか。勝てないまでもお前らから逃げおおせるとは、骨があって結構な事だ」
「はっ……王の寛大さに感謝します」
「次コソハ、必ズヤ……」
「――だが、このまま済ます訳にもいかねえ。次行く時はあの木偶の坊も連れて行け」
「四天王の内三人も同時に、ですか……」
先の失敗を踏まえ、弓狩達を確実に仕留める為魔王は更なる戦力を投入する腹積もりのようだ。
「応よ、流石にこれで逃がしはしねえだろう。いっそお前ら全員で行ってもいいが、最後の一匹……あいつはそもそもゲートを通れそうにねえしな」
「分かりました。それでは本日はこれで失礼致します」
「失礼致シマス」
ヴァンパイアとデュラハンが立ち上がり、広間の出口へと向かう。
「忘れるところだった。奪ってきた魔力は地下のあれに注いどけよ」
「ええ、承知しております」
「御意」
退室する二体の背中に、魔王が何かを言付ける。人間界の人々から奪った魔力……それをそのまま力にするのではなく、別の目的に利用するようだ。
「上級と言われる魔物三匹……これを相手にして生き残れるかねえ。魔法少女とやらは」
薄く笑みを浮かべながら魔王が独り、呟いた。果たして、少女達は試練を超え四天王を打ち破る事が出来るのだろうか。
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ゲートを潜った瞬間、天地の感覚が消失する。奇妙な浮遊感と共に、眩暈の様な感覚を覚える。
「はっ……」
恐らく一瞬の出来事だったのだろう。気が付くと弓狩の足はしっかりと大地を踏みしめている。
「ここが……」
「ちゃんと辿り着けたみたいクー。まずは一安心クー」
弓狩はぐるりと辺りを見回す。周囲には一面に木々の緑が広がっている。異世界と言えど、植物は人間界と大差無い様だ。足元には石畳が敷いてあり、それが伸びた先には石造りの建造物が建っている。大きなかまくらの様なドーム状の白い建物、あれが試練の遺跡なのだろう。後ろを振り返ると、二本の石柱の上をアーチで結んだ様な形のオブジェがある。どうやらこれがゲートらしい。今はただの石のオブジェにしか見えず、向こうの景色が透けて見えている。
「何だ、あれは……」
遥か向こうの空の上に、巨大な何かが浮かんでいる。
「あれは浮遊岩クー。浮いてる理屈は分からないけど、こっちの世界ではあちこちにあるクー」
言われてよく見れば、空のあちらこちらに同じ様な岩が浮かんでいる。中には滝の様に水を吐き出している岩もある……と、思ったが違う。水は遥か上空、何も無いはずの天高くから降り注いでいる。見上げた空には馴染みのある太陽の輝き。だがその太陽の周りを、二重三重に巨大な虹の暈が取り囲んでいる。
「……本当に別の世界なのだな」
「それはそうクー。さあユカリ、遺跡の中に入るクー」
「ああ」
石畳の道を歩き、遺跡の目の前まで移動する。その入り口は重厚な石の扉で閉じられていた。
「んっ……!」
力を籠め押し込むと、意外と抵抗無く動いた。石が擦れる音を立てながら、ゆっくりと門が内へ向かって開いていく。内部は外観に違わず、円形の広間になっており、その中央には台座らしき物が設えてある。
「ユカリ、ここから先にはクーは入れないクー。ユカリ一人で試練に挑む事になるクー。もし、失敗したら……」
「死ぬのだろう? 案ずるな。覚悟は出来ている。それにそもそも、私は失敗する気など無い」
「相変わらず肝が据わっているというか……今更何も言う事は無いクーね。試練を始めるにはあの台座に変身道具を置いて、その上に手を重ねてこの呪文を唱えるクー。『苦難の先に光がある。光の先に未来がある』クー。……ユカリ、絶対戻ってくるクー」
「ああ、勿論だ」
クーと別れ、弓狩は遺跡の中へと足を踏み入れる。内部にはひんやりとした空気が漂っている。
「む……」
すると弓狩が中に入ったのを確認したかの様に、独りでに扉が閉まった。遺跡内部が暗闇に閉ざされた、と思った瞬間、中央の台座がうっすらと光を放ち始めた。光を頼りに台座へと歩を進め、その上に朝景を横たえる。
「苦難の先に光がある。光の先に未来がある」
朝景の上に手を置き、教えられた通りに呪文を唱える。
「うっ……!」
台座から、朝景から、膨大な光が溢れ出し弓狩の全身を包み込んだ。
やがて光が消え、遺跡内が静寂と暗闇に満たされる。台座の前に立っていたはずの弓狩の姿は、光と共に消え失せていた。
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「それじゃあリリちゃん、こっちもやりましょうミン」
「え? 何を?」
弓狩とクーがゲートに消えるのを見送った後、弓狩の家を出たところでタミンがリリカに提案した。
「何って、勿論特訓ですミン。このままじゃリリちゃん、ユカリンに大きく差を着けられてしまいますミン。それでいいですミン?」
「良くない! ……けど、どうするのよ? 試練とかいうのは出来ないんでしょ?」
「それはもう、魔法を使いまくりますミン。魔力切れでぶっ倒れるまでぶっ放しますミン」
何とも乱暴な方法だ。
「……そんなんで強くなれるの?」
「なれますミン。さっきも言ったけど、結局地道な練習が大事ですミン」
「まあ、それは分かるけど」
「リリちゃん、前リリちゃんには才能があるって言ったの覚えてますミン?」
「ええ、覚えてるわよ」
「あれは嘘じゃないですミン。でも今のリリちゃんは能力を存分に引き出せていない状態だと思いますミン」
最初に魔法を使った日、タミンがリリカを才能があると言って褒めた事があった。それは世辞やおだてで言った訳では無いらしい。
「ひたすら魔法を使い込んで心身を馴れさせて、自分自身を追い込む事で潜在能力を引き出せるはずですミン」
「ふーん、そんなものなのね」
「それに加えて、新しい魔法も使えるようになる可能性もありますミン。変身道具ともっと深く同調出来るようになれば行けるはずですミン」
「同調って言われてもよく分かんないわよ」
「ちょっと長くなるけど……魔法を使うには心の在り方が重要って話も前に少し、したですミンね。魔力は自分の内……魂から出る物ですミン。それを形に変えて現象として表すのが心ですミン。呪文は更にその指向性を高めて魔法として整える物ですミン。ついでにリリちゃん達が着てる魔法少女の衣装は防具というより魔法を使いやすい状態に体を持って行く物ですミン。そしてクリスタル――変身道具は本来なら修行とかの必要な過程を省く物って説明もしましたミンね。だけど魔法使いとして正しく資質を磨けば、クリスタルは更に強い力を引き出してくれますミン。ユカリンが行っている試練っていうのはそういう時間のかかる練習を圧縮して一気に済ませられる代わりに、高い難易度と危険が伴うんですミン」
魔法と聞くともっとふわふわしていそうなイメージを抱くが、確固たる理論が存在するらしい。とはいえそれは科学的な理論というよりは観念的な内容であり、聞いてすぐ呑み込める様な物ではないが。
「……実は私、タミンってちょっとアホっぽいなあって思ってたけど本当は頭良いのね」
「何ですミンかそれは。失礼ですミンね。まあそんな感じで、きっつい特訓をしながら自分の心と、変身道具と向き合って同調すればユカリンのやってる試練と同じとまでは行かなくても強くなれるはずですミン」
「うん、なんとなくだけど分かったわ。兎に角練習あるのみね」
「そうですミン。頑張るですミン、リリちゃん」
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ゲートを潜った時に似た、頭の中を撹乱される様な感覚。一瞬の意識の空隙が過ぎると、弓狩の体に五感が戻って来た。
「……また、おかしな場所に出たな」
一言で言えば、そこには何も無かった。何処までも鏡の様な水面が広がっている。しかし、水平線は見えない。360度全方位を白い靄が覆い、水平線を隠しているのだ。上を見上げても同じだ。空は白く煙り、太陽も青空も見えない。だというのに何故か明るさは保たれている。足元を見ると、弓狩の足から僅かに波紋が広がっている。不思議な事に水面にしか見えないそこには、しっかりと地を踏みしめる感覚があった。
「うん? ……何時の間に?」
服装が変わっている。先程までは普段着だったはずが、今は魔法少女としての衣装だ。当然弓狩に変身した覚えは無い。
「訳が分からんな。こんな場所で何をしろと……!」
突如、弓狩の眼前の水面から光が湧き出した。
「何だ……?」
湧き出した光が集まり、徐々に何かを形作っていく。それは、人の形だ。
人型になった光の密度が更に高まっていき、遂にはそれが弾けた。すると、そこに一人の人物が立っていた。
「き、貴様は……!」
鋭い眼光に、美しい烏の濡れ羽色の長い髪を後ろで一つに結んだ、黒い和装の様な衣装を纏った少女だ。その手には、日本刀。
「そうだ。私はお前だよ、弓狩」
その姿は正に魔法少女・魔侍狩弓狩そのものだ。弓狩に瓜二つのもう一人の弓狩が現れた。
「何者だ! 貴様!」
「今言っただろう。私は魔法少女・魔侍狩弓狩。魔の刃で魔の者を狩る、侍だ」
叫ぶ弓狩に、もう一人の弓狩が嘲笑するように言い放つ。
「ふざけたことを……!」
「別にふざけてはいない。そもそも私が何者であるか、そんな事はどうでもいいのだ」
「何?」
「さあ、剣を抜け弓狩。私を倒す事が試練の内容だ」
もう一人の弓狩――便宜上、影と呼ぼう。影が弓狩に、自分を倒せ、それが試練だと言う。
「……何が何だか分からん。分からんが、それが試練だというのなら受けて立とう! 魔法少女・魔侍狩弓狩、参るぞ!」
「来い、弓狩。私を倒せ。自分を超えろ」
弓狩と影、同じ姿の二人の戦いが始まった。弓狩は刀を抜き、正眼の構えを取る。影もそれに呼応するかの様に同じ構えで向かい合う。鏡合わせの様な状態で二人が睨み合う。
「どうした? 来ないのか?」
「うるさい!」
影の挑発に怒声で応え、弓狩が一歩踏み込む。影もまた、それに合わせて前へ出る。
「「奮ッ!」」
気合の声と共に、互いの肩口目掛けて斬りつける。構えだけでなく、声も太刀筋も攻撃のタイミングさえも全く同じだ。
「ぐっ……!」
鋼と鋼がぶつかり合う甲高い音が響く。鍔迫り合いの状態になるが、ギリギリと刃が擦れるだけで影の刀はびくともしない。
完全に力が拮抗している。力を籠めて押し込んでも、全く同じだけの力で押し返してくるのだ。
「ちっ!」
このままでは埒が明かぬと、一旦下がる。
「「疾ッ!」」
刹那、下がる動きから一気に反転し、前へ出ながら突きを繰り出す。
だが、それも予期していたかの様に影もまた突きを返す。
「ふっ……ぐ!」
剣先が互いの頭を貫くかと思われたが、弓狩はギリギリで首を逸らしこれを躱す。迫る剣先への恐怖で弓狩の刃が逸れたか、或いは最初から見切っていたのか、影も弓狩の刃を躱した。相変わらず、鏡の様に同じ動きだ。
「一体何なのだ、貴様は……!」
「物覚えが悪いな、弓狩。私はお前だと言っているだろう」
「何処までもふざけた奴め! ……破ァ!」
今度は上段から勢い良く振り下ろす。影は刃を横にし、頭上で斬撃を受け止めた。
「どうした弓狩、心が乱れているぞ。父さんにもよく言われているだろう、剣の腕は上がってもお前は心が未熟なままだとな」
「黙れ!」
刃はそのままに、前蹴りを放つ。影は刃を受け流しながら後退し、蹴りを躱した。こちらを挑発する言葉と、全てを予知しているかのような動きに苛立ちが募る。
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「もう無理、もう何も出ないわ……」
草むらに大の字に倒れこむリリカ。町の外れにある山中、誰にも見られず特訓が出来そうな場所としてここで魔法の練習をしていた。
「お疲れ様ですミン、リリちゃん。どうですミン? 何か掴めそうですミン?」
様々な魔法を滅多矢鱈と撃ちまくり、魔力は既に空っぽだ。寝転がった状態のまま、変身を解除する。
「流石にそう簡単には行かないわよ……」
「まあそうですミンね。今日はこれくらいにして、また明日にしましょうミン」
「そうね。あー、思いっきり魔法を使いまくると疲れるけど何だか気持ちいいわね」
リリカが体を起こし、服についた塵を払いながら言う。
「いい傾向ですミン。やっぱりリリちゃんは魔法少女に向いてますミン」
「そ、そう? くふふ……」
タミンにおだてられ、頬を緩ませる。だが、真顔に戻ったかと思うとリリカはふと遠くを見つめる。その視線の先には、沈み始めた夕日がある。
「あいつは上手くやってるかしらね……」
「ユカリンなら大丈夫ですミン。多分、きっと」
「……ふう、ここで心配してもしょうがないわね。さ、帰りましょ」
弓狩が魔法界へ行って数時間、クーが数日はかかると言っていたのだからまだまだ帰っては来ないのだろう。気を取り直し、リリカは帰路についた。弓狩が帰って来た時、大きく差をつけられていてはたまらない。今は無事に帰ってくることを信じて自分に出来ることをやるだけだ。
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「くそっ……」
「諦めるか? 弓狩」
刀を振っても振っても、影には傷一つ付けられない。本当にこちらの攻撃を全て分かっているかのようだ。
「諦めるわけがあるか!」
「そうだ、その意気だ。だが自分に何が足りないか、それが分からなければ私は倒せんぞ」
「また戯言か……」
「そう思うならそれでもいい。さあ、もっと打ち込んで来い」
「言われずとも!」
意味深な事を示唆する影。弓狩はそれには耳を貸さず、戦意を滾らせる。刀を鞘に戻し、腰の脇に持っていく。居合の構えだ。
「「鞘に満ちるは魔の力。抜き放たれるは稲光……」」
だが影もまた同じく構え、同じ様に呪文を唱え始めた。
「「魔導剣! 『雷迅』!!」」
雷光を纏った居合抜きが同時に放たれ……いや、互いに鋭く踏み込み密着する程に接近した両者の剣は、鞘を半ば程抜けたところで互いの刃がぶつかり合い、止まっている。
「ぐっ!」
行き場を失った荒ぶる魔力の雷が弾け、二人の体を吹き飛ばした。
「これでも駄目か……!」
「浅はか也。そんなに簡単では無いぞ、試練はな」
「私と同じ顔、同じ声で一々癇に障る事を……」
「そうやって苛々しているうちは到底、試練を越える事は出来んだろうな」
「抜かせ!」
単純な剣の技だけでなく、必殺の魔導剣ですら影は返して来た。一体どうすれば倒せるというのか。
「「散るは花びら、散るは命……魔導剣! 『桜花』!!」」
今度は高速の魔導剣、桜花を発動する。当然の様に、影も同時に魔法を発動した。
「うおおおぉ!!」
雄叫びと共に、激しい斬撃の嵐が放たれる。
しかし、影も寸分違わず同じく刃を返す。
「おおおぉ!!」
何度も何度もぶつかり合い、火花を散らす二本の朝景。美しくも荒々しい銀の旋風、鏡合わせに繰り広げられる剣劇は舞踏の様だ。
「破ァァ!!」
舞踏の終わり、互いの切っ先が交差する。
「ぐぁぁ!」
「がっ……!」
今度はお互い躱す事無く、二人の胸を真っ直ぐ突き出された切っ先が貫いた。弓狩の身に耐え難い激痛が走る。
「ぐぅぅ……! はっ……はっ……?」
同時に刃を引き抜いた。弓狩は思わず膝を着き荒く呼吸するが、おかしい。刃が抜かれた胸から血が出ていない。いやそれどころか、傷も無く痛みすら既に消えている。
「無茶をする奴だ。この場所でなかったら死んでいるぞ」
影にも傷は無く、全く堪えていない様子でこちらを見下ろしている。
「刺し違えてでも、というのは立派な覚悟だが、死を前提とした剣なぞ何の意味があろうか」
「殺人刀ではなく活人剣とでも言うつもりか」
「そうかもな。死んで花実が咲くものか、という言葉もあることだ。先人の言葉は残るだけの意味があるからこそ残っているのだ。しかし、ただその言葉の意味を知っているだけでは何もならん」
殺す為の刀、活かす為の剣。相手を殺し自らも死しては確かに何の意味も無い。それ故に生きる為にこそ剣を振れ、と言うのか。
「ふん、貴様は繰り言ばかりだな」
「仕方あるまい。それが私の、試練の意義だ。さあ、もう終わりか? 弓狩」
「まだまだ!」
「うむ、その意気や良し」
理屈は分からないが、胸を貫かれた傷も痛みも無い。まだ、戦える。
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弓狩が発ってから既に一日が経過した。今日は平日であり、リリカは学校へ登校していた。学校など行かず特訓した方がいいのではないか、とリリカはタミンに聞いたが、時間があっても魔力は有限、弓狩の分までしっかり日常生活を送れ、と言われてしまった。確かに魔力が切れては時間が潤沢にあっても意味は無い。
特訓は放課後にすればいいだろう。今も弓狩が試練を受けている筈だというのに自分が何も出来ないのは何とも落ち着かないが、しょうがない。いつも通りの生活を守る事も大切だ。
「リリカちゃん」
「叶……」
休み時間、机に頬杖を突いてぼーっとするリリカに、叶が声をかけた。
「珍しいわね。こっちのクラスに来るなんて、どうしたの?」
「うん。弓狩ちゃんが学校に来てないから、どうしたのかなって。今まで学校休んだ事なんて無かったはずなのに……」
どうやら弓狩が心配で、事情を知っていそうなリリカに聞きに来たらしい。
「あー、えっと……ほら、あっちの方の事情でちょっと遠出してるのよ」
学校内で魔法がどうこう言う訳にもいかず、リリカは少し濁して答える。
「あっち……そっかあ。何だか大変なんだね、あっちの方も」
「まあね、でも心配しなくても大丈夫よ! しばらくすれば帰ってくるから、きっと」
「……うん、リリカちゃんがそう言うなら、大丈夫だよね」
いつもと少し違うリリカの様子に何かを感じ取ったのか、叶が神妙に頷く。
「全く……あの侍馬鹿、この私と叶にまで心配かけるなんて……」
リリカがぶつぶつと弓狩への文句を垂れる。
「やっぱりリリカちゃんも心配なんだね」
不満で仕方が無いといったリリカの様子に、ニコニコとしながら叶が言う。
「し、心配なんてしてないわよ! 全然、これっぽっちも!」
「ええ……今、心配って言ったばっかりじゃ……」
心配したり怒ったり支離滅裂だが、いつものリリカらしいとも言える。
弓狩の姿を欠いたまま、学校での日常は過ぎて行った。
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「『ランサーショット』!」
岩槍が、露出した山肌に突き刺さる。
「どうですミン? リリちゃん」
「もっと深く集中して変身道具と一つになれって言われても……よく分かんないわよ」
今日はただ魔法を放つのではなく、変身道具との同調を意識しろ、とタミンに言われている。だがやはりそう簡単には行かない。
「千里の道も一歩からですミン。ガンガン行くですミン」
「分かったわ。モード『シルフ』! 『ワールウインド』!」
放たれた風の刃が太い木の幹を真っ二つに両断した。
「植物さん、かわいそうですミン。戻れーですミン」
タミンが呪文、というよりはおまじないのような言葉を唱えると、切り倒された木が逆再生の様に元に戻った。
「……地味にすごくない? それ」
「そうでもないですミン。動物には効かないし、リリちゃん達を治すには使えないですからミン」
「特訓の為とはいえ、自然破壊は気が咎めるから助かるけどね」
一見凄い魔法に思えるが、それ程万能ではないらしい。
「さあ、もっともっとですミン」
「ええ、やるわよ!」
気合を入れ直し、再びティターニアを掲げた。まだまだ、魔力は残っている。
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「はあ……はあ……もう打ち止めよ……」
更に幾度も魔法を放ち、リリカの魔力も底をついた。ティターニアを支えにして、何とか立っている状態だ。
「お疲れ様ですミン、リリちゃん。これをどうぞですミン」
「ありがと、なにこれ? ジュース?」
何処からか、恐らくは亜空間カバンだろうが、タミンはコップに入った飲み物を取り出しリリカに渡す。リリカは一気にそれを呷った。
「う!? ちょ、ほんとになにこれ!? 甘くて苦くて酸っぱくて、なんかもうすっごく不味いんだけど!」
半分程飲んだところで思わず手が止まる。形容し難い複雑怪奇な味だ。
吐き出しそうにもなったが何とか堪える。淑女として、一度口に含んだ物を吐き出す等という行儀の悪い行為は許されないのだ。
「妖精族に伝わる魔力増強ドリンクですミン。これを飲んで一晩寝れば明日はもう魔力がギンギンに漲るはずですミン」
「効果は兎も角、味はどうにかならないの……?」
「ならないですミン。用意するの大変だったんだから残しちゃダメですミンよ。ちなみに材料は……」
「いい! なんか嫌な予感がするから!」
味を我慢して何とか飲み干し、コップを返す。
「ごちそうさま……」
「おそまつさまですミン。それじゃ今日はこれでお開きにしましょうミン」
「そうね。今日は魔法を撃ちまくって、ちょっとだけだけど何か開けそうな気がしたわ」
「おお! いいですミンね。その調子ならユカリンよりも強くなれるかもしれないですミン!」
「ふふふ、任せなさい! あいつ一人にいいカッコさせないから!」
リリカの特訓は、何とか明るい兆しが見えてきた。既に一日以上が過ぎたが、まだ弓狩は戻らない。
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この空間に来てからどれだけの時間が経ったのだろうか。時間の感覚が曖昧だ。延々と剣を振り続けているはずだが、不思議と疲れは感じない。この空間に来てからおかしな事ばかりだ。
「「征ッ!」」
最早、何度目かも分からない打ち合い。予定調和の様に、同じ太刀筋で二本の刀がぶつかり合う。だがどれだけ切り結んでも、影を倒す事は出来ない。
「まだ見えてこないか? 弓狩。流石に私も飽いてきたぞ」
至近距離で刀を交えながら、影が問う。
「ごちゃごちゃうるさい。だったら勿体ぶっていないでさっさと教えればいいだろう」
「甘えるな、と言いたいところだが……仕方が無いからヒントをやろう。お前が魔物に負けた理由はなんだ?」
「何故負けたかだと……?」
刃を弾き、一旦距離を取る。
「そうだ。何故お前は負けた?」
「……それは……」
「口に出したくはないか?」
「見透かしたような事を……」
「当たり前だろう、私はお前なのだから」
「負けた理由など、決まっているだろう! 私が弱いからだ!」
一々神経を逆撫でするような影の言動に、弓狩が声を荒げた。
「その通りだ。お前は弱い。弱いから負けたのだ」
「だから今こうやって試練とやらに挑んでいるのだろうが!」
怒りに任せて打ちかかる弓狩。当然、その刃は届かない。
「そうやってすぐに熱くなる、未熟な心。魔物相手に簡単に見切られてしまった、未熟な技。父や兄弟子を負かし剣鬼と恐れられてもその体は所詮、未熟な子供の体だ」
襲い掛かる刃を淡々と捌きながら、影が弓狩の欠点をあげつらう。
「そんな……そんな事は分かっている!」
「そうか。ならどうするのだ? 未熟で弱い弓狩は、どうやって私を倒す?」
「それは……」
弱い。弓狩は弱い。足りないところだらけだ。なら、ならどうすればいいというのだろうか?
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翌日の放課後、今日もリリカは魔法を撃ちまくる。昨日のドリンクの影響か、調子はすこぶるいい。
「もうちょっとで、何か出来そうなんだけど……うー!」
「リリちゃん……」
「ティターニアが言ってる気がするのよ。こう……もっと燃やせ! とか絞り尽くせ! みたいな」
「ほんとにこんな短期間で同調を強めるなんて、ちょっと驚きですミン」
「ふふん、当たり前でしょ! この私がこれだけ頑張ってるんだから!」
僅か三日でリリカは着実に成長してきているようだ。
「それにしても、あいつ遅いわね……」
「大丈夫ですミン。きっと試練を成功させてひょっこり帰ってきますミン」
「そうね……その時に備えて、私ももっと……」
「マモノガキテルヨーマモノガキテルヨー」
いつもの警告音。魔物が現れたらしい。しかし、まだ弓狩は帰っておらず、リリカの特訓も半端なままだ。
「リリちゃん、どうしますミン?」
「どうもこうも、行くに決まってるでしょ! 弓狩からもこっちの事は頼むって言われちゃったし」
「くれぐれも気を付けてミン。もしかしたら、またあいつらが……」
「……ええ。でも、心配しなくても大丈夫よ! 帰りの遅い馬鹿の分まで私が暴れてやるから!」
「うん、それじゃ行きましょうですミン!」
覚悟を決める。もし再び四天王が現れたら、恐らくリリカに勝ち目は無いだろう。だが、だからといって放っておく事も出来ない。弓狩との約束の為、そして自らの誇りの為にも。
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「どうしようもないか? では、ここで朽ちるのだな」
答えを出せない弓狩に向かって影が一歩、足を進める。
「むっ」
間合いに入った影に対して、弓狩が無言で斬りつけた。勿論その剣は軽く受け止められる。
「まだ、やる気が……!」
口を開こうとした影を黙らせるように、もう一太刀。やはり防がれる。
構わず更に一太刀、一太刀、止まる事無く、打ち込み続ける。何合も何合も、只管切り結ぶ。
「やぶれかぶれか? 弓狩」
十合。防がれても躱されてもなお打ち込む。やぶれかぶれ、ではない。
「私が未熟な事など、知っている」
二十合。逸らされても避けられてもなお打ち込む。一太刀一太刀、重ねる毎に弓狩の斬撃は重く、速く、鋭くなっていく。
「だが私は」
五十合。当たらなくても届かなくてもなお打ち込む。桜花を使った訳ではない、しかし徐々に加速していく剣閃。
「これ以外のやり方など知らん!」
百合。弾かれても返されてもなお打ち込む。影の動きもそれに合わせて加速していく。
「ただ、全身全霊を以って打ち込む! それだけだ!!」
百合を超え、最早数え切れない。繰り返される激しい剣舞。しかし、遂に均衡が崩れた。
「ぬう!」
凄まじい斬撃の応酬に耐えかねたかの様に、影の握る朝景の刀身に亀裂が走る。
「覇ァァ!!」
裂帛の気合と共に振りぬかれた弓狩の朝景が、影の刃と交差する。
キィンという澄んだ音と共に、もう一本の朝景の剣先が折れ飛んだ。
「見事」
影がどこかすっきりとした表情で弓狩を讃える。
「はあ……はあ……」
この空間では疲れを感じないはずだが、無理をしすぎたせいか弓狩の体を疲労感が襲う。
「こんなものが……正解だと言うのか?」
「もし、剣にせよ魔法にせよ『極み』というものがあるのなら、それはきっと果てしない研鑽の果てにこそあるのだろう。そこに至る為には己が足りぬを自覚し、只々全霊で持って己を磨くのみ」
「それは……当たり前の事では無いのか?」
「然り。だがそれを言葉で理解しても、実際に出来る者がどれだけいよう。お前は云わばその極みの入り口に立ったのだ。故に勝った」
分かる様な分からない様な、勝利の理由。
「ふん、結局最後まで繰り言ではないか」
「そんなものだ、何事もな。さあ、お前は勝ったのだ。胸を張って戻るがいい。これからは私ももっとお前に力を貸してやろう」
「お前も私の癖に何を……言う……」
目の前の景色が揺らぎ、急激に意識が遠のく。
ここに来た時と同じ感覚だ。
「そうだったな。なんにせよお前は試練を乗り越え、力を手にした。それが事実だ」
影の言葉が遠くから響くように聞こえ、弓狩の意識は途切れた。
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試練を超え、魔刃が帰る。そして再び、天魔が降りて来る。




