おまけのショートショート
◇実は見てました / 腐女子姫&他数名
——第5話 「ヤギ男現る」の舞台裏では
「本日どうやらカレタカ様の部下の方がお見えになるようよ。これは一波乱の予感だわ!」
「本当でございますか!?」
「ええ、間違いありませんわ。翔太様を巡って三角関係になるのか、あるいはカレタカ様の取り合いになるのか。ああ、尊い、尊いですわぁ!」
——現在翔太、壁ドン中
「……姫様、これはっ」
「静かになさい。今は、堪能するのです」
「はいっ(小声)」
「…………」
「…………」
「…………」
「我が人生に、一片の悔いなし(鼻血)」
◇どっちが好きなの / 翔太&カレタカ
「翔太殿は男と女、どちらが好きだ」
「それは女性に決まってます」
「では私とゴートはどちらが好きだ」
「もちろんカレタカさんが好きです」
「私と王女ではどちらが好きだ」
「えっと、カレタカさんです」
「私とまったく知らない女性はどちらが好きだ」
「……」
(あれ、俺、女の子が好きだよね……?)
◇ジェラシー / 翔太&カレタカ
「翔太殿、またヌワトリを抱いているのか。服が汚れるぞ」
「あ、ごめんなさい。ついこのモフモフが恋しくて」
「ヌワトリ、そんなに好きか」
「ええ、好きですね。可愛くてたまりません。ほら、抱っこしてごめんね。またね」
(くっ……ヌワトリめ)
※こっちの世界のニワトリに似た家畜の鳥。
◇ちょっと待って! / ゴート&翔太
「カレタカさーん、また来ましたよー」
「あ、ゴートさん。いらっしゃい。カレタカさんは今釣りに行ってるので居ませんよ」
「あ、マジでぇ。じゃあ俺カレタカさんとこ行こうかな。前はよく2人で釣り行ってたのよ」
「…………」
「釣り教えたのも俺なんだ。カレタカさんてば餌上手くつけれるようになったのかな。やっぱ俺が居ないとダメだよねぇ」
「……あの、」
「ほんじゃちょっと行ってくるねぇ。翔太ちゃんはお留守番してな♡」
「ああ、ちょっと! ゴートさん! 」
(もう、あの人やだ!)
◇月が綺麗ですね(夏目漱石ver.) / カレタカ
翔太も眠りについた深夜。同じベッドに横になるカレタカは、翔太の前髪をそっと払った。窓から満月の光が漏れている。いったい、こんな未来が訪れると誰が思っただろう。翔太と暮らし始めてからというもの、その運命的な出会いに、カレタカは日々感謝していた。今はこれ以上欲張ることなく、ただ幸せを噛みしめたい。
「ん……」
翔太が寝返りをうち、カレタカに背を向ける。カレタカはその大きな身体を静かに動かし、ひと回り小さい彼に覆いかぶさった。
小さくひと言、つぶやく。
「好きだ」
嘆いた言葉は伝わることなく、暗い室内に溶けて消えていった——
や、やっとこさ完結する事ができました。と言ってもたった数話なんですが。しかし普段は短編ばかり書いている作者にとって、この連載は非常に難しかったです。
本作は「ハーレム万歳!」というふざけたコメディ短編から生まれました。物語を考えて、着地点はふんわり決まったものの、どう進めていいのか分からない。イメージはくっつきそうでくっつかない2人の日常。ううん、どう膨らませればいいの! プロット何それどんなSFというおバカな作者ですので、本作を作るに当たって「1話ごとにテーマを作って短編連作にすればいいんだ!」と思いついた次第です。
しかしこれが苦戦しました。短編の連続とは言え、主人公達の気持ちは日々成長していくのです。舞台は異世界でもあるし、そのへんも合わせて連載ものの難しさを思い知らされました。
だいぶ拙い出来になりましたが、ここまで読んでくださった方へはただただ感謝の念です。改めて、ありがとうございました。