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第10話 眠り姫の結婚式は、昼寝の時間まで

第10話 眠り姫の結婚式は、昼寝の時間まで


 一年後の初夏、王都の東通りに、青い屋根の小さな工房が開いていた。表の木製看板には、片耳の色が違う熊と、糸を通した針が描かれている。窓辺の鉢では薄紫色のルピナスが咲き、開け放した窓から入る風が、天井に吊るされた乾燥ラベンダーを揺らしていた。工房の奥からは蜜蝋と洗った羊毛の匂いが漂い、ときどき足踏み式ミシンの音が通りまで聞こえた。


「本日の患者は三名です。一人目は左腕の取れた犬、二人目は鼻をなくした狐、三人目は綿を食べすぎた熊です」


 イザークは診察台に三体のぬいぐるみを並べ、それぞれの首へ診察券を掛けた。白いシャツの袖は肘までまくられ、右の袖口だけに赤い糸が一本くっついている。朝食に食べた苺ジャムの跡も口元に薄く残っていたが、本人は気づいていなかった。ミレイユは水色の作業着の上から生成り色の前掛けをつけ、熊の腹を両手で押した。


「この熊は食べすぎたのではありません。持ち主が靴下を六足も詰めたのです」


「冬支度でしょうか」


「夏よ。しかも片方ずつしかありません」


「では、靴下の持ち主を探すところから診察を始めましょう」


 工房には、白百合慈善院にいた子どもだけでなく、古い服を抱えた大人も訪れた。亡くなった夫の上着を熊へ作り替えてほしいという老婦人もいれば、成長した子どもの産着を捨てられず、小さな兎にしてほしいという父親もいた。衣服をぬいぐるみに変えるか、そのまま繕うか、何もせず持ち帰るかは、持ち主が決める。ミレイユとイザークは、依頼人が泣きやむまで急かさず、温かい茶と少し焦げた焼き菓子を出して待った。


「これは直せるでしょうか」


 その日の一人目の客は、袖の擦り切れた緑色の外套を胸へ抱いていた。十年前に亡くなった姉が着ていたもので、襟には小さな油染みがあり、内側のポケットから乾いた花びらが一枚出てきた。客は捨てることも着ることもできず、毎年夏になると箪笥から出して風へ当てていた。ミレイユは外套をすぐ診察台へ置かず、客の腕の中に残したまま尋ねた。


「どのような形で残したいか、決まっていますか」


「分かりません。熊にすれば、抱けるようになるかと思ったのですが」


「決まるまで、何もしないこともできます。工房へ来たからといって、今日切らなくてもよいのです」


「何もしない依頼でも、受けてもらえますか」


「ええ。今日はお茶を飲んで帰るだけでも、診察のうちです」


 客が帰ったころ、壁の時計は十一時を指していた。ミレイユが午前中に働くのは、十時から正午までの二時間だけである。予約は一日二件までと決め、急ぎの修理は別の職人へ頼み、起床直後に見積書や契約書へ署名することもしなかった。工房の帳面には、仕事の予定と同じ大きさの文字で、昼寝と食事の時間が書き込まれていた。


「あと一時間できます」


 ミレイユが三体目の熊へ手を伸ばすと、イザークは診察台から熊を持ち上げた。窓際の小机には、ティナが用意した豆と燻製肉のスープが置かれ、表面には冷め始めた脂の輪が浮かんでいる。その横には、セレスティーヌが朝から焼いた形の悪い丸パンと、皮をむきすぎて細くなった林檎が並んでいた。イザークは懐中時計を開き、針をミレイユへ見せた。


「正午です。熊の靴下は逃げません」


「昨日もそう言って、片耳の兎を持ち帰ったでしょう」


「あの兎は夜中に自分で歩きました」


「縫い針を家へ忘れたから、取りに戻っただけではありませんか」


「患者の秘密を勝手に明かしてはいけません」


 二人は作業台を片づけ、工房の奥にある小さな食堂へ移った。床には朝に落とした糸屑が残り、椅子の背には洗濯した布巾が一枚掛けられている。ミレイユは丸パンをスープへ浸し、柔らかくなったところを匙ですくった。食べ終わるころには首の後ろが重くなり、窓辺のルピナスが二重に見え始めた。


「先に眠ります。夕方の帳面は、起きてから確認します」


「承知しました。寝室の札は?」


「『急ぎでなければ起こさない』にしておいてください」


「今日の急ぎはありますか」


「洗濯物を取り込むことくらいね。雨が降りそうです」


 ミレイユは二階の寝室へ上がり、薄い麻の寝間着へ着替えた。自分で管理している鍵を小皿へ置き、窓を指一本分だけ開けてから、午後四時まで眠った。長眠症は治っておらず、夜も十時間以上眠り、昼にも二時間から三時間の睡眠が必要だった。それでも、起きている時間に無理を詰め込まなければ、工房で働き、食事を取り、帳面を確認できた。


 夕方に目を覚ますと、枕元には「返事は二時間後でよい」と書かれた札が置かれていた。札の隣には冷たい麦茶と、蜂蜜を塗った薄切りのパンがあり、皿にはイザークの指でつけたらしい蜜の跡が残っている。階下からはミシンの音ではなく、鍋の蓋を落とす大きな音が聞こえた。続いてイザークが「割れていません」と誰にともなく報告したため、ミレイユは布団の中で口元を緩めた。


 起床から二時間が過ぎた午後六時、ミレイユは工房へ下りた。作業台の上には一日の売上帳と、翌週の予約表が置かれている。その中央に、青い紐で結ばれた見慣れない書類があった。イザークはいつもの焦げ茶色の上着へ着替え、髪を水で整えていたが、後頭部だけが一房跳ねていた。


「これは何の契約書ですか」


 ミレイユは書類を手に取らず、表紙だけを読んだ。そこには「婚姻生活における相互扶助及び生活時間の尊重に関する契約書」と、法律書のように長い題名が書かれている。恋文にしては紙が厚く、赤い薔薇も宝石も添えられていなかった。代わりに、帳面へ使う予備の鉛筆が一本、重しとして載せられていた。


「婚姻契約書です。ミレイユ、私と結婚していただけませんか」


「求婚にしては、ずいぶん紙の枚数が多いですね」


「二十四枚です。財産、工房の共同経営、家事の分担、睡眠時間、病気になった場合の代理決裁について記載しました」


「指輪は?」


「第十七頁の袋に入っています」


 ミレイユが十七頁を開くと、小さな布袋が紙へ縫いつけられていた。中には銀色の指輪があり、内側には工房の看板と同じ熊の耳が彫られている。指輪の下には、購入代金と修理費、将来大きさを直す場合の費用まで記されていた。ミレイユは指輪を左手の薬指へ通し、残りの条項を一頁ずつ確認した。


「起床直後の二時間は、財産、契約、医療に関する重要な署名を求めない。一日二件以上の公務を入れない。予定外の来客について、本人は面会を断ることができる」


「異議があれば、修正します」


「食事を取らずに仕事を続けた場合、相手は作業道具を一時的に預かることができる。これは、あなたにも適用されるのですね」


「もちろんです」


「眠っている相手を、怠け者、役立たず、寝坊助と呼ばない」


「寝坊助も禁止しました。愛称のつもりでも、受け取る側が嫌なら使わないほうがよいと思ったので」


 ミレイユは最後の頁まで読み、署名欄の前で鉛筆を止めた。窓の外では、取り込み忘れた白い布巾が夕立に濡れ、物干し紐へ貼りついている。二人とも昼に洗濯物の話をしたのに、そのまま忘れていたのだ。ミレイユは濡れた布巾を見てから、契約書の余白を指で示した。


「最後の条項だけ、追加してもいいかしら」


「何でしょう」


「どちらかが一人で抱え込んだときは、熊の診察室で話し合うこと」


「話し合っても解決しなかった場合は?」


「お茶を淹れます。それでも駄目なら、食事をして眠ります」


「では、起きてからもう一度話し合いましょう」


 二人は条項を書き加え、それぞれの名を署名した。イザークが証人欄を指さすと、ちょうど雨宿りのため工房へ駆け込んできたティナが、濡れた前掛けのまま署名を頼まれた。ティナは事情を聞く前に二人の指輪を見つけ、持っていた買い物籠を床へ落とした。籠から玉葱が三つ転がり、一つが診察台の下へ入った。


「とうとう求婚なさったのですね。いつまで帳簿の確認をしているのかと思っていました」


「ただいま、契約が成立しました」


「お嬢様、本当にこの方でよろしいのですか。寝室へ針と糸を持ち込む方ですよ」


「ティナさん、契約成立後にそれを言うのは遅くありませんか」


「嫌なら解除条項もあります。第十九頁です」


 一年後の話ではなく、それから四十日後、二人は結婚式を挙げることになった。式の開始は午前十時、披露宴の終了は午後零時半と決められた。ミレイユの昼寝は午後一時からであり、屋敷へ戻って着替える時間も予定に入っている。招待状には終了時刻が大きく書かれ、延長の挨拶、予定外の余興、花嫁を立たせたままの記念撮影は禁止された。


「披露宴が二時間しかないなんて、料理を全部食べられないわ」


 セレスティーヌは献立表を見ながら、鶏肉の香草焼きと木苺の菓子の間へ指を挟んだ。彼女は母親として手伝えることを三つまでと決められ、花嫁衣装、料理、寝室の準備の中から花嫁衣装だけを選んでいた。それでも料理人の後ろへ立ち、焼き菓子の甘さやスープの塩加減に口を出している。ミレイユは母の指から献立表を抜き取り、テーブルの端へ置いた。


「食べ切れない分は包んで持ち帰ってください」


「結婚式の料理を包む母親が、どこにいるの」


「ここにいます」


「木苺の菓子は二つ包んでもいいかしら」


「それは料理人へ聞いてください」


 結婚式の朝、庭では白い薔薇と青い紫陽花が咲いていた。ミレイユの花嫁衣装は柔らかな象牙色で、胴を強く締めず、腰の後ろには座ったままでも邪魔にならない小さなリボンがついている。長い裾は取り外せるよう作られ、靴も踵の低いものだった。髪には宝石の冠ではなく、庭で切った紫陽花と白い小花が飾られた。


「苦しくありませんか。重くありませんか。眠くありませんか」


 セレスティーヌは同じ質問を三度繰り返し、ドレスの肩を何度も撫でた。母の藤色の礼服には、緊張して朝食の卵を落とした小さな染みが袖口に残っている。ミレイユは母の手を取り、肩から静かに下ろした。自分の部屋の鍵は、今日も花嫁自身の小さな鞄に入っていた。


「今は大丈夫です。眠くなったら、自分で言います」


「式の途中だったら?」


「眠ります」


「誓いの言葉の途中でも?」


「そのときは、イザークが続きを覚えていてくれます」


 式場は王宮の大聖堂ではなく、工房に近い小さな礼拝堂だった。白百合慈善院から新しい生活院へ移った子どもたちも、前列の長椅子に並んでいる。ノエは薄桃色のワンピースを着て、片耳だけ色の違う熊を抱いていた。式が始まる前から丸パンを一つ食べており、膝の上には二個目を包んだ布袋が置かれていた。


「それ、今食べてもいいのよ」


 ミレイユが声をかけると、ノエは布袋の口を結び直した。礼拝堂には焼いたパンと初夏の花の匂いが満ち、祭壇の蝋燭は窓から入る風に揺れている。ノエは熊の焦げ跡へ頬を当て、少し考えてから首を横へ振った。


「一つは食べたの。これは明日の朝に取っておくの」


「明日の朝も食事は出ますよ」


「知ってる。でも、残しておきたいの。取られるからじゃなくて、明日の楽しみにするの」


「それなら、とてもよい残し方ね」


 鐘が鳴り、ミレイユはイザークと並んで祭壇の前へ立った。イザークは黒い礼服を着ていたが、左の靴だけが新しく、右の靴よりわずかに黒かった。前日に泥水へ踏み込んで片方を駄目にし、同じ靴を見つけられなかったのだ。ティナは両方買い替えるよう勧めたが、本人は歩けるから問題ないと片方だけ購入した。


「イザーク・ロシュフォール、あなたはミレイユ・ベルナールを妻とし、病めるときも健やかなときも、その生活と意思を尊重すると誓いますか」


「誓います」


 司祭の問いに、イザークはミレイユの手を包んだ。次はミレイユが誓いの言葉を述べる番だったが、彼女の指から少しずつ力が抜けていく。礼拝堂の白い壁が霞み、司祭の顔と後ろの花輪が重なって見えた。予定ではあと十二分起きていられるはずだったが、朝早くから着替え、母と話し、ノエのパンまで気にしていたため、眠気が早く来たのだ。


「ミレイユ・ベルナール、あなたはイザーク・ロシュフォールを夫とし――」


「イザーク」


 ミレイユは誓いの言葉を遮り、彼の袖を軽く引いた。招待客の視線が集まり、セレスティーヌが席から立ちかけた。ミレイユは最後まで立っているために爪を掌へ立てる代わりに、イザークの肩へ頭を預けた。


「眠ってもいいかしら」


「もちろんです」


「まだ、誓っていません」


「目覚めてから聞きます」


 ミレイユの目が閉じ、膝から力が抜けた。招待客が一斉に息を呑む中、イザークは彼女の背と膝へ腕を回し、その体を抱き上げた。花嫁衣装の裾が床を滑り、紫陽花の花びらが一枚だけ祭壇へ落ちた。イザークは壁の時計を確認し、集まった者たちへ向き直った。


「予定より十二分早いだけです。問題ありません」


「誓いの言葉はどうするのですか」


 司祭は開いた聖典を持ったまま、困った顔をした。イザークは眠ったミレイユを抱き直し、首が苦しくならないよう自分の肩へ頬を載せた。参列席の後ろでは、披露宴の料理人が時計を見て、焼いている鶏を十二分早く出すべきか隣の給仕へ相談している。給仕は「花嫁が眠っているのに鶏だけ急がせても仕方がない」と答えた。


「私は先に誓いました。彼女の言葉は、目覚めてから本人に聞きます」


「婚姻の成立には、双方の誓約が必要です」


「では、式を一時休止してください」


「結婚式を昼寝で休止した例は、これまでありません」


「最初の一件として記録してください」


 前列でノエが吹き出し、それをきっかけに礼拝堂へ笑い声が広がった。セレスティーヌは立ち上がりかけた姿勢から椅子へ座り直し、両手を膝の上へ戻した。娘を起こしに走らず、目覚めるまで待つと決めたのだ。ティナは披露宴の終了時刻を十五分早める札を出し、料理人たちは余った料理を包む箱の準備を始めた。


「花嫁がいない間、先に食べてもいいの?」


 子どもの一人が尋ねると、イザークはミレイユを抱いたままうなずいた。式場の外では鶏肉の香草焼きと豆のスープが並び、焼きたての丸パンパンから湯気が上がっている。子どもたちは撮影を待たずに席へ着き、自分の皿へ料理を取った。食べ終わらなかった分を包んで持ち帰ることも、最初から認められていた。


「食べてください。花嫁も目覚めたら食べます」


「ケーキも?」


「ケーキもです。ただし、花嫁と花婿の分は残してください」


「熊の分は?」


「熊のおなかには靴下が入っているので、満腹です」


 ミレイユが目を覚ましたのは、午後四時を少し過ぎたころだった。工房二階の寝室には、西から入る柔らかな光が差し込み、窓辺のルピナスが床へ細長い影を作っている。花嫁衣装は脱がされておらず、締めつけを緩めるため腰のリボンだけがほどかれていた。枕元には水差しと木苺の菓子、それから片耳だけ色の違う熊が置かれていた。


 熊へ指が触れると、眠りの名残が残る耳の奥へ、ノエの声が届いた。以前聞こえた「パンを返して」という声ではなかった。食器の鳴る音や子どもたちの笑い声と一緒に、弾んだ声が熊の布地へ残っていた。


「今日はパンを二つもらったの。一つは食べて、一つは明日の朝に取ってあるよ。誰も返せって言わなかったよ」


 ミレイユは熊の焦げた耳を撫でた。火に焼かれた部分は元の色へ戻らず、腹の縫い目にも証拠を取り出した跡が残っている。それでも熊はノエの腕へ戻り、食事のある今日と明日を一緒に過ごしていた。枕元へ置かれているのは、ノエが「目覚めたら今日のことを教えてあげて」と貸してくれたからだった。


「起きましたか」


 寝台の反対側からイザークの声がした。彼は黒い礼服の上着だけを脱ぎ、シャツのまま掛け布団の端へ横になっていた。花嫁が眠っている間に招待客へ挨拶し、料理を包み、工房まで彼女を運んだため、自分も眠ってしまったらしい。髪には披露宴で飾られていた雛菊の花びらが一枚ついていた。


「結婚式の途中でしたね」


「はい。披露宴は終了しました。料理は台所にあります。セレスティーヌ様は木苺の菓子を三つ持ち帰りました」


「二つまでと言っていたのに」


「一つは私の分だと主張されました」


「あなたの手元には届いていませんね」


「見事な横領です。次の家族会議で報告します」


 ミレイユは喉を湿らせ、寝台の上でゆっくり体を起こした。まだ起床直後であり、契約書に従えば重大な決定をしてはいけない時間である。司祭は夜まで礼拝堂で待つと言っていたが、誓いの言葉を今すぐ求める者はいなかった。イザークも返事を催促せず、木苺の菓子を半分に切って皿へ載せた。


「誓いの続きは、二時間後にしますか」


「明日の午前中でもいいかしら。今日はもう一件、大切な予定を済ませました」


「昼寝ですね」


「ええ。一日二件まででしょう。結婚式と昼寝で、本日の予定はいっぱいです」


「では、明日の十時に続きをしましょう」


 イザークは枕元の帳面へ、午前十時、結婚式の続きと書き込んだ。その下へ、十一時から熊の左耳の定期診察、正午から昼食と記した。昼寝の時間も消さず、午後一時から四時まで青い線で囲んだ。ミレイユはその帳面を見届けてから、彼の左手を握った。


 病気は治っていなかった。眠る時間は短くならず、働ける時間も、出席できる催しも、健康な人より少なかった。結婚式を最後まで起きていることさえできず、誓いの言葉は翌日へ持ち越された。それでも、誰も彼女を揺すって起こさず、料理も仕事も暮らしも、目覚めるまで壊れずに待っていた。


「イザーク」


「はい」


「明日、私も誓います」


「明日のあなたから聞きます」


「今の私は、予約だけしておきます」


「承りました。午前十時の予約です」


 ミレイユは隣で眠りかけているイザークの手を握り、もう一度目を閉じた。枕元には、今日の出来事を覚えている熊と、明日の朝のパンを楽しみにするノエの声が残っている。扉の内側には自分で管理する鍵があり、階下には二人で直しかけたぬいぐるみと、確認を明日へ回した帳面があった。眠りから目覚めたときに帰りたい場所だけは、もう迷わなかった。


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