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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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200/228

200話 寝起きと決意と

200話!

 カーテンの隙間から差し込む朝日と、小鳥のさえずりを感じ取り、


「………………ねっむ」


 ほとんど眠れなかった。いや、実際には眠っていたんだろうが、熟睡感がまるで無い。

 眠った感覚がまるで無いことを自覚する。


 原因は分かっている――エトナのことだ。


 シャオメイとは違い、エトナは拙いながらも一所懸命に感情をぶつけてきた。

 その事に、俺は思いの外心を揺さぶられてしまったらしい。


 結局、俺はエトナに何も言えず、何もしてやれなかった。


 八つ当たりしてきたのがルインだったなら「知るかよ」の一言で殴り飛ばしていただろう。

 エトナに対しても、それで済ませていいならどんなに楽だったことか。


 けれど、エトナはきっと俺のことを本当に想っていてくれて、好いてくれていたのだろう。


 その気持ちは嬉しいんだが……ではエトナと恋人同士になりたいのかと訊かれれば、そうではない。


 俺が、心から寄り添いたいと思える相手は――


 不意に、コンコンとドアノックがされる。


「リオー、起きてるー?」


 シャルルの声だ。


「ん……あぁー、起きてる、ぅ……」


 今日は安息日なので、二度寝してしまってもいいのだが、起こしに来てくれて、起きている以上、反応しないわけにはいかない。

 のろのろとベッドからずり落ちるように降りて、壁伝いにドアまで向かう。


 がちゃり。


「おはようわっ、どうしたってのよ、その顔?」


 おはようと言いかけてそのまま驚くシャルル。

 だろうなぁ、今の俺多分ヤバい顔しているなって自覚がある。


「……はよぅ」


「ちょっとちょっと、水分無くなったリビングデッドみたいな顔してるっての……とりあえず顔洗ったら?」


 水分無くなったリビングデッドみたいな顔ってどんな顔だよ、想像出来るのが嫌だな……


「そぉする……」


 とにかくまずは洗面所に行かなければと思うのだが、足取りが覚束無い……


「はいはい、リビングデッドのモノマネは、顔だけにしろっての……はい、肩貸したげるから」


 朝からひっでぇ言い種だ。否定できないが。

 するとシャルルは俺の右隣に回り込むと、肩を貸してくれる。すまんな。




 シャルルに連行されるように洗面所に向かい、冷たい水で顔を洗う。


 ……意識は目覚めるけど、瞼の重さは変わらない。

 あれだな、『身体は動くんだけど、目だけが眠い』状態だ。


「ぷふぅ……く、はあぁぁぁぁぁ……」


「はい、タオル」


 欠伸を一発かますと、シャルルがタオルを差し出してくれた。


「おぉ、悪いな」


 タオルを受け取って、水気を拭き取っていると。


「……昨日のあの後、エトナちゃんと何かあった?」


「ッ」


 シャルルの言う「昨日のあの後」と言うのは、ムイの口を塞ぎながら立ち去り、俺とエトナを二人きりのままにしてくれたことだろう。

 いきなり核心を突くようなことを……っ


「その様子だと、何かはあったっぽいね」


「それは、まぁ……あったな」


 否定はしない。


「ふーん……」


 何かを見定めるように、俺の顔を見つめるシャルル。


「……なんだよ」


「んーん、べっつに。なんとなーく、分かったから」


「何が分かったんだ?」


「それ、あたしの口から言わせる気?」


 ジト目で睨まれた。


「……すまん」


 訊いてはならないことらしいので、とりあえず謝って。


「ま、ある意味仕方ないとこはあるんじゃない?リオにとっても、エトナちゃんにとっても」


 多分、昨夜のエトナと、今の俺の反応を見て分かったのだろう。


 エトナが俺に告白してくれて、けれど俺の心の方向の先にいる存在のこともあって、八つ当たりしながらも身を引いたことを。


「あたしが横から何か言う権利とか、無いんだけどさ。中途半端なことだけはやめなさいよ。そんなの、誰も喜ばないから」 


 中途半端なこと、か。

 そうだ……俺はエトナに何も言えていない、伝えられていないじゃないか。

 結論は知っていても、ちゃんと言葉にして真っ直ぐ伝えろと、シャルルはそう言いたいんだろう。


「あぁ……」


 今日にでももう一度エトナと話して、俺の気持ちをちゃんとハッキリ伝えなければ。


「俺も、いつまでもこのままじゃダメだって、分かってるつもりだ」


 ニーリンが言っていた通りだ。

 のらりくらりしている時間は、もう無い。


「分かってるんなら、よし。朝ごはん、食べに行こ。みんな待ってるし」


 そう言って、シャルルは踵を返して先に宿屋食堂へ向かっていくので、タオルで水気を拭きながら後を追う。


「……ま、あたしじゃあの二人の間に入る余地なんて、最初から無かったって言うのは、分かってたけどさ」


 何か、小さな呟きがシャルルから聞こえた気がしたが、よく聞こえなかった。




 少し時間のズレた朝食を終えた後、エトナを呼び出して、俺の今の正直な、心のままの気持ちを伝えた。


 エトナは少しだけ、痛みを堪えるような顔をしてから「お返事、ありがとうございます」と頷いて、すぐに「お二人ならお似合いだと思いますから、きっと上手くいきます」と、お世辞を言ってくれた。

 俺の胸の奥も少し痛んだが、通すべき筋は通した。


 後は――本当に伝えるべき相手に、この気持ちを伝えるだけだ。

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― 新着の感想 ―
200話到達お疲れ様です。 そんで……いつか吹っ切れてくれたらいいなぁ。
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