表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

150/150

150話 勝負は五日後

 アイリスとフリーダを乗せた馬は夕暮れの街道を駆け抜け、日が沈んで暗くなる前に、アイリスは地製図を開いた。


「地図によると、この近くに冒険者用の拠点があります。そこで一晩を過ごしましょう」


「分かったわ」


 林道内にある川の近く、その細道から入れるところに、冒険者用の拠点があった。


 ここまでノンストップで走らせていた馬を休ませ、エサを与えておく。


 拠点のテントの中に入り、ベッドに腰かけて一息つく二人。


「帝都を出る前に、シャオメイさん……商隊の炊事担当の方が作ってくれた料理があります。二人分ご用意してくださったので、早速食べましょう」


「何から何までありがとう。リオ殿やアイリスがいてくれなかったら、どうしようもなかったわ」


「いえいえ、お気になさらず」


 アイリスは麻袋を開き、その中から包装紙に包まれた包子を取り出し、四個ある内の二つをフリーダに手渡す。


「あ、まだ温かい……出来立てを用意してくれたのね」


「私達のために、予定を繰り上げて作ってくださったそうですよ」


 包装紙を解くと、真っ白でふっくらした、上部を螺旋状に捻らせたような形をした食べ物が出てきた。


「これは……ロールパン?ではないようだけど」


 見たこともない形の食べ物に、フリーダは目を丸くする。


「パオズ、と言うらしいです。その方って、遠い海の向こうからやって来た異国人なので、私達にとって目新しい料理をよく作ってくださるのです」


 それでは早速いただきます、と二人は包子にかじり付く。


「ん……これ、すごく柔らかくて美味しい!それに、生地の中に肉が入っているのも驚きだし、肉も柔らかくて甘じょっぱくて……何これ、こんな料理が存在するのね!?」


 一口して、フリーダは目を輝かせた。


「生地が薄味なおかけで、中のお肉の旨味をより感じられますよね。さすがはシャオメイさん、こんなの何個だって食べられます」


 アイリスはフリーダほど興奮しないものの、それでもその頬の緩んだ顔が全てを物語っている。


「これ、出来てから少し時間は経っているのにこんなに美味しいなんて、出来立てすぐのものを食べたらどうなってしまうのよ……商隊の皆さんは、こんな美味しいものを毎日食べられるなんて、羨ましい……!」


「えぇ、シャオメイさんには感謝の言葉もありません」


 もう一個の包子も瞬く間に食べてしまい、ごちそうさまでしたと言うところで。


「あぁ、もう無くなってしまったわ……こんなに美味しいのに、どうして食べたら無くなってしまうのかしら」


「仰有りたいことは分かりますよ、フリーダ姉様」


 何故食べたら無くなってしまうのか。

 それは、食べたら無くなってしまうから、としか言えないだろう。




 ――と言う感じで、アイリスとフリーダさんが夜を過ごしているだろう時。


 シャオメイの作ってくれたパオズを美味い美味いと絶賛して、宿屋に戻ってきた。


「さて、みんないいかな」


 女性陣用の大部屋の中、リーゼさんが中心になって今後のことについての会議だ。


「まず整理すべきことのひとつとして、フリーダさんのことだね」


 リリナ第三皇女に命を狙われ、帝都を追われた彼女は今、アイリスと一緒に国境線を経由して、王国領のバビロード登山道の山頂町に向かってもらっている。

 フリーダさんを雲隠れさせるついでに、ショーンさんに獄龍珠の対抗品を作ってもらえないかと打診してもらうためだ。アンドリューさんの紹介状もあるとは言え、専門外のことをやってくれと言うんだ、簡単に頷きはしないだろう。

 だが、アイリスとフリーダさんなら、きっとショーンさんを頷かせてくれると信じよう。


「そしてゼリウス伯爵が目論んでいると思われる、邪龍ダンケルハイトの復活阻止。聖女伝説が正しいものなら、帝都から北へ向かったところにある離島――ソンブルーヨ島に封印されているはず」


「離島ってことは、そこに行くには船が必要になるんだっての?」


 シャルルの言う通り、島に向かうからには海を渡る必要があると思うだろう。


「図書館で調べてみたところ、この辺りの海域は潮の満ち引きが大きく、一定の時期になれば船を使わずともソンブルーヨ島へ向かうことが出来るそうです」


 エトナが手元の資料を片手にそう意見する。

 午前中はリーゼさんと一緒に聖女伝説について調べていたのだ、途中から馬車に戻って書類仕事に移ったようだが。


「それが、明日より五日後。アイリスさんとフリーダさんが、獄龍珠の対抗品を手に合流するまでを考えると、阻止出来るギリギリでしょう」


 ゼリウス伯爵本人の身柄を押さえれば獄龍珠の対抗品など用意しなくてもいいんだが、それは向こうも相当用心深い性格だろうし、自分の動きを邪魔されたくないはずだ、何かしらの手は打つだろう。

 その日にソンブルーヨ島へ向かう進路で待ち構えて取っ捕まえるだけの簡単なお仕事、にはならないと見た方がいい。

 そして、邪龍ダンケルハイトが復活し、獄龍珠で洗脳されてしまった時のことを考えれば、保険として対抗品は用意しておきたい。

 万が一、獄龍珠を人間に向けて使い、暴走させる可能性もあるし、暴走を止めるためでもある。


 明日から五日後、それまでに可能な限りの準備は整えないとな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
飯テロシーンとの落差よ(;゜Д゜) まあ緊迫したシーンだからしょうがない。 というか一定の期間、船を使わず渡れる島。 まさに、ホラー作品に出てきそうないわくつきの場所ですねぇ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ