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16 子犬?を拾った

 あと少しで出口だ。あの角を曲がれば!

 なんとか暗くなるまでに帰れそうだな……


「クーン、クゥーン……」


「ん?」


「クーン、クゥーン、クーン」


「子犬? 何処だ?」



「クーン、クゥーン……」


「あの草木が生い茂っているところか?」


 俺はゆっくり近づいてみた。



「クーン、クゥーン、クーン」


「クーン、クーン……」


「可愛いなぁ……親とハグレちまったのか……」



「クーン、クゥーン」


「クリクリお目目だな。? 怪我をしているのか? ちょっと待ってろよ!」


 俺はバッグからポーションを取り出した。


「ほら、これ飲んでみろ? すぐに良くなるから」


「クーン……」


「大丈夫だ。何もしないよ」


「クーン……」


「よぉーし、いい子だ」


 俺はゆっくりその()()に近づいた。

 そっと、その子犬の頭に手を伸ばそうとしたら、

 俺の手をペロペロと舐めた。


「おいっ コラ くすぐったいじゃないか。待ってくれ。コレを先に飲むんだ」


 何か入れ物とかないかなぁ……

 うーん……


「仕方ない、直接振りかけるか」


 俺は瓶の蓋を開け、目の前の小さな子犬の傷ついた前足にポーションを振りかけてやった。


「クンッ」

「ワフッ」


「おいおい、おとなしくしろって」

 その子犬は俺を目掛けて飛び込んできた。


「じゃぁな、これでもう足の怪我は良くなったはずだ。なんか食べ物あったかなあ……干し肉の残りが少しまだ残っていたはずだ。コレやるから。元気でな」


 子犬の前に干し肉を軽く投げてやった。

 子犬は急いでそれを咥え食べ始めた。


「じゃあな。気をつけて帰るんだぞ!」


 俺はその子犬に別れを告げて帰ろうとして歩き出すと、


「わっふ! わっふ」

「わっふ! わっふ」

 俺の足に絡まりついてきた。


「おいおい。帰れないじゃないか? 暗くなってしまうから俺は帰らないといけないんだ」


「わっふ!」

 クリクリのつぶらな瞳で俺をじっーと見つめる。


「わっふ!」


「なに? ついて来たいのか?」


「わっふ! わっふ!」


「なんか言葉が通じているようだなぁ……」


「わっふ!」


「仕方ないなぁ……ついてくるか?」


「わふ!」

 クリクリお目目がキラキラしている。


「本当に言葉がわかるみたいだなぁお前」

 俺はその真っ白でモフモフの子犬を抱き上げた。


「一緒に行くか。ハグレ者同士、これから仲良くやって行こうな!」


 俺は子犬を抱いたまま、森の入口のところまで歩いてきた。


「ふぅ、これで安心だ。なんとか暗くなるまでには帰ってこれたな。さぁ帰ろう!」


 俺は子犬を抱いたまま、町へ入る門の列へ並んだ。

「流石にこの時間は人が多いなぁ……」

「わふっ」


「お腹すいたか?」

「わふっ!」


「よし、家についたら飯食わしてやるからな! もう少しの辛抱だ!」


「わふっ! わふっ!」


「お前本当に俺の言うことが分かるみたいだな」


「わふ!」


 俺は子犬の頭を撫でながら、順番を待った。


「よぉ 坊主、無事お目当ての物は手に入ったかい?」


 朝いた門番の人だ!

「はい。なんとか手に入れることができました」


「その胸に抱えてるのは? うん? そりゃぁ シルバーウルフの子か?」


「シルバーウルフ?」


「ああ、シルバーウルフは子供の時、白い毛のヤツがたまにいるんだよ」


「子犬じゃないんですか?」


「犬じゃないだろ? それ。まぁシルバーウルフの子も子供の時は子犬とあまり変わんねーけど、シルバーウルフは魔物だからなぁ」


「え? この子魔物なんですか?」


「シルバーウルフならな」


「じゃぁ飼えないんですか?」


「いや、ちゃんと従魔登録したら飼えるぜ」


「本当ですか! ありがとうございました!」


「おう、今日はもうギルドも閉まる時間だから、明日にでも登録してくるといい」


「ありがとうございました!」


 俺はその門番のおじさんにお礼を言って、町の中に戻った。



「お前魔物なのか?」

「わふ!」


「こんな可愛い顔してんのになぁ」

「わふ! わふ!」


 俺の手をペロペロ舐めた。

「こらっ。やめろって。落としちまうだろ」



「さぁ着いたぞ! 狭いけど、俺の家だ!」


 俺はそのモフモフの子を床に下ろし、防具を脱ぎ、荷物をおいた。

 風呂に湯を入れ、モフモフにミルクを入れてやる。


「とりあえず、これを飲んでて。先にお風呂に入ろう。そのあと、飯を作ってやるからな!」


 そう言って俺はそのモフモフに、ミルクを入れた皿を置いてやった。


「ペロペロ ピチャピチャ」


「おい、急がなくてもゆっくり飲めよ! 毛にいっぱい飛んでるじゃないか」


「ペロペロ ピチャピチャ ペロペロ」


「腹減ってたのか……」


「まぁ先にとりあえず風呂だ! 汚れを落として、さっぱりしてからな! 飯は!」


「わふ!」




 その後、俺は、そのモフモフと風呂に一緒に入り、モフモフを洗ってやった。

 真っ白のモフモフの毛を俺は撫でながら、穏やかな気持ちになった。




 ご飯を作ってやりモフモフと一緒に食べた。


「しかし、今日は色んなことがあったなぁ……久しぶりの森だったけど……まさかドラゴンに会うとはなぁ……」


 俺が色々今日のことを思い出しながら、ふとモフモフに視線をやると、

 寝ているようだ。



「可愛い! 俺もそろそろ寝るか。今日は疲れたしな!」

















「最後までお読みいただき、ありがとうございます」

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