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深まる謎と重大な情報

 それは、謎が深まった部屋を出てすぐの事だった。


 ラプラプ王が、若干険しい表情で俺達へと告げる。


「……どうやら、あの室内には部屋の主が執筆作業に集中できるように、何らかの外部からの連絡などを遮断する効果があったらしい。事態はあまり喜ばしくないほうに動いているようだ」


「……何があったんだ?ラプラプ王」


 表情から見るに、大変なことが起きているようだがまさか……。


 そんな俺の予測を肯定するかのように、ラプラプ王が告げる。


「我等がこの室内を調査している間に、戦士達の残影が3体ほど既に消滅させられる事案が発生していたらしい。彼らと感覚を共有できるわけではないため、何が起きたのかは不明だが……どこらへんで消失したのかはなんとなく分かるため、そちらに再度新たな兵士達を送り込む事とする」


 そう言ってラプラプ王は言葉通りに、自身の“固有転技ユニークスキル”で新たな6体の兵士達を生み出し、これまでの兵士達同様の指示を与えて何かが起きた地点へと向かわせていく。


 ラプラプ王のおかげで、下手したらかなり最初のところまで引き返さなければならない事態を避けることが出来たが……ラプラプ王が生み出せる分身は、これで残り26体。


 これまで全員ほぼ無傷で、今も安堵したような表情を浮かべつつも、俺達の内心にはじりじりと焦りの感情が迫ろうとしていた。





 再度この先の調査を兵士に任せて、分岐点へと戻ってきた俺達。


 そうして待機してすぐに、ラプラプ王がまたも知らせを俺達へと告げる。


「どうやら、この分岐路の左、二人で行かせた方の進路で片方が消失する事態が発生したようだ。……この時点で先に進むことを諦め戻ってくる辺り、只事ではないと見える。とりあえず、帰還した兵士の報告を聞いてからどうするか決めるとしよう」


 ラプラプ王の提案に俺達は頷く。


 そうして待つ事1時間近く。


 幸いにも他の兵士達は今のところ、無事になんとか出来ているようだが、こちらに帰還しているはずの兵士は結構先の方まで行っていたのか、なかなかこちらに来る様子は見えない。


 オボロが退屈さから痺れを切らして、


「もう、アタシ等でこの先に突入しようよ!」


 と勇もうとしていた、そのときだった。


「わ、我等が王よ……ご報告があります!」


 そのような声とともに、左の進路から一人の兵士が姿を現した。


 その外見は満身創痍といった有り様であり、既にボロボロだったが、兵士はそれよりも先に自身の任務を果たさなければならないと言わんばかりにラプラプ王へと報告を行う。


 彼曰く、この先の道にはユニークモンスターはいなかったが、



・優雅なティータイムに誘い、足止めを図るトラップ


・突如前方から勢いよく転がってくる巨大な米俵(モンスターではなく、おそらくトラップ?)


・レベル45くらいの、これまでの野生のモンスターにしてはレベルが高い“セクサロイド”達による進路妨害



 などがあり、それらを振り切って辿り着いた先の部屋に、捕らえられた犬神いぬがみ 秋人あきとと“転倒者”と思しき人影を発見したらしい。


 部屋に入ってすぐに、もう一人がすぐにその転倒者の攻撃によるものか瞬時に倒されたため、この兵士は自身が掴んだ重要な情報を持ち帰るために、命からがらその場から逃げ出したのだという。


 それを聞いて、ラプラプ王が兵士に賞賛の言葉を贈る。


「ウム、よくぞやってくれた我が友よ!……今度は我等が、貴殿の勇気と英断に応えるとしよう!!」


 ゆえに、とラプラプ王は告げる。


「今はしばし休むが良い……かつて、我等と同じ戦場を駆けた戦友ともよ……!!」


「……それでは、御言葉に甘えると致します。……偉大なる我等が王、ラプラプとその仲間達に御武運を……!!」


 そう告げると、ここまで最後の力を振り絞って帰還した兵士は心残りがなくなったとでも言うかのように、安らかな顔つきのまま、焼失していく……。


 その光景を見届けてから、ラプラプ王は俺へと向き合う。


「今見た通り、我が同胞の知らせによると、この先に今回の目的であるアキトと敵側の転倒者がいる事は確定のようだ。……この先はこれまでと比べて激戦は必至のようだが――リューキよ、お前はどうする?」


 今の自分は俺の“山賊団”の一員なのだから、俺の判断に従うという事か。


 オボロやヒサヒデが固唾を飲んで見守ってるが、そんな事問われるまでもない。


 俺は、ラプラプ王の目を見据えながら、力強く答える。


「そんなのは、このまま急いで突入の一択だラプラプ王!!――敵も自分達の情報が俺達のもとに知られたことは分かっているはずだし、このまま準備やら作戦のためにここでモタモタしていたら、敵側にも逃亡やら罠を張り巡らせるための時間を与えることになるはずだ!」


 だから、と俺は言葉を続ける。


「速攻で敵の転倒者を倒して、犬神いぬがみ 秋人あきとを救い出す!!俺達が今やるべきことは、それだけだ!!」


「リューキ……!」


「ピ、ピ、ピース!!」


 そんな俺の言葉に同調するかのように、オボロやヒサヒデが言葉を発する。


 ラプラプ王も俺の決定に頷きを返す。


 そこから少し話し合った結果、



・ラプラプ王は、新たに兵士を二体呼び出し、この先の進路に同行させる。


・この遺跡内には、“淫蕩をラスト・打ち砕く者デストロイヤー”のような他のユニークモンスターがいる可能性もゼロではないため、俺達が一つの進路に専念している間に何かしないか見張るためにも、他の進路に進んだ兵士達にはこのまま調査を続けさせる。


 ということで決定した。


 そうして、俺達はこの遺跡を訪れた目的である『犬神いぬがみ 秋人あきとの救出』を果たすため、左の通路へと駆け出していく――!!

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