サンバイザー
ハァー僕は深い溜息をつく。
今日はバイトも休みだから布団の中で丸くなっている。あれから美希ちゃんとは特に進展もなく、ご飯にも誘えない。
やっぱり僕の事なんてなんとも思ってないし
誰にでも食事の誘いぐらいするよね。
なんか浮かれた自分がバカみたいだ。
このまま何事もなく時間だけが過ぎていくのかなぁ〜。
僕はどうしたらいいんだろう。
そうだピンク先生に聞いてみよう!
、、、どうしたらあの人に会えるのかな?
あー教えてピンク先生!
母(拓海お友達がきたわよー
あがってもらうわよー)
階段を上がってくる音がする。
ガチャ
ピ、ピンク先生
ピ(よっ!恋愛してる?)
ピンク先生は得意のセリフを言うとどっかりと腰をおろした。
あっ。ピンク先生TシャツがロンTになっている。
いやそんな事よりどうして僕の家がわかったんだ?母親もこんな怪しい人家に上げるか?
僕がそんな事を考えてると。ピンク先生は静かに話し始めた。
ピ(美希ちゃんはいい子だ安心しろ。大好きになればいい。)
問題は拓海がどうしたいかだ。自分の思う様に行動してみろ)
そう言うとピンク先生は立ち上がり帰ろうとする。
あっ待ってください。僕はどうしたらいいんですか?
ピ(誘えばいい。食事でも、映画でもいい)
えっ。いつですか?どのタイミングですか?
なんて言えばいいんですか?
ピンク先生は僕の方へ近づいてきて
ピ(今だ。いますぐ誘いにいくんだ!女の子から食事の誘いをさせるな!どれだけ勇気がいると思っているんだ。彼女は待ってるぞ早くするんだ)
ピ(そうだ拓海に、魔法を掛けてやろう。)
そう言うと。ポケットからサンバイザーを出して僕にかぶらせてくれると、
ピ(これで今日、拓海のやる事は全て上手くいくぞ)
そう言うとピンク先生は出て行った。
ハッと我に帰り階段を駆け下りると。
丁度ピンク先生が玄関から出て行った。
母(あの子面白い子ね。拓海にあんなお友達がいるなんてね。)
母は凄く嬉しそうだ。
部屋に戻ると又布団に潜り込むとピンク先生は無茶苦茶だよ。そんな事出来る訳ないじゃん。
静かに目を閉じる、、、
僕がどうしたいか、、、
僕は布団を跳ね除けた。
僕はピンク先生がかぶらせてくれたサンバイザーを少し深くかぶると。 よし!
バイト先に向った。
バイト先に着くと裏口から入る。
あっ棚瀬さん美希ちゃんは?
棚瀬(あっ今帰ったよ。本当今だよ)
僕は軽く頭を下げると、店を飛び出した。
目の前に赤いスポーツカーが止まっている
それに乗り込む美希ちゃんが見える。
僕は動けない。、、 、彼氏かな。
急にテンションが落ちる。地面を見つめる。
ふとサンバイザーが目に入る。僕は無意識に駆け出していた。
美希ちゃん!!!今からご飯食べに行こうよ!!!
かなり大きな声だ。自分で言った言葉なのに
自分の耳がそれを疑う。
キョトンとして。呆然としている彼女がそこにあり、瞳孔が開いてトランスしている僕がそこにある。