他者視点(兄)②
可愛い可愛いノアが5歳になった。
今日は洗礼式に出て、帰ってくればパーティーがある。
僕と妹のエマは留守番で、パーティーの飾りつけを手伝っている。
ノアが喜ぶ顔が見たいと、一生懸命やっていると、あっという間にノアたちが帰ってきた。
なんだか、帰宅が早いような気がしたけど・・・
滞りなく終わったなら、良かった。
でも、なんだか様子がおかしい?
まぁ、何かあったら呼んでくれるとは思うが・・・
すぐに人払いして部屋にこもってしまった。
心配だ。飾り付けやら、テーブルセットを手伝っているんだけど、心配で、心ここにあらず・・・みたいな感じだ。
これは、逆にメイドたちに、迷惑かもしれない。
一度部屋に戻るか、と思っていると、父上の執事イーマスが僕とエマを呼びに来た。
ああ。これで解決すれば、安心して準備ができる!
部屋に入るとまず目に入ったのが、ノアの上にいる神々しい生き物だった。
驚いたのと同時に、絵になる姿に数秒固まってしまった。
父上に声をかけられて、ハッとして、言われるがまま座る。
ノアのステータスを見て、絶句した。
なんだ?このステータスは・・・
僕のステータスより、ノアのステータスの方がいい。
次期当主の席、本当に変わったほうがいい気がするんだが・・・
神々しい生き物は、フェンリルだし・・・
魔法適正は全属性に、創造魔法?
聞いたことないけど、すごそうだな。
レベルは既に10だし、体力と魔力量MAXって・・・
加護もこんな加護は見たことがないぞ?
神自身の加護だって?
普通は加護と言っても、特定の事柄についてだけなのに。
例えば、"商売の加護"や、"剣技の加護"などだ。
僕も加護はあるけれど、"リーダーの加護"というものだ。
聞けば聞くほど規格外。
そして、ノアは神様にさえ愛されている存在だと言うことだな。
今までもだけど、ますます可愛くて、自慢の弟だ。
いつまでだって、家にいてほしいくらい。
だけど、そんなノアが話を進めるにつれて、険しい顔になってく。
そして冒険者になるなんてことを言い出した。
冒険者の中には、ガサツな者や、問題ばかり起すような者も多い。
あまりいい印象はない。
そんな僕の内心を見透かしたノアは、冒険者のおかげで守られている場所があると言う。
その通りなんだが・・・
頭ではわかっていても、気持ちが追いつかないんだ。
そんな中に、可愛い可愛いノアが入っていくのは、反対なんだ・・・