表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/156

65

言いかけた続きの言葉が分かる僕は、トーマスの言葉を遮った。

これは、トーマスの失態ではないのだ。

だれも悪くない。僕の頭のキャパシテイーを超えただけだと、分かっていたから。



「トーマス、続く言葉は想像が付く。だが、聞きたくない。だいいち体調不良ではないし、トーマスは、悪くない。これは、僕の問題だ。」



「そんなことは!」


そう言うトーマスに、首を振った。


「そうなんだよ。あのとき僕の頭は確かにすごい速度で、理解しようと働いていた。僕は5歳にしては、頭はいい方だと自負しているんだけど、あのときの情報量は今の僕には、処理しきれなかっただけなんだ。成長して、時がたてば解決する問題だ。」



そうニッコリ笑えば、トーマスも泣き笑いしていた。

責任感の強いトーマスのことだ。きっと自分のせいだと責めていたんだろう。

そんな気持ちにしないように、頑張らないといけないのは僕なんだ。


下っ端は辛いってずっと思ってたけど、上に立つものだって、辛いことはあるんだな、なんてことに今更気づいた。



「辺境伯と奥様にお伝えしてきますね。」



「うん、頼むよ。」


そう言うと、涙をぬぐって部屋を出ていった。



リルと二人になる。

あのあとどうなったのだろうか?


「リル、あのあとどうなったの?」



「ノアが倒れて皆で焦った。」



「う、うん・・・それは心配かけてごめん。でも、そうじゃなくて、話し合いになった?リゲル様怒ってなかった?」



「全然怒ってなかったよ?むしろ、リゲル様が謝ってたよ。5歳には難しかったねって。」



「ハハ、その通りだな。でも、なんか悔しいなっ。」



__________


しばらくすると、トーマスが父上と母上を引き連れ訪ねてきてくれた。


「「ノア!(ちゃん)大丈夫?」」


第一声に揃って、そう聞いてきたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ