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「ノア様、おはようございます。」
トーマスの声で起きる。
このルーティーンは今日も健在だ。
「おはよう。トーマス。」
「ノア様、ぐっすりでしたね。」
「へへ、さすがに疲れていたみたい。」
と、起き上がりながら、話す。
まだ寝ぼけ眼の僕だが、立っているだけでトーマスがテキパキと指示をしながら、着替えさせてくれる。
「トーマス、今日の予定は?」
「ダンテ様から、朝食後に執務室に来てほしいと言付かっております。」
「ん?そうなんだ。分かったよ。」
「その他は、昨日の洗礼式のあとですので、予定はないです。」
「うん、わかった。ありがとう。」
「いえ、朝のこのやりとりがあると、シャキっとします。」
「フフ。僕も同じだよ。」
トーマスも僕と同じ気持ちで、少し嬉しくなった。
「さあ、行こうか。兄上たちより、早く入らないと。」
そう言って、少し早歩きする。
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食堂に着いた僕は、ほっとした。
まだ誰もいなかったからだ。
しばらくすると、兄上と姉上が来た。
「「おはよう、ノア」」
「おはようございます。兄上、姉上。お二人は本日もご一緒に来られたのですね。仲がよろしくて、羨ましいです。」
「ノア。」
と、ジト目で僕を呼ぶ兄上。
「あら、ノア。私たちはノアとも一緒に来たいと思っているのよ?けれど、ノアったらそんな礼儀知らずにはなれません!なんて言っちゃってさ。それに、そんなのさみしいわよ?我が家はそんな家族ではないと、知っているでしょう?」
プウっと膨れる姉上は可愛い。きっと、それは嫌味に聞こえたのだろう。
「申し訳ありません。嫌味のつもりは全くなかったのです。兄上も姉上も、敬っておりますから、恐れ多いのです。」
「ノアがそんな子じゃないって、わかっているわ。」
「私は、ノアこそ尊敬に値すると思っているよ。もう少し、距離を詰めさせてはくれないか?たまには、頼ってくれよ。トーマスに頼るみたくさ。」
「フフ。はい、わかりました。」
「発言のお許しを。」
と、トーマスが改まって言う。
「我が家には、目下の者から話しかけたからと言って、切り捨てる者はおらん。知ってるだろう?トーマス。」
「は。では、ありがたく。ノア様の側近、執事、お世話係りは私です。誰にも変わらせないですよ。」
なんて、トーマスも参戦してきた。
ええ、これじゃ僕を取り合ってるみたいだけど・・・
こうゆうのって、女の子限定じゃないの?
ていうか、異性限定っていう意味の。
ブクマ130人突破!他サイトでは680人超え!嬉しい限りです。