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「ノア、お待たせ。さあ、行こうか。」
と、父上が母上をエスコートしながら、やってきた。
「いえ、今来たところですから。母上、今日はいつも以上に綺麗です。」
そう言い、父上にエスコートされている手の反対側に、手を出した。
「まぁ!ノア!ありがとう。」
そう言って、手をとってくれた。
反対側からエスコートする。
「全くノアは・・・本当に成長が早いなぁ~」
そう言う父の顔は、とても嬉しそうでした。
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馬車に乗り、だんだんと緊張が増す。
「ノア、母様が言っていただろう?どんなノアもノアだって。自信持っていい!」
と、父上がフォローしてくれる。
すると、少しずつ気持ちが落ち着くから、本当に不思議だ。
神殿に着くと、神官や見習い様が大勢並んでいる。
受付をして、中に入って行く子供や保護者もたくさんいる。
なんでも、王都だと平民と貴族に別れているし、午前午後などに別れているそうだが、地方の領主は地方にいる貴族が少ないので、平民と一緒にやることが多いのだそう。
我が家は後者だ。
貴族といえば、辺境伯・子爵・男爵しかいない。
ただ、今年5歳になる子供がいるのは我が家だけだから、今回貴族で洗礼式を受けるのは、僕だけになる。
まぁ、もっとも辺境伯は代替わりが早いから、他の貴族のご子息も年齢は上の方が多いんだが。
馬車が開かれる。
父上が下り、僕が下りる。
サッと母上に手を差し出す。
父上と僕のタイミング、バッチリ合った。
チラっと父上を見ると、少し拗ねている?
父上の独占欲だか。ハハハっ
まぁ、母上がなんとかしてくれるだろう。
「あなた、ノア、ありがとう。」
それぞれの顔を見てから、優しく微笑むさまは女神のようだ。
「さあ、受付に行きましょう。」
「はい!」