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2.ボツ考察:感想ありがとな! 作者も感想を読むの、好きやねん! 変なのもあるけどな!

 

 ボツンはボツのデジタルデータを閉じ、机の上でティーパックを蒸しながら紅茶を用意しているえるえるに訊ねた。 


「これはボツじゃないでしょ、作品としてもしっかりとしてるし、投稿するべきだと思いますが」


 ボツンは思った。良い作品ではないかと。タイミングよくエッセイカテゴリに投稿すればランキング入りも狙えるだろう。なろう読者へマナーと節度を守ってほしいという内容のエッセイだし、関西弁の独特な語り口調も面白い。


 えるえるは情けなさそうに口を開いた。そこには迷いが見られる。


「いいや、これはボツだよ。作者のプライドに反している。まぁ情けない話さ。当時の私は何となく投稿してはいけないと感じてボツにしていたけど、英断だったよ」


「へぇ、作者のプライドですか。面白いこといいますね、ってかそんなの持ってたんですね」


 えるえるは紅茶に砂糖を溶かしていた。ティーカップはお洒落で、カチャカチャと音が響いていた。


「それはそうさ、誰だって持っている。小説になろうに投稿する作者は必ずね。そうだな、小説という創作物が読者に与えるものは何だかわかるかい?」


「与えるもの、ですか。う~ん、よくわかりません」


「聞き方を変えよう。例えば、チートハーレムな小説を考えよう。主人公がチート能力でハーレムを作った。しかし作品を読み終えた読者はハーレムを作ったわけでも、チート能力を得たわけではない。では何故、読者は小説を読むのかな?」


「それは……、やっぱり面白いからじゃないですかね」


「正解だ。小説という作品から読者が受け取るのは、精神的なものだ。それは悦びだったり悲しみだったり、考え方だったり。そういったものが読者の心の中に沁み込む時、その小説は良いと言えるだろう。チートハーレム小説は、ゲームをするような楽しさや悦びを持ってるわけだ」


「確かに、そうですね。私も感動したい時はそれっぽいタイトルの小説を開きますし、爽快な気分になりたい時はチートファンタジー小説を読みますね」


「では視点を変えよう。このボツ小説が読者に与えるものは何かな?」


「それは、良い感想を書こうかなとか、ちょっときついことを感想で書いちゃったなとか、そんな感情ですかね」


「違う、この小説が読者に与えるものは、同情と不快感だ。良識のある読者はこの作品を読む必要がない。良識のない読者にはこれは不快感を与えるだろう。同調的な感想が半分、悪口や扇動的な感想が半分ぐらいになるんじゃないかな」


「あ~確かに、良識ある読者には不要な小説ですね。反論風味の悪口感想がつきそうなのは解ります」


「そう、そしてそれらに価値はない。『変な感想って書く人いますよね、わかります。気にせず頑張ってください!』とか『作者も好き勝手言ってるけど、こうなんじゃないの? 人格を疑う』みたいな感想が見られるだけだ。もはや鬱憤晴らしの小説になる。バカヤローって人のたくさんいる所で叫ばせてるだけの小説だ。私は作者として、読者にそんな小説を読ませて感想を書かせるのは嫌だよ」


「あぁ~。それで『プライドの話』と『作品が読者に何を与えるか』に繋がるわけですか」


「そういうこと。作者として恥ずかしいじゃないか。私はこれでも品格って大事だと考えてるんだ。例え、日頃の小説で変な感想に当たったら、それなりに対応したらいいのさ。さっと返事を書いてね。だから、この小説はボツだよ。これを書いた日の私は、とても怒っていたんだろうけどね」


「作品が面白くないとかではなくて、そういうボツもあるんですね」


「そういうこと。読者も作者も得はしない。この小説は読者の不満感情を煽っているだけだ。それにこんな内容のエッセイは、検索をかければたくさんの人が書いてるだろう。私が追従して書く必要性もない。ファンは大事にするべきで、私はその人達のために小説を書くべきだと思う。そしてこの小説はファンのための小説ではない。私は自分の作品を読んでくれる人たちに、読んでよかったと思える作品を書きたい。そしてこの作品はそうではない」


「そういうわけですか、まぁいい心がけだとは思いますよ」


「それに今の私は何の感想に怒ったのかさえ忘れてしまった。まぁ自戒のために、何故これがボツなのかを少し考えたぐらいだね。それに他の人がこういった作品を書くのは別にいいと思うんだ。私は、私が書く必要がないと思っているだけだからね」


 えるえるは鼻歌を歌いながらティーカップに手をつけ、紅茶を飲みほした。


感想ありがとな! 作者も感想を読むの、好きやねん! 変なのもあるけどな!

執筆日:2018/10/5

執筆時間:3時間程だったと思う。

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