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異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~  作者: 存在証明
アルバード王立高等学院~新たな出会い~

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勇敢な鳥の行く末は…

思わずサッと角を曲がり身を潜める。


自分の心臓の音が一定の感覚で聞こえてくる。


ふと視線を下にすると両手が小刻みに震えていた。


気持ち悪い汗が僕の額を埋め尽くす。


地面に縫いつけられたように足が動かない。


ただ聞こえてくるのは誰かの悲鳴と助けを求める悲痛な叫び、そして暴力の音。


ああ、本当に嫌いだ。何もできずに隠れている自分が嫌になる。


誰かを呼ばないといけないのに声がでないし動けない。ていうか誰を呼べばいいんだ?誰が助けてくれる?


答えは簡単だ。誰も助けてはくれない。


そんなこと僕が誰よりも分かっているじゃないか。


いつの時代でも教師なんて当てにならない。いつだって助けてくれたのはレイだけだった。


親も、教師も、同級生も、警察も、現場を見たはずの大人も、見えていない振りをして僕の存在をかき消した。


もし今何もせずに立ち去れば僕はきっと後悔する。


世界中で行われている虐めを止めることはできなくても、せめて、せめて目の前で起こっているものだけは止めなくてはならないだろう


僕はアイツらとは違うということを証明しなければ…


誰かに行動して貰うことを期待するな、まずは自分が行動しろ!


僕には何がある?今何ができる?考えろ、考えるんだ、カイ!!


まず大前提としてあの人数に勝つことは不可能だ。何かいい案はないだろうか?




…ああ、あれがあった








飛べない鳥に必要なものは空を飛ぶための勇気だけだということだ。


そして僕は本心を隠すように笑みを浮かべて彼らの元に歩きだした。


いつの間にか手の震えは止まっていた。



「やぁやぁ小太り君、何してるの?まさか僕に負けたからって関係ない人に八つ当たりでもしてたのかなぁ?」


虐めの主犯はおそらくこの前僕がこんてんぱにしたフローレス壌の婚約者、ブルース・クローズだろう。


「なっ、なんだと!!公爵家の汚点が無礼だぞ!!」


やはりそうくるか。想定内すぎて笑えてくる。


「ちなみにそれどこ情報?てゆうか今の不敬罪、だよね?君は侯爵家、僕は公爵家。わかる?僕の方が身分は上。ああそっか、脳みそが小さいから分からないよね。ごめんねぇ」


相手が苛つきそうなほど口角をあげる


「くそっ、くそっっ!!!なんだよテメエは!!おい、お前らやっちまえ!!」


ブルースがそう言うと周りにいた手下の貴族が襲いかかってきた。


剣を抜いて切りつける者や殴りかかってくる者もいた。


取り敢えず可能な限り最低限の動きのみで避けていきながら虐められていた少年に歩いて近づく。


正直この人数を相手に立ち回れるとは思っていないが避けるくらいならわけもない。


幸運なことに、荒事が得意な上級生はここにいなかった。


少年との距離が1mも無くなった瞬間、走って少年に近づき手をとって逃げる。


後ろが面倒くさいので水球をだして彼らの真上から落としてみる。


「なっ、なんだこの水!!おいテメェどうにかしろよ!」



「そっ、そんなこと言われても...」


そう内輪揉めをしている最中にも僕らの距離は離れていく。


「君、どこの寮?」



「あ、えっと、、スピネル寮です…」


もちろん知っている。アイツらと同じタンザナイト寮であれば助けていなかった。


なぜって?もっと酷くなるからだ。変な偽善でよりこの少年を追い詰めることになるだろう。根本的なことを解決しない限りこういうのは無くならないのだ。


「そっか、でもアイツらもバカだねぇ。平民といえども錬金の搭から推薦された人間をこうも虐めるなんて。」


錬金の搭、魔搭、そして神に使える神殿のそれぞれのトップは公爵並の権限がある。まあ魔搭のトップはそもそも公爵なのだが…


ジェノア君は茶色の髪に青い瞳持っていて普通に顔のいい部類にはいるだろう。

また、メガネをかけていることから真面目そうな雰囲気がある。


まあ要するに奴らの地雷を踏みぬいたんだろうな。


「どっ、どうして知ってるんですか?」


そら全部覚えたからだよと言いたいところではあるがぐっと我慢する。


「どうしてだろうね」


そう言って不敵に笑う。


奴らを撒きスピネル寮にたどり着く。


「これからは誰でもいいから貴族と行動した方がいい。貴族といってもできる限り伯爵家以上が望ましいが…」


まあ欲を言えば公爵家以上が望ましいが…


「僕、こんな性格だから友達がいないんです。」


マジか…なんか昔の僕にちょっと似てる気がする…


「そっか…、じゃあ授業の時間教えて。できるだけ守ってあげる。」


そう言うと彼は授業時間が載った紙を渡してくれた。


「どうしてそこまでしてくれるんですか?」



「それが助けた者の義務だからだよ、ジェノア君」



「名前も知ってたんですね…」



「僕の名前はカイ・ハルシャ。同い年だしタメ口で構わない。それじゃあ明日の朝また会おう!」


彼にとってヒーローに見えるように振る舞う。あの時の僕もそんな人間を待っていたから。虐められていた人間には盾が必要なんだ。1度助けてしまったのだから最後まで責任を持たなければ…





ジェノア君と離れた後、誰もいない路地裏で座り込んでしまった。


酷い震えで立つことも叶わなかった。


そのため、僕は震えが収まるまで1時間程路地裏に緊張や恐怖、快感が入り交じったなんとも言えない感情と共に座っていた。


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