とある神話の一小節
これは誰の記憶にも残っていないはるか昔の出来事
おそらく今と変わらず人が魔物という脅威のために手を取り合って平和に過ごしていた。
しかし、ある日突然悪魔がこの地に降り立ち人類の半分以上がその悪魔に殺された。そして、その悪魔を退治するために神々がこの地に住む人間にギフトを与えた。
創造神ノア様は嘘を見破る真実眼を、
万物神レイ様は人の本質を見極める真眼を、
時空神カイロス様はほんの少し未来を見ることができる予知眼を、
大地の神レアー様は魔力の流れを可視化する魔力眼を、
愛と運命の神セレネ様は幻覚を見せることができる幻想眼を、
死の神タナトス様は自分よりも弱いものをねじ伏せる服従眼をお与えになった。
ノア様の真実眼は初代勇者の血筋であるエスペラード家にカイロス様の予知眼は勇者を側で支えたハルシャ家にレイ様の真眼は仲間として最後まで共に戦ったとある獣人の一族に代々伝わっている。
それら2つの眼が開眼するのは13の誕生日の時だ。また、同世代につき1人しか開眼しない。
ただしレアー様やセレネ様、タナトス様については気紛れな方であるためその眼を得るに相応しい者に与えられる。
魔力眼は生物との親和性が高い者に、幻想眼は人間を人一倍愛している者に、服従眼は誰よりも深い悲しみや絶望を持ちながらも立ち直った者に与えられる。
そしてこの6つの瞳が揃うとき、再び悪魔が現れる。いや、どちらかというと悪魔が現れるために対抗すべく6つの瞳が揃うのやも知れない。
ただ1つ言えることはその悪魔を封印することができるのはその瞳を持った者達のみであることだ。
誰一人として欠けることは許されない。
また、その悪魔を封印する時に鍵となるのは2人の…
ここから先はページが破りとられていたため読むことは叶わなかった。
この本の名前は“始まりの音”。そして先程見たのは第1章だ。作者は初代国王。
図書館のあまり目立たない3階の1番左端にある本棚の1番上にある名前が書かれていない本の中に紛れていたのだ。
まあ要するに国王自身がこんな面倒くさいことをしたのであれば僕がおそらく執筆後最初の読者だろう。
ただ、僕が求めいた問いの答えが一部見つかった。
エレンのステータスにあった真眼について知れることができただけでも儲けものだ。
図書館の窓から空の様子を見ているともうすっかり雨は止んでおり夕日が出ていた。
長くいすぎたようだ。そろそろ寮に戻るか…
そして僕は席を立ち本を戻してから図書館を出た。
この学院では飲食店や雑貨店、ドレスショップといろいろなものが揃っている。
学校と言うよりも隔離された小さな町といった方がいいだろう。まあ、町にしてはいろいろと豪華だが…
訓練場 本館 訓練場
寮 商業 大 商業 寮
寮 エリア 通 エリア 寮
り
門
と、こんな感じだ。ちなみに図書館は本館の中にある。
商業エリアを抜け人通りが少ない道へと入る。するとどこからか悲鳴のようなものが聞こえた。
「やっ、やめてください!」
そう誰か叫んでいる。
角を右に曲がると7、8人くらいの貴族に囲まれて暴行を受けている少年がいた。




