家族とは何か
あれから5日程過ぎ、ようやくライズに着いた。
「おお!!!!スゲェー!バルセよりもはるかに大規模な都市じゃねぇか!!」
「兄さん、うるさいです、静かに騒いでください。」
ユウリがエレンに抗議すると
「まぁまぁ、エレンがこんなに驚くんはわかるで俺も。」
とコウが擁護する。
だがコウ、君と僕が出会ったフィレンもかなりの大都市だろうと言いたくなるが飲み込む。
「…ライズは王都の次に大きい都市だからね。」
「たしか公爵領なんだっけ?」
「うん。ライズの正式名称はハルシャ公爵領ライズ、だからね。」
「ハルシャ家っていえば超人だらけの家で有名だよな!」
「さぁ?そこまでは知らないな。」
「結構有名だぞ?」
「僕らは君たちと違って商売をやってたわけじゃないからね。」
「ふーん、じゃあ知らないなら教えてやるよ!現公爵は今は引退してるが元シェナード王国騎士団のトップで今は亡き公爵夫人は100年に1人の天才と呼ばれるほどのお方なんだ。その上、後継者である御長男は文武両道で現シェナード王国騎士団のトップなんだ。な?スゴイだろ!」
たしかに凄いが、超人というほどだろうか…と思いながらも返答する。
「たしかにそれは凄いね。そんな凄い人達の領地ならとても期待が出来そうだ。」
それにしても思ったより並んでないな。
城門前の列が少ないってことは怪しそうな人以外はスルーしてるってことだろうから今回は数分待つだけで良さそうだ。
数分後
「次の人!」
思った通りの速さだな。
「もしかして君はカイ君かな?」
「たしかに僕の名前はカイですけどライズには初めて来たので人違いだと思いますよ。」
「いや、人違いではない。領主様に君がここに来たら連れてくるように言われているんだ。着いたばかりで申し訳ないが俺についてきてくれ。友達も一緒に来ても構わないと仰せつかっている。」
と言って衛兵は僕らを手招いたので1m程離れて後ろを歩く。
「…僕、、なんかやったっけ?このまま処刑されたりしないだろうか?」
「さすがに飛躍しすぎやろ!処刑されるようなことはやってへんねやろ?」
「…多分?」
「疑問系なのが怖いところだな」
さすがに僕も処刑されるようなことは今世でも前世でもやったことはない、多分。
てゆうかエレンだけが凄く嬉しそうな顔をしているのは気のせいだろうか?いや、きっと気のせいではない。周りに花が飛んでいる。
「さあ、着いた。」
両隣に衛兵がいる城門が開く。
「お待ちしておりました。ここからは私、執事長のリアンがご案内させていただきます。」
少し歳を取った男がにこりと人の良さそうな笑みを浮かべてお辞儀をする。
言われるがままにリアンと名乗った男に着いていくと豪華な扉の前に着いた。
「この中へお入りください。後ろのご友人もご一緒にどうぞ。」
そっと中に入ると自分と同じ緑の眼をした白髪の男が座っていた。
「よく来てくれた。そっちに座ってくれ。」
「…公爵閣下にご挨拶申し上げます。」
そう告げて胸に手を当てお辞儀すると男は少し驚いたような悲しいような顔をした。
「…いや、そんにかしこまらなくていい。」
公爵はスッと立ち上がったと思うと僕の方に歩いてきた。
そして、僕の前に立ち止まった次の瞬間僕の頭を片手で自分の胸に当ててそっと抱きしめ「やっと会えた。…フィオレーナの忘れ形見が…」そう言って涙を流した。
この状況に困惑していると側に控えていた執事長さんが公爵を僕からべりっと引き剥がした。
「旦那様、カイ様が困惑しております。順序を間違えないでください。先に説明をするべきでしょう?」
「ああ、すまない。カイも君たちもそこの椅子に座ってくれ。」
「あの、私達も聞いていいんですか?」
「ああ、構わないさ。やましい話をするきはないのでね。まず、カイ。この紋章に見覚えはないか?」
その紋章には黒い狼が描かれてあった。
「ああ、これですか?」
そう言って母からの手紙と一緒に入っていた指輪とネックレスを取り出す。
「ああ、それだ。君の母は私の娘なのだが、フォード家というハールーン帝国を手中におさめていると言っても過言ではないほどの家の当主に見初められてね。半ば脅される形で嫁入りしたんだ。当時は今よりもハールーン帝国が強かったためダメだとも言えなかった。
半年後に君を身籠ったという連絡が届いて以降、フィオレーナからの連絡が途絶えたんだ。
影を慎重に忍び込ませたのはいいものの、時は既に遅く彼女は既に死んでいたんだ。
忍び込まさせていた影の名前はシンシアと言う。聞き覚えがあるんじゃないか?」
「ええ、僕の継母の名前、、ですね。」
「彼女はフィオレーナと大変仲が良かった。本当はフィオレーナの様子を確認しすぐにシェナード王国に戻るよう指示をしていたんだが、フィオレーナが亡くなった今、君を守るものがいないと任務を勝手に放棄してハールーン帝国に居続けたんだ。
彼女はこの国で一番強い幻術使いだったから君が見ていた継母も義理の弟も全て幻術によるものだろう。」
マジかよ...
「彼女は今どうしてるんです?風の噂では僕以外全員死んだとか…」
「連絡があったため生きていると思うがまだハールーン帝国にいるだろう。彼女達の葬儀が終わるまで離れられないと言われたんで帝国中ので行う別の任務を言い渡しておいたところだ。ゴホン、それでカイに提案がある。我が公爵家の一員にならないか?」
「僕にどんな利益があってどんな責任が伴うかか教えてくれますか?」
「カイが貴族になればここにいるお友達を誰からというのは無粋な話だが積極的に守ることができるだろう。」
そう言って公爵はチラリとコウとイリアスの方を見た。
「ただ、貴族になればアルバード王立高等学院に入る義務がある。」
「何年間ですか?」
「普通は6年だが優秀な人間は3年程で卒業できる。それと、公爵家を継ぎたくなかったら継がなくて構わない。」
「では僕を公爵家に入れてもあなた方にはメリットが無いのでは?」
「カイ、家族というのはね利益だけで繋がっているのではないのだよ。君が利益がなくとも彼らの側にいたいと感じるのと同じように私も少しでもカイの側にいたいのだよ。なに、今すぐに決める必要はない、今から執事に部屋へ案内させるから仲間と話し合ってじっくり考えてくれ。」
それから僕らは執事長さんに部屋へ案内された。
その途中、家族という存在に抱きしめられたからだろうか?自分の胸が少しだけ暖かいことに気づいた。




