出会い2
そんなこんなで丘に着いて、大きな木の下で本を読むことにした。
本を読んで知ったことだか、この世界では12歳になってから神殿に行くと、ステータス画面を見ることが出来るようになるらしい。
ステータスには自分の先天的なスキルや後から取得したスキルを見ることができる。
ちなみにお金の単位は鉄貨一枚 1リビア
鉄貨一枚(一円)
青銅貨一枚(百円)
銅貨一枚(千円)
銀貨一枚(一万円)
半金貨一枚(10万円)
金貨一枚(100万円)
白金貨一枚(一億円)
となっている。
本を読んでいるとお腹がすいてきたので街の西にある商店街まで歩いていく。
「へい!らっしゃい!坊っちゃん、うちの串焼き食べてみねぇか?」
「美味しそうだね。一本いくら?」
「1本100リビアで青銅貨一枚だ。でも、3本200リビアでお得だよ!」
「じゃあ3本ちょうだい。はい、200リビア。」
「毎度あり!ほい、串焼き三本だ。」
「ありがとう。」
うん、うまい。これで1本100リビアか。安いな!!
僕の今月のお小遣いは食費入れて10万リビア。
まあ、弟は50万リビアもらっていたが、生きるのには十分すぎるぐらいある。
冒険者ギルドではステータス画面を見れる12才からしか登録出来ない。
僕は12才になったら冒険者になって、この家から縁を切るつもりだ。
異世界転生物にありそうな勇者だとか魔王だとかにはなりたくないし、関わりたくもない。
そんなことを考えながら歩いていると丘の上に戻ってきていた。
少し気配を感じたので上を見てみると、木の上には先ほどの少年が驚いた顔をしてこっちを見下ろしていた。
「驚いたぁ。また会ったな!あ、そういえば自己紹介がまだやったな。俺はコウ、よろしくな!」
コウ、か…
「僕はカイ。よろしく。ところで僕はここでご飯を食べるために来たんだけど、君はどうしてここにきたの?」
待ち伏せしていたような感じはしなかった。ならば偶然?
そんな自分の心の中をつゆ知らずコウは同じ調子で答えた。
「今日会ったガキどもの大ボスに追いかけまわされてな。ここは街からは死角になって見えへんからおんねん。」
…僕のせいじゃん。ならきちんと代償は支払わないとな…
「ふーん。じゃあ一緒に食べない?僕小食だからこのオマケにつけてもらった串焼き食べれないんだ。」
「ほんまか!ありがとうな!昨日から何にも食べてないねん。あのガキどもは盗んだりしてるらしいけど、俺はしたないから食料が尽きやすいねん。…餓死するかもしれへんから言うてられへんし、俺を悪魔扱いしてくるこの街は嫌いやけど一線は越えたくないねん。」
そう言うコウの瞳には少し光があった。
「ふーん、じゃあなんでこの街にずっといるの?」
ここは隣国、シェナード王国の国境に1番近い町だ。赤眼を迫害するのはこの国だけだからシェナード王国に逃げればいい。
「行く場所がないねん。こっから一番近い街に行こうとしてもでっかい森を通ることになるやろ?魔物や盗賊も出るみたいやし一人じゃ緊急時以外行きたない。」
たしかに…。本では森としか書いていなかったから分からなかったがゴブリンぐらいは当然いるだろう。いなかったとしても彼には情報を得る場所がない。情報無しに森に入るのは自殺と同義だ。
…一応持っている情報は渡しておこうかな
「たしかに。あの森を通る商人は最低でもEランクの冒険者を二人は雇ってるしね。」
「せやろ!串焼き美味しかったわ!ありがとう!じゃ、俺はそろそろ戻るわ。…あっ、そういや本持ってるてことは字、読めるってことやんな?次会ったら教えてくれや!」
字、か。何のために学びたいんだろう?
「いいよ。そのくらいなら。」
一応迷惑をかけたので彼の小さな頼みを聞いてあげることにした。
「またな!」
そう言ってコウは木から飛び降りる颯爽と去った。
「行ったか…それにしても本当に真っ直ぐな人だな。彼と少し似ている気がする。コウとなら友達になれるかもしれない。」
そう思わず溢してしまった。
またね、か。次はいつあえるんだろう?




