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第16話 聖女、責任問題?

 翌朝。


「ふぁ~~、よく寝た~~」


 とてもぐっすり眠ったわたしは、窓の外から聞こえる小鳥のチュンチュンな鳴き声でパッチリと目を覚ました。


 うーん、爽快ソーカイ!

 これだけ気持ちよく寝たのっていつ以来だろ?


 なにせシェンロンの王宮にいた時は、朝から晩まで時間に追われるように巫女の仕事をこなしてたからね。

 全体的に睡眠時間が足りてなくて、朝は気合で眠気を吹っ飛ばすみたいなことが多かったのだ。


 それもこれもバーバラがちっとも仕事しなくて、わたしが2人分の仕事をやってたからだけど!

 

 そして起きてすぐにわたしは現状を思いだした。

 なんとわたしはいまだに、上半身裸のライオネルに抱きしめられていたんだ!


 さすが王子様、眠っている顔もイケメンだなぁ……。

 はふぅ、幸せ……。


 ぐっすり眠れたのはもしかしなくてもこのおかげかな?

 なんちゃって!


 などとアホなことを考えているとライオネルが目を覚ました。


「あれ、クレア……? おはよう……なんでボクは君のことを抱きしめてるんだ……? えっと昨日の夜……って、ご、ごめん!」


 大きく目を見開いたライオネルが、わたしから手を離して掛け布団をはねのけた!

 そのままガバッと勢いよく起き上がる。


「その、本当に申し訳ない! これは誓ってよこしまな気持ちがあったわけじゃないんだ! 寝ている間にまったくの無意識で抱きしめてしまって! わざとじゃなくて! いいや言い訳なんて男らしくないな、本当にごめん! この通りだ!」 


 ライオネルが地面と平行になるくらいに思いっきり頭を下げた。

 すごく慌ててるのがなんだかちょっとおかしかった。


「おはようございますライオネル。えっと、まずは顔をあげてください」

「いいや、許してもらえるまではあげないよ」


「できればライオネルとは顔を見てお話したいなって思うんですけど」


 わたしは昨日平謝りした時にライオネルに言われたセリフを、そっくりそのまま言ってみた。

 ライオネルにもその意図は伝わったみたいだ。


「そうか、うん、それもそうだな……」


 ライオネルが顔をあげた。

 その顔は申し訳ないって気持ちでいっぱいだった。


 王子様なのに偉そうなところが全然なくて誠実な人だなぁ……。


「まず、わざとじゃないのはわかってますのでご安心ください。ライオネルはそんなことをする人じゃないですし」


 わたしが笑顔でそう言うと、


「そ、そうか!」

 ライオネルはホッと安心した顔をした。


「だから許すとか許さないとかそれ以前の問題です。たんなるアクシデントですもん」


「そう言ってくれると助かるよ、クレア」


「いえいえお構いなく」

 それにどっちかって言うと役得だったのはむしろわたしの方だし。

 むふっ。


 そんなわたしを見てライオネルが言った。


「クレア、こうなった以上は責任をとるよ」

「はい? 責任ですか……?」


「許してくれたとはいえ事実は事実だから」

「はぁ……」


 急になんの話をしてるんだろう?


「クレア、ボクの(きさき)になってくれないかい?」


「えっと(きさき)って、王族の妻のことですよね? 妻……? つま? ツマ!? わたしがライオネルの!? ふええぇぇっ!?」


 わたしは思わずアホな声をあげてしまった。


「若い女性を抱いて一夜を共にしたんだ。男としてちゃんと責任をとるよ」


「あはは、またまたご冗談を……」

 一夜を共にしたって言っても寝ぼけて抱きしめられただけだし。


「いいや、ボクこんな大切なことで冗談は言わないよ」


 最初は冗談かと思ったんだけどライオネルの顔はマジだった。

 マジのマジ、マジ(まんじ)だった。


 ってことはここまでの話を整理すると……わたしが王族になっちゃうってこと!?

 しかもイケメン王子さまのライオネルが、わたしの夫!?


「ふええええええぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!??」

 わたしはもう一回、すっとんきょうな声をあげちゃったんだけど、


「受けてくれるかな?」

 ライオネルは真剣な顔のままでそう言うんだ。


 こ、これっていわゆる、「玉の輿(こし)」ってやつだよね!?


 女の子の理想を具現化したような、求められる要素を全て高い水準で満たしたライオネルだ。

 そんなライオネルに、もちろん庶民のわたしなんぞが文句があろうはずがない。


 だからわたしは――、


「申し訳ありませんが、お受けできません」


 はっきりとお断りした。


「……理由を聞かせてもらってもいいだろうか?」


 ライオネルが目に見えて悲しそうに言った。


 そりゃあそうだろう。

 たかが庶民にあっさりと結婚の申し出を拒否されたのだから。


 でも――、


「だってこういうのはお互いの気持ちがなにより大事ですから」


 ライオネルは素敵な男の人だ。

 ムリヤリわたしみたいなちんくちりんと結婚して責任をとらせるなんて、そんなこと絶対にしたくないもんね。


 だからわたしは涙を飲んでお断りしたのだ……(´;ω;`)ウゥゥ


「そうか、そうだね……。すまなかった忘れてくれ。クレアの気持ちも考えずにこんなことを言ってしまって、ボクはバカだな」


「……? ええ、はい……?」


 えっと、わたしの気持ち……?

 ライオネルのじゃなくて?


 あ、言い間違えたのかな?

 寝起きだからまだ頭が回ってないのかも。


 でもイチイチ指摘をしたりはしない、優しいわたしなのだった。


 ライオネルはすごく良くしてくれたんだもん、あげ足とりなんかぜったいにしないんだもんねー。


お読みいただきありがとうございます。

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