第6話 雑すぎる実力検査
第6話投稿。今回は少しだけ戦闘シーン
訓練場の広さは、まぁとても広いといえよう
どのぐらい広いかと言うと、床面積が学校の体育館のもう一回りぐらいある
「さて、それでですが───」
「あの……」
ふと、俺がこれからどうやって実力を見させてもらうか聞こうとしたところ、天貝君が遠慮がちに口を開いた
「トウヤさんは僕達より年上なんですから、僕達に敬語を使う必要は無いんじゃないですか?」
「あぁ、確かにな」
「そうね」
天貝君の言葉に、門真君と夜菜ちゃんが反応する
「……勇者様方はお幾つで?」
「高校1年……16歳ですよ」
「俺は誕生日来てないから15ですけどね!」
俺の問いに京極君と野村君が返事を。そうか、年下とか言っておきながらほぼ一年しか変わってねぇじゃねぇか。観察眼鈍いな俺
この世界で出会った相手は基本やり手ばかりだから相対的に幼く見えてしまったという可能性がありますね。そうしておこう
「……そうですね。実は私もこの口調は慣れてなくて、少々やりにくさがありまして。勇者様方さえよければ元に戻しても構いませんか?」
「え?それ素じゃ無かったんですか?」
「違いますよ」
「ウソ。てっきり素かと思ってた」
「俺も」
「まるでそつがなかったというか、完璧だったというか……あ、通常の話し方に戻して大丈夫ですよ。な?」
「そうだね」
そして何故か俺の口調に対する驚き。何気にうまく出来ていたのだろうか。だとしたら嬉しいです。演技が捗りますね
「じゃあ、これでいいかな?」
「おぉ!優男風!」
途端急に気安くなった夜菜ちゃん。君、それは褒めてるの?優男って良い意味とも悪い意味とも取れるんだけど
「それが本来の口調ですか。たしかにそっちの方が合ってますね」
「ちなみに失礼ですが、トウヤさんは何歳なんですか?」
飛鳥ちゃんが聞くので、俺は答える
「17歳」
「え!?1歳違い!?」
「若っ!?どう見てももう少し年上かと思った」
俺そんなに老けて見えます?いや、この場合は青年という意味だろうか
「さっきの口調のせいじゃないかな」
「何だろう。私的に違和感しかないです……」
陽乃ちゃんは違和感ありありらしいね。そして今までずっと空気の雫ちゃん。でもね、俺はずっと君のことが気になって仕方ないんだよ
いつまで俺のこと見てるの?俺なにかした?
「……その、雫さんは俺に何か用があるのかな?」
ボソリと、俺は京極君に聞く。この中で一番情報通っぽいし。陽乃ちゃんは声が大きそうだから外させてもらおう
「あぁ、それは第一階級探索者に憧れているんですよ。王城の図書館にあった物語で、第一階級探索者が主人公のものがあったみたいで、内容はわかりませんが感化されたそうです」
同じく小声で返してくれるあたり、気遣いができますね
やばい、京極君とラウラちゃんを合わせたらラウラちゃん惚れるんじゃないのか?別に攻略してたわけじゃないけど、独占欲が芽生える
って、期待しちゃダメって前に自戒したばかりだぞ俺。反省反省
そして、ようやく雫ちゃんのキラキラとした視線の理由が判明。なるほど、物語とかに影響されちゃうタイプか
ということはさっきの陽乃ちゃんも同じ感じなのだろうか。今は問題ないのだが
「それは……夢を壊さないように頑張らないとだね」
「すみません、ご迷惑をおかけします」
「いやいや全然」
寧ろ面白いですよ。俺の能力でどこまで対応できるか試してみたいしね
雫ちゃんの理想がどのぐらいだか分からないことにはどうしようもないけど
「さて、それじゃあ早速見て行こうか」
「それで、どうするんですか?」
門真君の問いに、少し考えてから最もな方法を口に出す
「取り敢えず模擬戦をして測る感じかな。勿論手加減はするよ」
「なるほど。順番は?」
「そっちで決めていいよ」
そう言えば、「少し時間をください」と言って門真君は全員を集める。いや、黒澤君だけは相変わらず離れているが、会話は聞く模様。ツンデレか?悪いが男のツンデレはちょっとな
「じゃあジャンケンで決めようよ」
「それが一番手っ取り早いな」
「そう」
「じゃ、行くぞ。ジャンケンポン!」
ふと、そんな声を聞いて、「ジャンケンってこっちにもあるんだろうか?」と考える。そして、トランプが広まっているのだからありそうだと自己完結
「よっしイチ抜け!」
「無いな、寛二それは無いな」
「何故!?何でそんな冷たい目で見られなきゃいけないんだ!」
野村君って樹のはしゃいでる時の性格と似てるよなぁと。てことは周知になっている好きな人もいるのだろうか
二人を合わせたら気が合いそうだな
「あぁ俺が最後か」
「ってか、これって勝った方が最初?それとも最後?」
「決めてねぇのかよ」
すかさずツッコミを黒澤君が入れるが、あれだろうか。この10人ってもしかして普段から一緒にいるメンバーだったりするのか?役が収まりすぎてる気がする
そして雫ちゃんはこんな時でも横目でチラチラ見てくるんですね。美少女に見られるのはいいんですが、見られすぎはちょっとアレだ
「───トウヤさん、決まりました」
「了解。最初の子はこっちに来てくれる?」
「最初は俺です!」
どうやら最初は野村君のよう。勝った方からやるんだ、とさっきの会話を聞いていてどうでもいいことを考える
ちなみに訓練場はちゃんと試合が可能になっていて、50×50のフィールドが数個用意されている。そのうちの一つを使うことにする
「ルールは、そちらは何でもありの無法バトルだ。勿論こっちからは攻撃しないよ」
「はい!行きますよ!」
「門真君、合図お願いできるかな」
「分かりました」
門真君に合図を頼んで、待機。野村君は見た目からしてやはりと思っていたが、前衛タイプの模様。体を動かして調子を確認してる
「じゃあ、準備はいいですか」
「うん」
「いつでもいいぜ!」
「よーい、始め!」
合図と同時にまるで地面を縮めるように掛けてくる野村君。どうやら移動系のスキルを補助に使っているらしい
「そら!」
そしてその勢いのまま放たれる右拳の渾身のストレート。格闘戦タイプかな
「よっと」
攻撃に合わせて腕で軌道を逸らして回避。内側から叩くようにしただけだが、勢いがあった状態だと効いた様子
「おっとと……トウヤさんも格闘だったんすね!」
「あ、いや違うんだけどな……」
ただ単に相手に合わせたつもりだったんだが、どうやら勘違いされた模様。とは言え別に素手でもそんなに変わらない。スキルは封印中だがな
体勢を即座に立て直して、再度攻撃してくる野村君。それを首をずらすことで回避
追撃で放たれる左手を半身になって避けると、引き戻された右手がバネの力で再度来る。が、スウェーで回避
「うん、いいセンスだ」
戦い慣れしてるというか、スキルにだけ任せているわけじゃなさそうだとわかる。地球にいた頃はボクシングでもやっていたのだろうか。格闘というよりそれはスポーツのそれに近い
それを示すように、フックが来る。勿論反対側の腕は顔らへんで防御態勢を取っている
「威力もなかなかだ」
左手で野村君の右手を受け止める。パラメーターに任せるのではなく、衝撃を殺すように、そっと包み込む感じで
鍛錬鍛錬言ってるが、鍛錬って言うほど長い時間も苦労もしていない。少しの練習の成果だろうか
達人の域に達してるのは気のせい?
「んなっ!?」
手応えに違和感を感じたのだろう。野村君が声を上げる。多分当たった感触が極端におかしく感じたはずだ
咄嗟に野村君はバックステップで距離をとる。反応が素晴らしいというか、ちゃんと掴まれる前に右手を抜くという。プロボクサーなれますよきっと
「ふむ……よし、後が居るしこれぐらいで終わりにしようか」
「え?」
そして距離をとってすぐにまた距離を詰めてきた野村君のストレートを正面から、今度は普通に受け止める
バシン!!と肌を打ち合った音が鳴り響く。これがパラメーターに任せたゴリ押しだ。あんまりやりたくない
「野村君の格闘は独特なものだけど、それだけにこだわるのは良くないかな。意図的に足も使ってないみたいだし。癖かもしれないけど、実際の戦闘では勝つことこそが重要だからね」
「え?……あ、はい!ありがとうございました!」
ポカンとした後、若干の驚愕に染まった顔のままお礼を言う野村君は、素直に休憩椅子へと向かう。恐らく最後、普通に止められたのか、その前のフワリと受け止められたのの、どちらかに驚いたのだろう。俺もやられたらビックリするよ
「じゃあ次に行こうか」
少々時間が押してるので急ぎ気味。10日間しかないのだから当たり前だ。早いとこ育成は済ませたいところ
これを含めた4話が勇者の実力を見る回となっています。ちょっと長いけどお付き合いをお願いしますね
そういえば今日は学校の登校日だったのですが、久しぶりに会った友達に、『お前がなろうで書いてる小説の題名教えてー』と言われて、は?となりました
なんで知られたのかなーと思いつつも結局教えなかったんですが、やはり知り合いにこの小説を見られるというのは恥ずかしいのですよ
次回投稿は明日16時。昨日今日でストックが2話増えたので、多分いけると思います




