一目五先生、日本に行く①
前回の
『友人の元へ』を読まないと
分からないお話です
飛頭蛮に会いに行くため、僕は中国で物をコツコツ売ったり、貯金して日本に行くための軍資金を集めた。ちなみに、日本語はとっくの昔に完璧だから、覚える時間を仕事に回すことができた。
僕が軍資金を集めている間にも飛頭蛮からは何通もの手紙が届いた。内容は、初めて僕宛てに送った手紙の時よりももっと濃い内容だった。
仕事場ではメリー先輩という良い妖怪に出会ったとか、いぬがみコーポレーションのお偉いさんのいぬがみ様には返しても返しきれない恩があるとか、手紙の内容から『楽しい』って気持ちがすごく分かる。
「日本に行きたいけど」
今すぐにでも日本にいる飛頭蛮に会いたい。でも、行くためには妖怪専用の飛行機に乗らなくてはいけない。今、そのためのお金を稼いでいるけど、なかなかお金が貯まらない。
それに、僕も日本に住むつもりだから、仕事を探して給料をもらう日までのアパート代とか食費とかも稼がなくてはいけない。
僕は貯金箱の中を覗いて唸る。うーん、この調子だと、日本に行けるのはまだまだ先の話だな。
「あっ」
突然、大きな空からカラスが僕の頭上に降りて来ると、口にくわえていた一通の手紙を地面に落とした。拾うと、その手紙の差し出し人は案の定、飛頭蛮から。読んでみると、どうやら、仕事場の先輩、メリーさんがギターガールという、ギターを弾きながら歌う芸能活動を始めたらしく、先日、メリーさんが出したCDが妖怪CDランキングで2位を取ったらしい。
飛頭蛮の手紙には、よくメリー先輩という妖怪が出てくる。手紙によく出て来るということは、それだけ仲良くしていることだけど。すまん、飛頭蛮。ここは山奥だから、妖怪CDランキングの情報は入ってこないし、妖怪CDランキングというランキングも知らないんだ。
それと手紙には、いぬがみコーポレーションで日本の妖怪と友達になったことと、人間のアニメ好きの女の子と友達になった事が書かれている。
飛頭蛮、すごい!妖怪だけじゃなくて人間の友達まで出来たんだ。なになに、続きを読むと、最近ではちょくちょくとメールでアニメの話で盛り上がったり、中国語を教えたり、妹が出来たみたいで嬉しいと書いてあった。
随分と日本を満喫いているな。飛頭蛮の手紙を見ていると、なんだか安心するし、会いたい気持ちがどんどん膨らむ。膨らみ過ぎて胸が痛い、辛い、苦しい。
「なんだろうこの気持ちは」
あぁ、早く飛頭蛮に会いたいな。




