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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
プロローグ
2/80

契約は宗教の味

 水無月は浮遊感を感じていた。


 水の上にプカプカと浮いている感じではなく、宙に浮いているような感じだ。もちろん、死に様もトラックとの衝突だった水無月には、宙に浮いている感覚など味わったことが無いので妙な違和感を感じていた。


 浮いてるって言うより、漂っている?


 とりあえず、衝突からの記憶がないので状況を把握しようと辺りを見回してみるが、どこまでも真っ白で何もない空間が続いているばかりだ。

 実は失明すると視界が真っ黒じゃなくて真っ白になるのでは?、と我ながらアホな事を考えながら、宙に浮いているかどうかも確かめたかったので下も見てみた。


 そこには、何もなかった。


 下を見れば見えるはずの、自分の下半身さえ。先ほどのアホな考えもあながち間違いではないかもしれない、と考えを改めながらも、状況確認は続けることにした。


 だが、どうしても轢かれてから今に至るまでの過程は思いつかなかった。それとも、実はまだ生きているが植物状態で、意識はあるものの一時的な障害で目が光しか受け付けなくなってしまったとか。失明して真っ白というのは自分で考えておいてなんだが、無いだろう。失明するということは光を失うということだ。真っ白はありえないだろう。


 そう思い立つとふと、前に気配を感じた。


 人か?、と淡い希望を抱きながら前を向くと──────


 そこには黒い『ナニか』がいた。それを見た水無月は、体が無意識に拒否しているのも感じた。体は見えないが、おそらく鳥肌がたっている。それも強烈なやつだ。内側から筋肉が皮膚を突き破っているのではないか、と錯覚するほどに。目の前のモノに酷い嫌悪感を感じた。



「やア、気分はどウだイ?」



 そんな水無月とは正反対に、黒い『ナニか』は水無月に対し友好的だった。町でたまたま会った友達に「よう、偶然だな」、とでも言うような気軽さだ。

 そんな態度をとられても、水無月の嫌悪感は払拭されなかった。それどころか、悪化してしまった。今では筋肉と皮膚が入れ替わった、と確信をもって言えるくらいには。一応、人の形を模ってはいるが、そんなことは気休めにもならなかった。



「混乱してるだろウけど、話を聞イて欲しイ。今、君が僕に聞ける質問は二つ。一つは、これまでの過程。もウ一つは、これからどウなるかだ。どっちから聞きたイ?」



 それを聞いて幾分かは落ち着けた。これまでの過程を教えてもらえるのだ。だが、一つ気がかりなこともあった。


これから、ってなんだ?俺は死んだんだろう?



「アア、それじゃアこれからとこれまでがごちゃ混ぜになった質問じゃなイか。一つに絞ってくれなイと」



 そう言われて驚いた。口には出していなかったはずだ。思考が読まれてる?そう思うと、今度は嫌悪感ではなく、恐怖が体を蝕んでいくのを感じた。だが、そんなことに一々構っていたら話が進まない。水無月はとりあえず質問することにした。



これまでのことを教えてくれ。


「オーけィ。それじゃアまず、一番君が知りたがってイることからだ。





君は死んだ。」



 体が強張っていく。



「トラックに轢かれて君は死んだ。衝突の後、後頭部を強く打ったのが原因だ。ほとんど即死だったよ。死んだ人間ってイうのは霊界に行くものなんだけど、僕は君に用がアったからね。今君は肉体に無理矢理精神をくくりつけてられている状態だ。云わば君の精神世界だね。もちろん、そウしたのには理由がある。ここまではイイかイ?」



 何か話が宗教臭いな、と思いつつ話を促した。

話を考えるのは楽しいですど、書くのはやっぱり大変ですね

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