第10章10節: 転生の理由、前世の影
私は再び、自分自身の存在について考え始めていた。
なぜ、私はここにいるのか。転生の意味とは。
そして、前世の家族のことを思った。
多忙な両親、そしてたくさんの弟や妹たち。
私が死んだ後、彼らはどうしているだろうか。悲しんでいるだろうか。それとも、もう乗り越えて、元気に暮らしているだろうか。できれば後者であってほしい。
私がこの世界に転生したことに意味があるとしたら、それは彼らへの想いと何か関係があるのだろうか? いや、それは感傷的すぎるか。
だが、アリアの姿に、病弱だった末の妹を重ねてしまったように、私の思考や行動の根底には、前世での経験、特に家族との関係が、深く影響を与えているのは間違いないだろう。
私が料理に拘るのも、人に知識を教えることに抵抗がないのも、困っている子供を放っておけないのも、全てあの大家族で育った経験が元になっている。
転生しても、私という存在の核――探求心、合理性、そして不器用な情のようなもの――は変わらない。ならば、この「私」という存在そのものが、転生の理由を探る上での最大のヒントなのかもしれない。
私はなぜ、これほどまでに「知る」ことを渇望するのか?
なぜ、論理と合理性を追求せずにはいられないのか?
なぜ、冷静を装いながらも、他者の喜びや悲しみに、心を動かされてしまうのか?
これらの問いに対する答えは、私自身の内面を深く掘り下げていくことでしか見つからないだろう。それは、宇宙の謎や世界の法則を探求するのと同じくらい、困難で、そして重要なテーマなのかもしれない。




