第4章2節: 時間という名の資源
研究準備(情報収集と魔法の基礎解析)を進める中で、私は改めて「時間」の重要性を痛感していた。エルフの長寿は確かにアドバンテージだが、それでも探求したいテーマに対して時間は有限だ。日々の雑事、特に食事の準備に費やす時間を、可能な限り削減したい。
この前の騒動以来、村の食生活は改善されたとはいえ、依然として質素なものだ。毎日、食材を採取し、調理し、後片付けをする。このルーティンが、貴重な研究時間を確実に蝕んでいる。
「非効率的だ。食料は一度にまとめて確保・調理し、保存可能な形態にしておくべきだろう」
前世の知識が、合理的な解決策を提示する。
保存食だ。
適切に処理・保存された食料ならば、日々の調理時間を大幅に短縮できる。普段はそれを軽くつまむ程度で済ませ、本格的な調理は気が向いた時や、実験が必要な時に行えばいい。
幸い、この森には保存に適した食材も豊富にある。木の実、キノコ、狩猟で得られる肉、そして果物。これらを乾燥させたり、塩漬けにしたり、あるいは糖度を高めて保存したり……。これらには前世で培った保存食の知識が役立つだろう。
さらに、習得し始めた魔法。
これも保存食作りに応用できるかもしれない。火魔法による乾燥促進、水魔法による洗浄・冷却、あるいは風魔法の初歩で送風乾燥を効率化するとか? 試してみる価値はありそうだ。
よし、決めた。
研究時間を最大限確保するため、私は高品質な保存食の開発に着手する。




