第14章2節: リリアの嫉妬と同行宣言
アリアの突然の来訪と、シルヴァミルへの同行宣言。
その一部始終を、小屋の入口で呆然と見ていた人物がいた。
リリアだ。
彼女は、私が作った新しい保存食(納豆の応用で、味噌漬けのようなものだ)の試食をねだりに来たところだったらしい。
目の前で繰り広げられる、ハルカと見知らぬ美少女の親密なやり取り。特に、アリアがハルカに抱きついたり、「ハルカお姉さま」と甘えるように話しかけたりする様子に、リリアの表情がみるみるうちに険しくなっていく。
「な、なによあの子……! ハルカさんに馴れ馴れしくしちゃって……!」
リリアはわなわなと拳を握りしめ、アリアを睨みつけている。その目には、明らかに嫉妬の色が浮かんでいた。無理もない。アッシュウッド村では、自分がハルカの一番の理解者であり、親しい友人であると自負していたのだろうから。
ハルカがアリアの同行を(渋々ながらも)了承したのを聞くと、リリアはついに堪えきれなくなったように、二人の間に割って入った。
「ちょっと待ったー! ハルカさん、そのシルヴァミルってとこに行くなら、あたしも一緒に行くからね!」
突然の宣言に、今度は私とアリア、そしてグレイアムが目を丸くする番だった。
「リリア? 君がなぜ……」
「だって、ハルカさん一人じゃ心配だし! それに、そのアリア……さん? あなたみたいな貴族のお嬢様に、ハルカさんのお世話ができるとは思えないわ! 旅のことは、村育ちのあたしの方がずっと詳しいんだから!」
リリアはアリアに向かって、挑戦的な視線を送る。アリアも負けじとリリアを見返し、小さな胸を反らした。
「まあ、失礼ですわね! アリアはもう病弱ではございませんし、ハルカお姉さまのお側でお役に立てることはたくさんありますわ! あなたのような一介の村娘さんに、ハルカお姉さまの大切な旅のお供が務まるのかしら?」
「なんですってー!?」
一触即発。
少女二人の間で、火花が散っているように見える。
私はこめかみを押さえた。
なぜこうなる。
「……二人とも、落ち着きたまえ」
当然私の声は二人の耳にはまったく届いていないようだった。




