第2章3節: 最初の"まともな"食事計画
小屋に戻り、私は本格的な食事計画に着手した。リリアが置いていった硬いパン、そして自前で採取した木の実や葉。これらをどうにかして、より効率よく、そして可能ならば美味しく摂取する方法を確立する必要がある。
まずはパン。
硬すぎる。
水分含有量が極端に低いか、あるいはグルテンの形成が不適切だったか。
これを柔らかくするには、水分を加えて再加熱するのが定石だ。
蒸すか、あるいはスープのように煮込むか。
次に木の実。アク抜きが必要な種類もあるだろう。水に晒すか、あるいは灰汁(灰を水に溶いたもの)を利用するか。
葉物。
これも加熱で細胞壁を破壊して美味くしたい。
茹でるか、炒めるか。
油があれば炒め物が可能だが、現状では入手困難だろう。
キノコ。種類によっては加熱で旨味が増すものもあるはずだ。単純な炙り焼きでは失敗したが、蒸し焼きや、他の食材と合わせて煮込むことで変化があるかもしれない。
問題は調理器具だ。石鍋もどきでは限界がある。最低限、金属製の鍋と、食材を切るためのまともなナイフが欲しい。鍛冶場にあったものは粗末だったが、自分で研ぎ直せば使えるかもしれない。鍋は……最悪、粘土を焼いて土鍋を作るか?
火の確保は昨日成功した。燃料となる薪も森には豊富にある。
「ふむ、まずはプロトタイプとして、パン粥とでも呼ぶべきものを作ってみるか」
硬いパンを砕き、水と、採取した塩味のする鉱物、そして香りの良い葉(毒性がないことは確認済み)を加えて煮込む。これならば、栄養摂取と水分補給が同時に行え、消化吸収も改善されるはずだ。味は未知数だが、少なくとも生のままよりはマシだろう。
私は計画を立てると、早速行動に移した。必要な道具(石を加工した簡易ナイフ、粘土質の土)を探し、火を起こす準備を始める。食事は生命維持の基本であり、研究活動の基盤だ。疎かにはできない。




