第12章11節: 遺跡の欠片とマナの揺らぎ
満足のいく調理実験を終え、片付けをしていると、調査で採取したサンプルの中に、奇妙な石片が混じっているのに気づいた。森の奥深く、輝く鉱石を見つけた場所の近くで拾ったものだ。
それは、明らかに人工的な加工が施された陶器か石材の破片のように見えた。表面には、解読中の古代文字に似た、しかしさらに古い様式の文様が刻まれている。
「これは……遺跡の遺物か?」
ボルガンや古老は、あの辺りに遺跡があるとは言っていなかった。だが、言い伝えにあった「眠れるもの」と何か関係があるのかもしれない。
私はその石片を手に取り、集中してマナを探ってみた。すると、微かだが、石片そのものからマナが放出されているような、あるいは周囲のマナの流れを僅かに歪めているような、奇妙な感覚があった。これは、ただの石片ではない。何らかの魔法的な機能を持っていた、あるいは、強いマナに長期間晒されていた可能性が高い。
輝くマナ鉱石、特殊な薬草、そしてこの遺跡の欠片。
あの森の奥地は、やはり何か特別な場所なのだろう。「霧吹き谷」と「眠れるもの」の伝承。これらが、私の探求すべき謎のリストに、新たに加わった。
同時に、私は一抹の不安も感じていた。
マナ濃度の高い場所、古代の魔法的な遺物。
これらは、「食の災厄」の仮説とも結びつく可能性がある。迂闊に深入りするのは危険かもしれない。調査は、より慎重に進める必要がありそうだ。




