第12章4節: 発見1:香るキノコと粘液植物
探索を開始して半日ほど経った頃、私は最初の興味深い発見をした。湿気の多い、日のあまり当たらない岩陰に、鮮やかなオレンジ色をしたキノコが群生しているのを見つけたのだ。それは、傘の部分から、甘く、それでいて少しスパイシーな、独特の芳香を放っていた。
「これは……?」
私は慎重に近づき、そのキノコを観察した。形状はシメジに似ているが、色が全く違う。そして、この強い香り。食用キノコの中にも香りが強いものはあるが、これは種類が異なるようだ。毒性の可能性も当然ある。
サンプルを少量採取し、簡易的な毒性テスト(傷をつけて変色を見る、微量を皮膚にこすりつけて反応を見るなど)を行う。即効性の毒や、強い刺激性はないようだ。持ち帰り、詳細に分析する必要があるだろう。香りが強いということは、香辛料や香り付けとして利用できる可能性がある。
さらにその近くで、もう一つ奇妙な植物を発見した。地面を這うように広がる蔓性の植物で、その葉の表面から、粘り気のある透明な液体が分泌されているのだ。触れてみると、非常に粘着性が高い。
「粘液植物……か。食虫植物の一種か、あるいは防御機構か?」
葉の構造をルーペで観察する。消化酵素のようなものは見られない。とすると、虫を捕らえるためではなく、草食動物などから身を守るためのものだろうか? この粘液の成分は何だろう? 天然の接着剤として利用できるかもしれない。これもサンプルを採取しておく。
森の奥は、やはり未知の宝庫のようだ。
私の研究ノートには、早くも新たな記録が書き加えられていく。




