第八十六刻 マリンズ 龍紋
「均衡の神…」
しかし、話を聞いても不可解な点がある。
何故俺に有益な情報をわざわざ彼女は与えたのだろう…
「小僧、お前は戦うか?」
こんな話を聞かされても正直荷が重い。
俺はただエヴァンに元に戻って欲しいそれだけだった。
「よく…わかりません。でも友達を元に戻したい、それが出来ないなら止めたいとは思います。」
「俺は勇者じゃないんです、世界なんて大きなものは背負えない、身近な友すら守れなかったんです。」
土龍は黙って俺の話を聞き、口を開く。
「友を止めることがサルニアを止めることに繋がる、小僧と我等は利害が一致してるとは思うがな。」
「いきなり世界を救えなど言われても無理であろう、なら自分の目的の為に我等を利用しろ。」
ニヤリと笑う土龍、一人より仲間がいるほうが楽なのは当然だ、彼は俺が拒否しない事を分かって話している。
「上等、利用させてもらう。」
土龍へ手を突き出す、彼も握り返す。
彼と手を合わせた瞬間に腕に激痛が走った。
熱い、火で炙られているかのように。
腕を抑えてその場にうずくまる、痛みはすぐに引いたが左腕には葉っぱの葉脈のような痣が浮かんでいた。
「腕だけか、全身まで行くと思ったが……
ほう、なるほどな。」
「握手して相手に痣つくるなんてどんな趣味してるんだよ…」
「それは龍紋。加護のようなものだ、それにお前を通して世界を見る。」
「勝手に決めてお偉いことだな。」
こちらの許可も得ずに謎の仲間契約を結ばれたようだ。
痛みの仕返しに嫌味混じりで言い返した。
「この国の守り神だからな、王より偉いぞ。」
威張るように言い返す土龍。
諦めて言い返すのは辞めた。
「そろそろ、戻るぞ。」
土龍はそう言うと、指を鳴らす。
先程の空間、男は消えあの森へと戻っていた。
「セス君、大丈夫?」
カトレアが心配そうに尋ねる。
俺は、大丈夫と頷き親指を立てた。
「娘よ、話は終わった。」
「分かりました、ではまたお伺いします。」
カトレアは頭を下げ背を向ける、何か聞きたげだったがこの場では聞けないのだろう。
俺も彼女の後に続き森を後にした。
『小僧、これからどうするつもりだ?』
頭に響く声、先程まで話していた土龍だ。
(これもさっきの龍紋ってやつの影響ですか?)
『あぁ、お前を通して見ると言っただろう。意思の疎通は当然できる。』
(随分勝手な神様ですね……)
『今後我の助力が必要な時が来る、その時には感謝する事だ。
それに堅苦しい言葉遣いは要らぬ、普通に話せ。』
カトレアの後を歩きながら土龍との会話が続く。
森を抜けたとき、カトレアが口を開いた。
「セス君、なんで私が土龍様と知り合いなのか聞かないの?」
確かに初対面ではなさそうだったが彼女が自分から話さないのだ、わざわざこちらから聞くことも無い。
「気になりますけど…いつか教えて下さい。」
『我が教えてやろうか?』
(本人から話すまでいい。)
俺の言葉を聞いたカトレアははにかんだように笑う。
「わかった、今度ね。」
「帰りましょう、母が待ってます。」
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