第七十六刻 魔族激突 撤退
空からの攻撃だった。
見上げると全身を黒い包帯で包んだ人物がこちらを黙って見下ろしている。
「おい!レイナス何を邪魔しやがる!」
男は空に向かい怒った様子で叫ぶ。
「リーダーから帰還命令。」
女性の声、空に浮かぶ彼女はそう答えた。
「チッ、良いところなのに…」
「お前、名前は?」
こちらを睨みつけながら男は叫んだ。
「第六対魔師団、セスだ。お前は?」
「オレはゲル厶。邪魔が入っちまったな、またやろうや。」
そう言うとゲルムの背後に黒い渦が音を立てて現れた。
それは大きな音を立て周りの物を吸い込み始めた。
「待て!まだ終わってないぞ!」
俺はゲルムに向かって走り出した、ここで逃すわけにはいかない。
相手は喋れる魔族だ、どうにか情報が欲しかった。
「簡単に逃がすものかよ!」
徐々に吸い込まれているゲルムの身体目掛けて俺は夢中で飛び込んだ。
俺の身体は渦へと飲み込まれ、周りは先程の戦場ではなく一面黒の世界へと変わった。
…
……
………
彼が魔族と戦っている。
敵兵に突き刺した剣を引き抜きながら状況を伺っていた。
互いの力は均衡している、しかしながら魔族の方が場慣れした様子が見える。
(若干不利か…。)
あちらに一刻でも早く向いたいところではあったが、魔族の指示だろう、他の兵士達も私の周りに集まり始めた。
「そこを通して下さい、可愛い後輩が待ってます。」
ウェルスは剣を構え、首、心臓と次々と刺突で敵兵を薙ぎ倒していく。
ゴンと金属を叩いた様な音。
音の先では魔族の背中から血が弾け出ている。
(隊長の弟子だけありますね、倒してしまうかもしれない…)
彼は上手く戦っている、そう思った矢先に両者の間で爆発が起きた。
ウェルスの危険信号が音を立てて騒いでいる、恐れていた事の一つ、敵の援軍だった。
(まずい、彼が不利に…)
今の彼に強者との二対一はあまりにも分が悪い。
せめてこちらも含めた状態出ないと最悪の可能性まで出てくる。
しかし、状況はウェルスの予想とは別の方向へと動く。
魔族側が撤退を始めたのだ。
「セスさん、深追いはしないでください!」
ウェルスは大声で叫ぶ。
敵味方入り乱れたこんな中では届かないかもしれない、それでも彼が、早まって突っ込んだりでもしたら…
声は届かない、彼は撤退する魔族に向かって猛進し始める。
(若い、あまりにも…)
この戦いは侵略戦ではない防衛戦なのだ、国を守れればそれで十分だ。
必要なのは敵将の首ではなく、味方が無事でいること。
ウェルスの思い虚しくセスの身体は黒の闇へと消えていった。
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