第七十二刻 武装と魔法 道具
それから毎日毎日限界まで訓練をし疲れて寝る。
そんな日々を続けた。
「三週間これだけやって十秒…。」
「最初が五秒だったのだから十分じゃないの。」
フーロは呆れ顔で笑う。
「その力は戦況を変える力。
決して無茶な使い方はしちゃ駄目よ。」
「そんな大袈裟な…」
「本当にそう思う?」
先程までと顔付きが違う、フーロは本気で言っている。
「大規模戦ならともかく、一騎討ちなら負けないのよ。
私のように魔法干渉が相手じゃない限りね。」
「一騎討ちなら負けない…。」
「セスちゃんを敵の大将の前に出せば私達は勝つ。
それだけの力よ。」
フーロがそんな風思ってるとは知らなかった。
「嬉しいです、そんなに評価してもらえるなんて。」
魔法師団の隊長に評価して貰えた事、訓練の日々を思い出し報われた気がして口元が緩む。
でもフーロが次に行った言葉は俺の思いもよらぬ言葉だった。
「だから使って欲しくないわ、余程の事がない限り。」
「何故です?あんなに訓練して使えるようになった力です、戦場で使わずいつ使うんですか!?」
つい、声が大きくなる。
正直否定されたようで少し気分が悪い。
「気を悪くさせたのならごめんなさい、でも私はセスちゃんが道具になるのは嫌。」
「戦争の度に借り出され、勝って当たり前。
怪我をしても心配されるのは戦争の道具としてのあなたなのよ。」
フーロの言葉は簡単に想像出来た。
常に戦場で怪我をし、それでも戦わないといけない。
「………。」
返す言葉が見つからない。
「軍はそういう所よ、分かるでしょう。」
あまりに大きな力は祭り上げられる、国内では引っ張りだこ、でもそれは全て戦場。
俺は既にそれを知っている。
「勇者……。」
「そうよ。戦いにしか身を置けず、安息の場所なんて殆どない。
戦いの中で心だけ擦り切れてゆく。」
「隊長、なぜわざわざそれを俺に?」
フーロも軍の人間だ、使えるものは道具にしてでも使う。
それが普通なのに、何故俺を助けるような事をするのか?
「………。」
フーロは黙っている、何な口に出すのを躊躇った様子だ。
「言えませんか?それとも……」
言いかけた時、訓練室の扉が勢いよく開いた。
第一師団の隊員が息を切らしながら入室してきた。
「訓練の…ところ…すみません!……これを!」
隊員の手からフーロへ一枚の紙が手渡された。
「どうしたの!?そんなに慌てて、どれどれ……。」
フーロは紙を読み終えるとしかめ面で俺に向かって紙を開いて見せた。
【魔族進軍を確認、数二千。
第六対魔師団セス、レインの両名。出動を命ずる。】
俺の魔法師団への出張は思いもよらぬ形で終わりを告げた。
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初投稿なので右も左も分かっておりません。
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